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お酒は美容の敵?アルコールで美しくなる秘密

アルコールは昔から「百薬の長」と言われてきましたが、飲みすぎが体によくないことはご存じかと思います。アルコールは、実は健康美にとって大切なアイテムの一つ。お酒が好きな人にはたまらない、お酒で美人になる秘密を解き明かしていきたいと思います。

山下 真理子

執筆者:山下 真理子

ボディケアガイド

お酒は美容の味方?それとも悪者?

お酒は美容の敵?

お酒は美容の敵?

 
<目次>

酒は百薬の長、とはよくいったもので、アルコールは昔から、滋養にいいと治療薬としても用いられてきました。しかしながら、飲みすぎた日の翌朝、全身むくんでいたり、胃が悪くなったりした経験がある方もいらっしゃるでしょうし、「飲みすぎて最近太ってきた」という声もよく聞きます。美容とアルコールは、決して一緒に語られることのない真逆の関係のように思われがちですが、実は、アルコールも飲み方によっては、アンチエイジングに最高のツールになるのです。

もちろん、お酒を大量に飲みすぎるのは、アンチエイジングには大敵。アルコール性肝硬変など肝疾患の原因になることはご存じの方も多いと思いますが、とある研究によると、コップ4杯以上のアルコールを毎日飲む人は、そうではない人に比べてがんのリスクが高まるといわれています。

また、アルコールには、体内のビタミンと水分を分解してしまう作用があります。お酒を飲んだ後に、やたらおなかがすいたり、のどが渇いたりした経験はありませんか。これは、アルコールを分解するときに、水分とビタミンが大量に消費されるからです。

やたらおなかがすくのは、アルコールによって、満腹中枢を刺激するホルモンであるセロトニンが不足してしまうからです。厳密には、セロトニンの材料であるビタミンBを、アルコールが壊してしまうので、セロトニンの合成が低下してしまうことによります。

セロトニンは、満腹中枢を刺激するだけではなく、睡眠にもかかわっていたり、あとは、ストレスを減らす作用があります。お酒を飲みすぎると、変な時間に目が覚めたり、イライラしたりした経験はありませんか。それは、セロトニンが不足することで起こる作用です。
 

アルコールで元気がなくなる理由は、ビタミンB

アルコールでビタミンBが壊されてしまうことで、セロトニンが不足するだけではなく、さまざまな体の不調があらわれます。ビタミンBには、糖質や脂質を分解してエネルギーに変えてくれる働きがありますが、B不足になると、エネルギーが作れなくなってやたら疲れやすくなります。居酒屋メニューに多い揚げ物や炭水化物のカロリーがエネルギーに変換できず、そのまま脂肪へと変わってしまって肥満につながります。また、粘膜をつくってくれるのもビタミンBなので、不足すると、口内炎やニキビの原因になります。

お酒を飲むときには、必ずビタミンBを摂取するように心がけましょう。特にアルコールによって不足しやすいビタミンB1は、牛肉や豆類、米ぬか、ハム、オレンジなどに含まれます。比較的外食などでも摂りやすいビタミンなので、メニューを選ぶときの参考にしてみてください。

ビタミンB1について少し触れておくと、このビタミンは、主に糖類の分解にかかわっています。疲労物質である乳酸を分解してくれるので、不足すると筋肉痛やからだのだるさにつながります。また、神経にもかかわっているビタミンB1は、脳の働きを活発化して、精神を安定させる働きを持っています。不足するとイライラするのは、ビタミンB1不足によっても起こるし、「なんだか頭がまわらないな」という状態になりやすくなってしまいます。

また、アルコールを飲むことで、アセトアルデヒドという有害物質が体内で発生しますが、ビタミンB1は、このアセトアルデヒドを体の外に排出してくれる働きがあります。1日のビタミンB1所要量は、成人男性ならば1.1mg、成人女性で0.8mgです。とんかつ1人前、ウナギのかば焼き約2串分くらいです。
 

お酒は体質的に飲めない人も……こんな人は要注意!

アルコールは、好き嫌いが分かれる飲み物でもあります。「体質的に飲めない」という人がいたり、味を好まなかったりする人もいます。顔が赤くなる人とそうならない人がいたりしますが、いったい、何の違いで、「顔に出やすい、出にくい」は決まるのでしょうか。

アルコールを摂取すると、肝臓で「アセトアルデヒド」と呼ばれる物質に変換されます。これは人体にとって有害な物質で、食道がんとの関連性も指摘されています。アセトアルデヒドが合成されるときに大量の活性酸素が発生し、全身の細胞にダメージを与えてしまいます。

アセトアルデヒドは、すぐに酵素で分解されて酢酸という無害な物質に変わりますが、遺伝的に、有害なアセトアルデヒドを分解する力が強い人と弱い人がいます。アセトアルデヒドがなかなか分解されず残ってしまう人は、お酒を飲んで気持ち悪くなったり気分が落ち込んだり、あとは顔がすぐに赤くなったりします。

