大林宣彦監督のデビュー作
『HOUSE -ハウス-』

『時をかける少女』『ふたり』『さびしんぼう』などなど、ノスタルジックでセンチメンタルな青春ものを撮らせたら右に出るものはいない大林宣彦監督のデビュー作。
れっきとしたホラーでありながら、怖さの中にも懐かしさと可笑しさを感じさせる作品です。

突然現れた父の美しい再婚相手。反発する女子高生の‘オシャレ’(池上季実子)は、‘ファンタ’(大場久美子)ら6人の友人を誘って、夏休みに‘おばちゃま’(南田洋子)の屋敷に遊びに行く。ところが、おばちゃまはすでにこの世の人ではなく……。

池上季実子さんが若い!
大場久美子さんが若い!
南田洋子さんも、もちろん若い!

おばちゃまは戦死した婚約者を待ち続ける生霊で、お屋敷は少女たちを食らう人食い屋敷。大時計が、照明器具が、グランドピアノが、次々と少女たちを襲います。

少女たちが食われていくシーンは、チープで漫画チックな演出のおかげかあまり怖くはないのですが、おばちゃまがしずしずと冷蔵庫に入っていくシーンや、口の中から目玉がキョロリとのぞくシーン、一口齧った乾燥金魚? を金魚鉢に入れると元気に泳ぎだしたりするシーンは、ものすごくシュールで不気味です。

オシャレたちを出迎えた時には車椅子に乗っていたおばちゃまは、最後は立って歩いて白無垢が着られるように……。少女たちを餌食にして若返っているというわけです。つまるところ、いちばん怖いのは、愛する人を失った事実を受け入れられずに彷徨っているおばちゃまなのですね。

怖かったり、可笑しかったり、気持ち悪かったり、悲しかったり……さまざまな要素が実験的に詰め込まれていますので、観る人を選ぶかと思うのですが、個人的には大好きな作品です。

■ 『HOUSE -ハウス-』
・監督:大林宣彦
・出演:池上季実子、南田洋子、大場久美子、松原愛、神保美喜、尾崎紀世彦、鰐淵晴子、ゴダイゴ




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