ジャズ楽器を始めてみよう! ベース編

ロックやポップスなどでは、ビートルズのポール・マッカートニーやポリスのスティング、日本ではキャロルの矢沢永吉など、ベーシストはボーカルで存在感をアピールできますが、ベースの音だけで表現しなければいけないジャズにおいては、リズムセクションの中でも地味な存在と思われがちです。

でも、何と言っても4ビートの要となるベースのラインは、ジャズにとっては無くてはならないもの。今までロックなどでベースを弾いていた人はもちろん、ギターからの転向を考えている方や、まったく初めての方でも、これを機会に楽しみながらジャズ・ベースを始めてみたらいかがでしょうか。

1、楽器と練習場所

ベースに限らず、楽器は本来ならば、最初から良いものを買った方が良いとは思います。ですが、ことベースに関しては、本格的に始めた場合、クオリティや音楽的志向、ウッドかエレキかなど選択肢が多いので、初めての方は無理せず、この辺から初めることをおススメします。そして、ある程度自分で見極めてから良いものを買った方が良いと思います。


とてもリーズナブルなセットですが、ベースの場合は良いものほど意外と楽器の値段が高いので、最初は極力出費を抑えて、この辺でトライしてから、徐々にご自分にあった物に替えて行くのが良いでしょう。

さあ、自分のベースが用意できたら、いよいよ練習です。ベースはアンプを通さない限り、それほど場所を選ばずに練習できるのが良い点です。ご自分の環境で練習が出来る方には、どんどん先に行って頂くとして、まったく初めての方は、最初はアンプなしで気軽に練習をしていってください。

そしてある程度ラインを覚えたら、いよいよアンプを通しての練習です。最終的にはアンプを通した音で勝負するので、アンプを通した音づくりをしなければいけません。

そこでアンプがあって練習が出来るおススメの練習場所は、「貸し音楽スタジオ」と言うことになります。WEBの検索で「音楽練習 貸しスタジオ」と入れれば沢山探せますので、お試しください。

ジャズベース演奏参考曲 第三位
デューク・エリントン「マネー・ジャングル」より「ヴェリィ・スペシャル」

マネー・ジャングル

マネー・ジャングル

このCDはジャズ界の大御所、デューク・エリントンにそれぞれモダンジャズを代表するベーシスト、チャールズ・ミンガスとドラマー、マックス・ローチが胸を借りたような演奏です。

ここでのデュークのスタイルは、例えば同じピアノトリオでも、ビル・エヴァンストリオの様にレギュラーで練習し練り上げたものとは違います。一発勝負でそれぞれの個性のぶつかり合い。いかにもこの録音のために集まったトリオと思わせるハードでスリリングなものです。

これは「オーケストラは私の楽器だ」と言ったとされるデューク本来の大編成による楽団の演奏にも、感じさせる特徴です。それは決してリハーサルをしないということではなく、ジャズ本来の持つ偶発的なスリルを重視しているということです。

メンバーが各人のサウンドをそのまま出し合い、その時その時の自己主張の強いそれぞれのサウンドをデュークが重ね合わせる。そしてその音の束となったものを切れ味のよい包丁で切って出すといったような、言ってみればおいしい太巻き寿司を作る寿司職人のイメージ。

このCDは、いつもはふてぶてしいベースのチャールズが、駆け出しの頃お世話になった親父のデュークを前にして、久しぶりに緊張している様が面白さを生んでいる演奏です。デュークの太巻きの具材になって、その中でなんとか個性を出そうと奮闘する姿に好感が持てます。

その他の曲選びと譜面については、次のページでご紹介します!

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2、曲選びと譜面

さていよいよ、ベースと練習場所が準備できたら、次は曲選びと練習方法などが書かれた教則本が必要です。今回おススメしたベースのセットには教則本もついていますが、ジャズのラインを学ぶには次の教則本がおススメです。

教則CDがついていますし、内容も多岐に渡って説明されていますので、一つ一つ覚えて行けば必ず上達するはずです。カラオケCDを鳴らして、必ずリズムを取れる様にして練習してください。

ベースの場合は、ラインを構成する音使いも重要ですが、それよりもリズムの方が重要です。音の立ち上がりが思っているよりも遅いので、4ビートの基本になる4分音符をリズム感良く鳴らせるように、覚えたラインを根気よく繰り返して練習してください。