「すぐに顔に出る」という人は、お酒はほどほどにしたほうがよさそう。顔が真っ赤になっても飲み続けてしまう……なんて人は要注意。体がフケていく、っていうだけではなく、健康にもとってもよくないです。

アセトアルデヒドの有毒性を解消してくれるのは、野菜に含まれる栄養素。「ファイトケミカル」と呼ばれる、抗酸化力が非常に強い栄養素がありますが、これは、アセトアルデヒドだけではなく、たばこやストレスなどが原因で発生する活性酸素を除去してくれる作用があります、数万種類ものファイトケミカルがあるといわれ、ひとつの野菜の中に数百種類は入っているといわれています。アントシアニン、リコペン、カテキンなどの栄養素の総称のことです。アセトアルデヒドの分解を促進してくれるのは、赤色や黄色の野菜に多く含まれるファイトケミカル。飲みにいくときには、色の濃い野菜を選ぶようにしましょう。
 

アルコールを飲む目安って?

アルコールは、無計画に飲んでばかりいると、美容どころか健康にもよくありません。けれども、適量であれば「体に良い薬となる」ことは、江戸時代のベストセラー健康書「養生訓」にも記載されています。

「適量」とは、血中アルコール濃度が0.02%程度、と言われており、これは20g程度のアルコール量のこと。ウイスキーなら60ml、ビールなどなら500ml、日本酒なら180mlが目安です。女性は男性よりも体格が小さいので、これの約半分ぐらい、と思っていてください。体重50kgの人が、20gのアルコールを分解するためには、だいたい3~4時間がかかるといわれているので、参考にしてみるのもよいでしょう。

心疾患や脳卒中などの脳血管系疾患とアルコールの関連性も、最近の研究では明らかになりつつあります。飲みすぎると、疾患のリスクになりますが、適量を守って飲酒を続けていると、明らかに心疾患の発生リスクが低いことが証明されています。
 

美容にいいお酒の選び方とは

お酒で美魔女に?

お酒で美魔女に?


では、特にどういった種類のお酒が、アンチエイジングにとって良いのかをお話ししていきます。

日本酒やビールなど、炭水化物を材料に用いて作られた種類のお酒は、糖質過多になりやすく、ダイエット中は控えたほうがよさそう。特に、アルコールでビタミンBが不足した状態で、ビールのアテに炭水化物を……なんてのは、最悪の組み合わせですね。ウイスキーやテキーラなどは、アルコール度数が高いので、顔が赤くなりやすい=有害なアセトアルデヒドが分解されにくい体質の人は、避けたほうがいいかもしれません。

けれども、アンチエイジングということであれば、一番のオススメは「赤ワイン」です。なぜ赤ワインがオススメかというと、それは、赤ワインに含まれるポリフェノールが、健康美には欠かせない有効成分だからです。

赤ワインのアンチエイジング効果は、赤ワインをたっぷり摂取している人を見ると明らか。とくに、美人ほど、飲みの席では、美容を意識して赤ワインを選んでいるように思います。

「フレンチパラドックス」という言葉をご存じですか。

赤ワインといえば、フランスのボルドー地方が名産。研究により、この地域で赤ワインを毎日250cc以上摂取している人は痴呆になりにくい、ということから、「フレンチパラドックス」という現象が発見されました。これは、フランスでは、動脈硬化や高血圧を起こしやすく心疾患の原因になりやすい乳脂肪消費量が多いのに、他の地域に比べて心疾患が少ないという現象です。研究から、これは、赤ワインに含まれるポリフェノールによる効果だということがわかってきました。

赤ワインのポリフェノールは、活性酸素を除去して、動脈硬化や心疾患の予防、白内障などをはじめとした加齢性疾患を予防します。また、脂肪の吸収を妨げることで、肥満予防にも有効であることがわかっています。フレンチでよく見かける「牛肉の赤ワイン煮込み」は、アルコールでお肉を柔らかくしながら、脂質の摂りすぎになるのを防いでくれる、まさに美人のためのメニューというわけです。
また、体の老化の原因でもある活性酸素を除去することで、肌細胞が受けるダメージが減少して、美肌効果もバッチリなのです。

赤ワインのポリフェノールの一種でもあるアントシアニンには、眼病予防効果もあります。目から受けた信号を脳に伝える物質=ロドプシンを活性化するのは、アンチシアニン。ロドプシンは、不足すると視力低下につながるので、目が悪い人にも赤ワインはオススメです。


もう一つの赤ワインポリフェノールの重要な効能があります。それは、「不規則な生活をリセットしてくれるリセット効果」です。

アメリカハーバード大学で行われた動物実験により、「赤ワインから抽出した成分によって、高カロリー高脂肪食を与えたマウスが、健康な食生活をしたマウスと同程度長生きした」という結果が得られました。

