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親を山に捨てに行く、寒村の現実「楢山節考」

ある山中の寒村には、必ず守らなければならない楢山参りの掟がある。村を出て楢山に行って暮らす、つまり口減らしのために老人を捨てにいくことだった……。親を山に捨てる、それが手段として肯定されている時代が日本にあったという事実がのしかかります。心に残る名作です。

投稿記事

閉鎖された寒村の過酷な環境

■作品名
楢山節考(1983)

■監督
今村昌平

■主演 
緒形拳、坂本スミ子

■DVD販売元
東映ビデオ

■おすすめの理由
この映画は日本の小説家でもありギタリストでもあった深沢七郎の著作「楢山節考」を原作とした作品で、二度目の映画化です。

1983年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した作品でもあります。

■あらすじ
ある山中の寒村。

厳しい環境で貧困に喘ぐその村では、必ず守らなければならない三つの掟があり、「結婚して子孫を残すのが許されるのは長男のみ」、「他の家から食糧を盗んだら重罪」、「70歳を超えた老人は楢山参りにでねばならない」という内容だった。

楢山参りとは、村を出て楢山に行って暮らす、つまり口減らしのために老人を捨てにいくことだった。

超辰平(緒形拳)は母親のおりん(坂本スミ子)思いで、母親を楢山に捨てにいくことなどとうていできぬ。

次男は頭が弱く村人からも蔑まれ、女を知る機会もない。

孫のけさ吉は遊び惚けてばかり。

そして辰平に後妻、けさ吉にも嫁が来るが手癖の悪いけさ吉の嫁のせいで家の食糧事情は厳しくなり、おりんは楢山行きを決める……。


おりん役の坂本スミ子さんは、当時まだ40代で老婆の役を演じるために前歯を4本削り役に挑んだとか。

貧困に苦しむ寒村の話しなので、衝撃的なシーンや重たいシーンも多いのですが、自然界や、この当時の生に対する考え方などがとても印象的でした。

親を山に捨てる……それが手段として肯定されている、それがこの時代の日本にあったという事実がのしかかります。

閉鎖された寒村の大自然の中の過酷な生と性に、なんとも言えないえぐられるような思い。

今村昌平作品のなかでは一番、心に残る名作だと思います。

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