戦時下という極限状態を描いたスティーブン・スピルバーグ監督作品

■作品名
太陽の帝国 (87)

■監督
スティーブン・スピルバーグ

■主演
クリスチャン・ベール、ジョン・マルコビッチ

■DVD/Blu-ray発売元
ワーナー・ホーム・ビデオ

■おすすめの理由
舞台は第二次大戦下の上海。
スティーブン・スピルバーグが、両親とはぐれ、捕虜収容所でたくましく生きていくイギリス人少年ジム(クリスチャン・ベール)の目を通して戦時下の実体を描きました。

原作はJ・G・バラードの半自伝的な長編小説。
『太陽の帝国』とはイギリスに代わって上海を占領した日本のことを表しています。

この当時のスピルバーグは、評論家と観客の双方からSFやファンタジー専門の監督と見なされていましたが、『カラーパープル』(85)とこの映画で面目を一新しました。

この映画には、UFOも宇宙人もインディ・ジョーンズのようなヒーローも、あるいは奇跡も一切登場しません。
ここで描かれるのは戦時下という極限状態だけなのです。

ゼロ戦のパイロットに憧れ、初めは冒険をしているような感覚を抱いたジムが、徐々に追い詰められていく姿が胸に迫ります。

ラストでジムは流浪の果てに両親と再会しますが、彼の目つきはもはや普通ではありません。
それは例えばベトナム戦争で精神を病んだ兵士たちの目とそっくりでした。

戦争が人間をどれだけ大きく変え、歪めてしまうものなのかということを感じて、思わずゾッとさせられるシーンです。

そのせいでしょうか、最近のベールを見ると「大きくなって良かったなあ」などと思ってしまうのです。

まだ無垢だった頃のジムが、透き通るような声で歌ったイギリスのウェールズ地方に伝わる子守歌「SUO GAN」が耳に残ります。




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