これの理由は、「レスベラトロール」という、赤ワインポリフェノールの一種によるものだということがわかっています。レスベラトロールは、ブドウの皮などに多く含まれており、現在、健康と美容に有効ということで非常に注目を集める栄養素のひとつ。

血小板の粘つきを軽減して、弾力のある血管を保つ作用があったり、抗炎症作用や、怪我の治りを早くする作用があることがわかっています。血行が良くなることで、血液循環が改善し、代謝がアップします。

また、アンチエイジングに必要な「サーチュイン遺伝子」という遺伝子をオンにする物質がレスベラトロールであることも、最近の研究からわかってきました。サーチュイン遺伝子がオンになると、抗老化のためのあらゆる作用が起こり始めることがわかっており、老化や寿命などにもかかわっているといわれています。

サーチュイン遺伝子をオンにして、代謝を改善するレスベラトロールは、現代人には欠かすことのできない栄養素です。仕事をしているとどうしても不規則な生活になりがちですが、レスベラトロールを取り入れることで、規則正しい生活を送っているのと同じ状態に戻してくれるからです。

決まった時間に十分な睡眠をとり、栄養価の高いものを十分量摂り、朝昼晩三食……なんて、できるにこしたことはないですが、たまに外食するのはいい気分転換になるし、夜更かしすることでストレス発散したり、仕事で3食決まった時間に食べるのが難しかったりすることもあるでしょう。そういう時には、レスベラトロール摂取を意識してみるのもいいかもしれませんね。

このレスベラトロール、必要摂取量は、以下のとおり。

グラス一杯の赤ワイン 240mL は,約 640mcg のレスベラトロールを含むそう。一握りのピーナッツは,約 73mcg のレスベラトロールを。

ガン予防を目的とした動物実験で投与されたレスベラトロールははるかに大量です。平均的な体型の成人に当てはめると,1日あたり 500mg(500,000 mcg)になります。健康な人がレスベラトロールを愛用するなら、ここまで過剰に摂取する必要はありませんが、飲みの席で、意識して赤ワインを選ぶだけで、お酒好きでも賢くアンチエイジングができるというわけです。
 

お酒のおつまみでもアンチエイジング

おつまみ選びも慎重に

おつまみ選びも慎重に


もちろん、赤ワインにもアルコールが入っているわけで、飲み過ぎはよくありません。自分の体と相談しながらつきあうのが一番ですが、赤ワインと一緒に摂るとオススメのアイテムをいくつか紹介します。

まずは、ピーナッツや落花生。これらにはアルコールで不足しやすくなるビタミンB1が豊富に含まれています。特に落花生には、血行を良くしてくれるビタミンEも豊富に含まれ、くすみ予防やムクミ予防にも有効です。食物繊維も多く含まれ、腸内をキレイにしてくれる働きがあります。ビタミンB1を多く含むものは、ハムや牛肉などもあります。比較的外食でもとりやすい食品なので、積極的に選んでみてはいかがでしょうか。

あとは、大豆製品。大豆は、豊富にタンパク質を含み、コラーゲンを作って美肌効果もある他、大豆に含まれる大豆イソフラボンは、コレステロールを低下させたり血行をよくする作用があります。また大豆イソフラボンは、「美人ホルモン」とも呼ばれるエストロゲンという女性ホルモンに似た働きをして、メリハリのある体つくりの材料となります。

フルーツなどは、ビタミンが豊富なのでオススメではありますが、食べ過ぎには注意。フルーツの糖分は、意外と吸収されやすく、ダイエットの敵です。パイナップルなどの南国の食べ物は、身体を冷やす作用があるので注意。りんごなどの繊維質の多いものを選ぶとよいでしょう。

デートの時に選ぶおつまみなら、チョコレートがオススメ。チョコレートに含まれるポリフェノールに、美肌作用があるのはもちろんですが、チョコレートには、恋愛感情を起こさせる恋愛ホルモンを誘発させる作用もあるのです。赤ワインとチョコレートは、昔から「ベストマッチな組み合わせ」と言われるほどなので、デートの時にはぜひ試してみてはいかがでしょうか。

逆に、唐揚げやフライドポテトなどの揚げ物は、いつも以上に控えるようにしましょう。外食産業で用いられる悪い油は、身体を酸化させて老化させる働きが強いですし、お酒を飲んでいるときは特に、油に含まれる脂質が吸収されやすくなっています。ダイエットしている方は、お酒の席での炭水化物も、できるだけ控えるようにしましょう。


いかがでしたか。アルコールと賢く付き合って、ワンランク上の素敵な大人の貴女を目指してはいかがでしょうか。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して肌荒れや不調を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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