日本にウィンタースポーツを定着させた五輪を描く

■作品名
札幌オリンピック
■監督
篠田正浩
出演
笠谷幸生、金野昭次、青地清二、ジャネット・リンなど
■DVD販売元
東宝


本作は1972年に開催された札幌オリンピックの公式記録映画です。

オリンピックの記録映画と言えば『東京オリンピック』が大変有名ですが、本作も『東京オリンピック』同様、単なる記録映画以上のものを目指した点でその精神を継承しています。

順位の面で揮わなくても特に印象的な選手にスポットライトを当てたり、或いはオリンピックに関わる人々や観客の様子を映し出したり、また当時の北海道各地を魅力的に紹介した点で、時代の雰囲気そのままを閉じ込めたタイムカプセルの様に、後の時代の人々が懐かしさや興味深さを持って観ることができます。

見所は何と言ってもスキージャンプ70m級(現ノーマルヒル)で、笠谷・金野・青地の3選手が金・銀・銅を獲得し、表彰台を独占したことです。

メダル独占は日本の冬季五輪史上初の快挙で、これをもって以降日本ジャンプ陣を「日の丸飛行隊」と呼ぶようになりました。

映画では70で金の笠谷さんに密着し、90m級(現ラージヒル)ではうまくいかなかったことも含めて、栄光の側面だけでなく勝つことの難しさも総合的に描き出そうとします。

もう一つの見所は作品内で長く取り上げられるジャネット・リン選手。札幌オリンピックと言えば、ジャンプ陣と並んで彼女を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

リン選手は戦後フィギュアスケートの女王で、大選手であると同時に大変な美貌の持ち主でした。現在その様な選手をよく“銀盤の妖精”と言いますが、その元祖的な選手です。日本では五輪後CMに出るなど大人気になりました。

リン選手実は札幌五輪での成績は揮いませんでした。その理由にプログラムの一つコンパルソリーが苦手だったから、というのがあります。

翌年ファンの強い後押し等もあって、ルールが変わりショートプログラムが誕生しました。そしてコンパルソリーはその後しばらくして廃止されました。

五輪において勝者に不利になる様に、また競技を面白くするためにルールが変更されることはよくありますが、逆もあるということです。

これはリン選手が如何に人気があったかを物語るエピソードですし、日本人に不利になることが多い、五輪でのルール変更について考えさせられる話でもあります。



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。