E3から予想する、次世代ハードの日本市場

次世代据え置きハードの図

次世代据え置きハードが勢揃いしたE3

ここ最近、ゲーム関係のニュースが大量に飛び交っていました。それもそのはず、現地時間の2013年6月11日から北米はロスアンゼルスで世界最大のゲームの祭典、エレクトロニック・エンターテイメント・エキスポ(以下E3)が開催されたからです。

今回は、PlayStation4(以下PS4)、Xbox One、そしてWii Uと、次世代据え置きハードが勢揃いするということで注目を集めています。コンテンツやサービスの詳細で網羅的な情報は他のメディアにお任せしまして、ゲーム業界ニュースでは、これらの据え置きハードの構図が日本においてどうなっていくのかというのを考えてみたいと思います。

Xbox One 独占タイトルとKinectで北米の掌握を狙うが

Xbox Oneの図

日本では苦戦しているXboxブランド。Xbox Oneで盛り返して欲しいところです

まずは、マイクロソフト(以下MS)のXbox Oneから。Xbox OneはE3に先駆けて行われた発表会で新型Kinectを全てのハードに同梱させ、ゲームはもちろん、音楽や映画など、あらゆるエンターテイメントを集約するビジョンを掲げています。

E3では一転、ゲームソフトに焦点をあてた発表を行いました。しかも、Kinectを中心にしたものではなく、従来のゲームユーザー向けな、ハードコアなゲームを多数紹介。本体発売同時タイトルには人気のレースゲームシリーズ最新作「Forza Motorsport 5」や、ローマを舞台にした新規のアクションゲーム、「Ryse:Son of Rome」など。その他カプコンの「デッドライジング3」なども、独占タイトルとして紹介。発表会で登場したソフトが17本、うち12本がXbox Oneへの独占、新規作も多数ということで豊富なコンテンツを見せつけました。

価格と発売日も発表されまして、北米では本体価格499.99ドルで2013年11月に発売となっています。499ドルというと、日本では5万円前後での販売が想定されることになり、かなり高めの印象です。高くなっている大きな理由はおそらく同梱されるKinectでしょう。それでも、Kinectの革新性や豊富な独占タイトルによって高くても売れるという、強気の価格設定に感じます。

北米でこの強気がどういう流れを産むのかはとても興味深いところですが、Xboxブランドに力の無い日本市場では大きな弱点になることが予想されます。ゲームハードはコンテンツが魅力的かどうかが第一で、価格が安ければ買ってくれるというものではありませんが、価格が高くなればなるほどより強い購買動機が必要になります。

現状発表されている独占タイトルは日本ではあまり影響力を持たず、また、そもそも価格を押し上げているKinect自体、日本では人気が無いことから、わざわざ高いハードを買う強い理由を持つユーザーは少ないかもしれません。

また、発売日に関しても、今回11月発売として発表された21の地域に日本は含まれておらず、Xbox360が日本であまり売れなかったことから、日本の優先順位が低く設定されているんじゃないかということで年内の発売を疑問視する声もあります。

この状況で年内発売がもし無かったとなれば、日本でのXbox Oneの普及は相当苦しいことになります。今後の発表で、年内発売、そして日本向けキラータイトルといったサプライズを期待したいところです。

続いては、PS4についてお話いたします。

PS4のライバルはPS3

PS4の図

高価だけど高性能なハードとして登場したPS3とは真逆、コンテンツを中心に紹介し、買いやすい価格を提示しました

ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCE)もMSと同様に、ハードのビジョンについては2013年2月に行われたPlayStation Meeting 2013で発表を行なっていまして、E3ではソフトコンテンツ中心のプレゼンテーションとなりました。

ファーストパーソン・シューティングシリーズ最新作の「Killzone Shadow Fall」や新規アクションアドベンチャーゲームの「Knack」など、こちらも豊富なタイトルを紹介。

Xbox Oneとの大きな違いは価格で、北米価格が399ドル。日本では約4万円程度の販売が想定される価格で、Xbox Oneと1万円程度の差がつくと考えられます。ちなみにXbox OneはKinectを同梱しましたが、PS4はPlayStation Cameraを別売りとしました。今回のPS4はハードの構成も、売り方も、インパクトは少ないかもしれませんがより堅実な選択をしている印象です。

ちなみに、北米、欧州では2013年末に発売されるとしていますが、日本での発売日は後日発表ということになっています。SCEは日本の企業ですから、Xbox Oneのような懸念はあまり聞こえてきませんが、いずれにしろ国内発売日の発表が待ち遠しいことにはかわりがありませんね。

Xbox OneとPS4は多くのタイトルがマルチで両方から発売され、激しく競合することが予想されます。XboxブランドとPlayStationブランドを比較した時に、日本では圧倒的にPlyStationブランドの方が強固な基盤を築いていること、価格においてPS4が1万円のアドバンテージがあること、そしてXbox Oneの切り札であるKinectが日本では人気の無いことを考えると、Xbox Oneに対してはかなり優位な状況にあると考えられます。

