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若者達の鬱屈した気分をファンタジックに描いた名作

本作は50、60年代に世界中でブームとなった権威主義や既成概念に異を唱える映画表現の新しい流れ(米のアメリカンニューシネマ、仏のヌーベルバーグ等)の中で作られた一作で、カンヌ映画祭のグランプリを受賞した名作です。

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若者達の鬱屈した気分をファンタジックに描いた名作


あらすじ

60年代後半、英国、とある伝統的全寮制私立校(パブリックスクール)。厳しい校則・指導官の下、反抗的な態度を募らせるミックとその仲間達はとうとう規律を破ってしまい厳罰を受ける。決起を誓った彼らは、開校五百年の記念日、父兄や来賓が集まる中、屋上から銃を乱射し……。

おすすめの理由

本作は50、60年代に世界中でブームとなった権威主義や既成概念に異を唱える映画表現の新しい流れ(米のアメリカンニューシネマ、仏のヌーベルバーグ等)の中で作られた一作で、カンヌ映画祭のグランプリを受賞した名作です。

英国においては「フリー・シネマ」と呼ばれ、主に当時の怒れる若者達の心情をドキュメンタリータッチで描いた一連の作品が作られました。『長距離ランナーの孤独』で知られるトニー・リチャードソン等と並ぶ、その代表の一人がリンゼイ・アンダーソンです。

あらすじだけ見るとシリアスな内容と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は割とはっきりしたファンタジーで、アナーキーかつエネルギッシュな学園ドラマといったテイストです。

お勧めポイントとしてまず興味深く感じられる点は、学校内で起きる問題についてです。いじめ、体罰、暴力、あと男子校ということで同性愛等。日本だと80年代以降金八先生などのドラマで描かれてきた学校を巡る諸問題が、その10年以上前にほとんど同じような形で見られるのは考えさせられます。

次に英国の伝統的な私立校内部の様子は、優れた異文化の歴史を見る面白さがあります。本作が「花の24年組」で知られ、70年代少女マンガに革新をもたらした漫画家(萩尾望都、竹宮惠子さん等)の多くに影響を与えたのは有名です。

また60年代英国と言えばビートルズを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 彼らに興味がある方なら、本作は当時の若者文化・風俗の歴史的資料の宝庫的側面からも楽しんで観られるように思います。

DVD化されていない点が残念ですが、衛星放送などでたまに見かけますので、観られる環境にある方は機会があればぜひご鑑賞下さい。


■if もしも…(If...)
・監督 リンゼイ・アンダーソン
・主演 マルコム・マクダウェル
・データ
- DVD/Blu-ray発売 無、VHS 有
- 販売元 パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン株式会社
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