年金

年金と税金~源泉徴収と確定申告(3ページ目)

公的年金のうち、老齢年金は所得税の課税対象となります。老齢年金に所得税が課税されると、確定申告が必要な場合があります。確定申告は会社員の人にとってあまりなじみのない制度かもしれません。今回は、年金の源泉徴収と確定申告についてご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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平成25年からの改正点

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平成25年1月より復興特別所得税が導入されました

平成25年1月より、東日本大震災の復興財源を確保するために復興特別所得税が導入されました。復興特別所得税は、所得税額の2.1%に相当する額で、所得税の対象となるすべての所得に対して課税されます。公的年金についても、所得税が課税される老齢年金は、復興特別所得税の課税対象となります。

復興特別所得税は、通常の所得税の源泉徴収とあわせて徴収されるので、所得税の税率と復興特別所得税の税率の合計税率で源泉徴収されます。源泉徴収の税率は、扶養親族等申告書を提出している場合5.105%、提出していない場合は10.21%です。なお、復興特別所得税は、平成49年12月31日まで徴収される予定です。
 

民間の個人年金より税制メリットが大きい国民年金基金

所得税の計算過程で年金収入から差し引く公的年金等控除は、年金収入の「必要経費」にあたるものです。民間の個人年金の場合は公的年金等控除の対象外で、必要経費は年金を受給するために支払った保険料から計算して年金収入から差し引きます。一方、公的年金等控除は納付した保険料に係わらず、一定の額を差し引くことができるため、民間の個人年金保険より公的年金から支給される老齢年金の方が税制上のメリットが大きくなります。


また、公的年金や個人年金の加入期間中に負担する掛金や保険料は、所得控除の対象となります。公的年金の保険料は負担した全額を所得から差し引くことができる社会保険料控除の対象となりますが、民間の個人年金の保険料は生命保険料控除の対象となるため、所得から差し引くことができるのは最大で4万円まで(平成24年1月1日以降に契約した場合)となります。

公的年金の上乗せ年金で、保険料・掛金が社会保険料控除の対象となるのは国民年金基金です。もし、昭和46年4月生まれの男性(42歳)が平成25年8月に国民年金基金の終身年金A型に1口加入すると毎月の掛金は13,965円(1年間の掛金合計は167,580円)になります。この男性の課税所得が500万円だった場合、国民年金基金の加入前後で負担する所得税がどの程度異なるのか以下の計算式で試算すると、次のようになります。

■課税所得が500万円だった場合の所得税

※課税所得が330万円超695万円未満の場合の所得税額の計算式
所得税額(1円未満切り捨て)=課税所得×20.42%-436,477.5円

<国民年金基金加入前>
500万円×20.42%-436,477.5円=584,522円

<国民年金基金加入後>
(500万円-167,580円)×20.42%-436,477.5円=550,302円

国民年金基金に加入し、掛金を負担することで課税所得が軽減します。その結果、所得税(復興特別所得税を含む)の負担が3万円以上少なくなります。

自営業者やフリーランスは、第1号被保険者として国民年金のみに加入するので、公的年金から支給されるのは老齢基礎年金のみになります。上乗せ年金は自分で準備する必要があります。公的年金と同様の税制メリットが利用できる上乗せ年金には、国民年金基金や小規模企業共済などがあります。国民年金基金は1口目に必ず終身年金に加入するため、上乗せ年金を終身で確保することができます。掛金負担時と年金受給時の両方で、公的年金と同様の税制メリットのある国民年金基金は、第1号被保険者にとって有利な上乗せ年金といえるでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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