ただし、PS4が普及台数を伸ばす時に大きなライバルとして立ちはだかるのは、おそらくXbox Oneでも、Wii Uでもありません。ある意味で最大のライバルはPS3ではないでしょうか。SCE自ら、しばらくはPS3とPS4を併売すると発言していますし、発売されるゲームソフトもPS3とPS4のマルチが多くなることが想定されています。PSVitaにおいても、販売が見込めるシリーズタイトルがPSPとのマルチを取りたがる傾向にありますが、PS4とPS3もマルチタイトルが増えれば、その分PS4の購入動機は弱くなり、普及速度は鈍くなります。

日本のPS4においては、他社との競争というより、現状でPS3を楽しんでいるユーザーを、どうやってスムーズにPS4に呼び込んでいくのか、ここらへんが初期においてはポイントになっていくのではないかと思います。PS4になって性能が上がった、それが何を意味するのかというのをコンテンツで明快に示す必要があります。

最後は、Wii Uです。

任天堂のコンテンツで勝負に出る Wii U

スマブラの図

ロックマン、むらびとの他に、まさかのWii Fitトレーナーまで参戦のスマブラ。Wii Uと3DSの両ハードで発売されます

先陣を切って発売されたものの大苦戦中のWii U。ソフトがほとんど発売されないという状況でE3での発表に注目が集まっていました。任天堂は今回E3に出展はしましたが、全世界に向けた大規模カンファレンスは行わず、流通、メディア、ユーザー向け、あるいはそれぞれの地域に向けた情報発信をするということで、日本向けにも「Nintendo Direct@E3 2013」での発表が行われました。大規模カンファレンスこそありませんでしたが、ニンテンドーダイレクトはきちんと日本のユーザーが喜ぶタイトルが日本語で分かりやすく紹介され、大きな注目を集めました。

今回のニンテンドーダイレクトでは、任天堂発売、販売のものが紹介された形で、サードパーティーの発売タイトルはありませんでした。Wii Uを牽引するにあたって、やはり自社の強力なタイトルで勝負をかけたという格好です。

中でも話題になったのはWii Uとニンテンドー3DSの両方で発売される予定の「大乱闘スマッシュブラザーズ(以下スマブラ)」。「どうぶつの森」シリーズの「むらびと」や、カプコンの人気シリーズ「ロックマン」の参戦など、あっと驚かせるキャラクターの登場にファンの期待が膨らみます。ですが、Wii Uの現状を考えると、最も大事なソフトはスマブラではありません。

あまりにソフトが少なく勢いの途絶えてしまっている状況を年末商戦で大きく挽回する、これが最優先課題となります。その為に最も重要なのは2013年後半に発売されるソフトで、「スーパーマリオ3Dワールド」、「Wii Fit U」、「Wii Party U」あたりがハードを牽引できるかというのがポイントになります。

現状を覆して、Wii Uに勢いをつけ、2014年のマリオカート8や大乱闘スマッシュブラザーズに繋げることができるかが、Wii Uの今後を大きく左右しそうです。

さて、いよいよ次世代据え置きハードが揃ったわけですが、これらのハードの動向は、ゲーム業界全体の浮沈にも大きく関わります。

据え置きハード存亡をかけて

たくさんのゲームの図

各ハードが競い合うことで、ゲーム業界全体が盛り上がって欲しいと願います(イラスト 橋本モチチ)

Xbox One、PS4、Wii Uとそれぞれのハードが、日本市場においてどういった状況になるかお話してみました。いかがだったでしょうか。

日本の市場の今を見てみると、3DSは非常に好調で、9月にモンスターハンター4、10月にはポケットモンスターX・Yと立て続けにキラータイトルが発売されることからも盤石といえる体制ですが、それ以外のハードはイマイチ元気がありません。

もちろんハード交代期だからということは言えるんですが、次世代据え置きハードについても、これ以上高性能なハードが本当に必要なのか、ゲーム専用機という存在そのものが時代遅れで、ゲームは、スマートフォンやタブレットPCなどに吸収されていくんじゃないか、なんていう声も聞こえてきます。特に日本では、コンシューマーゲームの中においても携帯機が主流で、据え置きハードは縮小傾向にあります。

次世代据え置きハードを普及させるということは、そういった声に対して、いやいや、据え置きのゲーム専用機には十分な魅力がありますよと、証明してみせる活動に他なりません。

厳しい環境ではありますが、新しいハード、新しいゲーム、新しいサービスが登場するこのタイミングこそ、もう一度ゲームの魅力を多くの人に知ってもらうチャンスでもあります。Xbox One、PS4、そしてWii Uがそれぞれ競い合い、年末商戦を大いに盛り上げて欲しいと思います。

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【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)

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