最初に、ブルースや循環コードなど基本的なところから、練習したら、教則本に載っている曲をどんどん練習してレパートリーを増やしていきましょう。

ジャズベース演奏参考曲 第二位
マイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」より「ソー・ホワット」 

カインド・オブ・ブルー+1

カインド・オブ・ブルー+1

ここでは、ハードバップ(50年代に流行ったモダンジャズのスタイルの一つ、ビバップをより洗練させたもの)を代表する人気ベーシスト、ポール・チェンバースの演奏を堪能できます。

この「カインド・オブ・ブルー」は、マイルス・デイヴィスが、行き詰った感があったそれまでのバップに対しての新提案をしたスタイル、モード・ジャズ(それまではコード進行に沿った曲作りだったが、モードと呼ばれるスケールに沿った曲による新しい考え)の代表的な名演です。ポールによる代表的なモード・ジャズのベースラインを聴く事が出来ます。 

言わばマイルス・デイヴィスがモード宣言を行った記念すべき第一弾で、いまだにモードを代表する曲です。ポールが主体となったコールアンドレスポンス形式(主旋律において、呼びかけとそれに対する返答から成る形式)のテーマからランニングベースに入り、マイルスが静かにソロを展開する辺りは、モードジャズの醍醐味に溢れています。モードにおけるベースラインはこのポールの演奏から、雰囲気をつかんでください。

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エレキベースの模範演奏はこちら

ベースは、ギターと違い基本単音でラインを紡いでいくものなので、もしかしたら意外と早く成果が見れるかもしれません。頑張りがいのある楽器と言えます。また、バンドをやっていた実感から、ベーシストは比較的に真面目で、実直な人が多い印象です。

ジャズの世界でも、有名なベーシストは、今回ご紹介した暴れん坊のチャールズ・ミンガスを除けば、大人しいイメージの人が多いようです。そんな優等生のベーシストの世界に、70年代後半になって彗星のごとく現れた異端児が最後にご紹介するこの人、ジャコ・パストリアスです。


ジャズベース演奏参考曲 第一位
ジョニ・ミッチェル「シャドウズ&ライト」より「ドライ・クリーナー・フロム・デ・モイン」 

Shadows & Light

Shadows & Light

ジャコ・パストリアスと言うと、それまでウッドベースがほとんどだったジャズベース界にエレキベースの新風を巻き起こした革命児と言われています。ジャコが有名になったのは、なんといっても「ウェザー・リポート」での活動ですが、1976年には自身の初リーダー作を発表しています。

マイルス・デイヴィス作曲の「ドナ・リー」や、その次の1981年の作品「ワード・オブ・マウス」に入っていたポール・マッカートニーの「ブラック・バード」などは、私が大学にいた1982年当時は、ジャズ研のエレキベーシストみんなが弾いていた懐かしい曲でもあります。

ここでご紹介するのは、初心者におススメのジャコがブルース進行を弾いているジョニ・ミッチェルの「シャドウズ&ライト」の「ドライクリーナー・フロム・デ・モイン」です。

これぞイノベーター、ジャコのランニングベースとでも言うべき、特徴的なラインを、ブツブツとした粒立ちの音で綴っていきます。ソロをとる、マイケル・ブレッカーも古さと新しさを行きつ戻りつしながら、熱いソロを繰り広げます。ドラムが、普段はパーカッションを演奏する事が多いドン・アライアスなのも面白いところです。

ここで、ジャコは従来のブルース進行におけるベースラインの他に、ハーモニクス(主にギターなどで行う倍音を出す奏法、ファーンと言う感じに聴こえる)など彼の遊び心とでも呼びたいフレーズをちりばめ、縦横無尽にソリストを盛り上げます。

ラインを弾き始めて2コーラス目の8小節目の部分(1:30のあたり)では、ホーン奏者のようないわゆるツーファイブフレーズ(ジャズのアドリブにおいて、常套句とも言うべきコード進行上のフレーズの事、この場合は9小節目の2度マイナーに対するツーファイブ)を横取りするように弾いているのが、ジャコらしい茶目っけと言ったところです。

さあ、今回の「忙しい方のための ジャズ楽器やろうぜ! ベース」編はいかがでしたか。ベースはやればやるほど自分でステップアップの確信が持てる楽器です。地道に努力すれば、すぐにセッションでも参加する事が出来ますので、ぜひ頑張ってください!


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