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“ジャガーらしい”が最も似合う本格派、Fタイプ

初期のブランドイメージへの原点回帰ともいうべき、ジャガーにとってEタイプ以来の本格スポーツカー、Fタイプ。“ジャガーらしい”という表現が、この50年間で最も似合うスポーツカーだ。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

Eタイプ以来、渾身の2シーターオープン

ジャガーFタイプ

ボディサイズは全長4470mm×全幅1925mm×全高1310mm、ホイールベースは2620mm。価格はFタイプが950万円、Fタイプ V8 Sが1250万円

ジャガーEタイプ

ジャガーを象徴するアイコンとなるEタイプ。1961年のジュネーブショーで初披露された

モダンスポーツカーの原点は、おそらくジャガーEタイプであろう。

それまでのクラシックなフォルムから一転、流麗なロングノーズ・ショートノーズスタイルを手に入れて、世界中のクルマ好きに衝撃を与えた。1961年のことである。

その後に登場したトヨタ2000GTやフェアレディZのデザインに、Eタイプの影響が強く出ていることをみても、その衝撃の強さを想像できるだろう。

トヨタ2000GT

X型バックボーンフレームに2リッターエンジンを積むトヨタ2000GT。1967~1970年に337台が生産された

(同じイギリスのベントレーやアストンマーティンと違って)アフォーダブルなスポーツカーを生み出すブランド、ジャガー。そんな初期のブランドイメージへの原点回帰ともいうべきモデルが、このFタイプである。

ジャガーといえば、すでにXKシリーズというスポーツモデルがあるが、こちらは2+2の、どちらかというと豪華なグランドツーリングカー。FタイプはXKシリーズよりもコンパクトなサイズに、ほとんど同等のパフォーマンスを詰込んだジャガー渾身の2シーターオープンスポーツである。

ジャガーにとっては、本当に久しぶりの、Eタイプ以来の、本格スポーツカー登場、というわけなのだった。

日産フェアレディZ

ダットサン フェアレディに代わり1969年に登場した日産フェアレディZ(S30)。1978年には後継のS130に

日本仕様のFタイプは今のところ2グレードのみ。V6スーパーチャージドを積むFタイプと、V8スーパーチャージドを積むFタイプV8S、である。

このスタイルを間近に見せられて、“格好いいスポーツカー”だと思わない人など、いないだろう。Eタイプの再来、とまでは言わないが、少なくとも、Eタイプの次=Fタイプという名前の意気込みのほどが、伝わってくるスタイリングだ。

フロントセクションこそ、当代流行りのフィニッシュで、個性にやや乏しいと思ったが、リアセクションは圧巻のひとこと。艶かしく張り出したフェンダーに、鋭く尖ったリアコンビランプ周り、そして力強く突き出されたエンドパイプ……。スポーツカーは、迫り来る姿よりも、追い抜き様が肝心、というわけである。この後塵なら、いくらでも拝したい、という人もいることだろう。

ちなみに、フルオープンにかかる時間はおよそ12秒。2シーターソフトトップの恩恵である。交差点での信号待ちでもあわてることなく開閉できるし、万が一、途中で走り出したとしても、時速50km/hまでは動作を続けることができる。
ジャガーFタイプ

ジャガーとしては第4世代となるオールアルミ製モノコックボディ構造を採用。ホワイトボディの重量を261kgに抑えた

助手席に女性をのせてしまうと、ちょっと申し訳ない気持ちになるかもしれない。「1+1」コンセプトと呼ばれるコクピットスタイルは、運転席を取り囲むようなデザインになっていて、他のスポーツカーに比べても、助手席の疎外感が大きい。甘いデートには、XKシリーズの方が向くだろう。

走り好きの辛口デートなら、お手のものだ。

ひと言でいうと、グランドツアラー寄りではあるけれども、よくできたスポーツカー、であった。猛々しいサウンドの演出や、前アシのさばきの軽やかさ、後アシのねばり強さ、前後重量&サイズバランスからくる機敏さと自在さ、は、スポーツカーとして楽しむに十分な資質だと言っていい。

自史の解釈に誤りがなく、決してモダンさも忘れることがない。要するに“ジャガーらしい”という表現が、この50年間で最も似合うスポーツカー、であった。
ジャガーFタイプ

直座位置はXKより20mm低めでスポーティさを高めた。センター部の通風口はリトラクタブル式を採用。標準のスポーツシートに加え、さらにサポート性を高めたパフォーマンスシートを用意する

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