干した後たたむ場所が合理化のカギ
専用の室内干しスペースをつくると、いつでも物干しが出来るようになりますが、裏を返せばいつまででも干してある、ということになりかねません。外干しの場合は夜になったら取り込む、という習慣があるのですが、室内干しの場合はいつ取り込む、という縛りがないので、次の洗濯物を干すときまで干し続けてしまいがちです。干したあとはたたむ、しまう、といった家事が必然的に発生するのです。現状この工程を自動化した家電製品はなく、ある意味昔から合理化されずに残っている家事なので、相対的には家事の中で比重が増加しています。家の中で、洗う→干す→たたむ→しまう、の4工程をどこで行うのかをもう一度整理して考えてみましょう。この間に頻繁に階段を上り下りするような計画はよいとはいえません(図6)。「干す」ベランダと「しまう」収納のある個室が共に二階になる場合が多いので、ポイントはその間の工程である「たたむ」をいかに2階でするかにあります(図7)。
【図6】洗濯、物干し後の動線:頻繁に階段を上り下りせざるを得ないような計画はいい計画とはいえない。 |
【図7】物干し後の動線のコンパクト化:干す、たたむ、しまうの3つの場所を2階に集め、できるだけ近づける。 |
室内干しスペースをこの「たたむ」スペースとして有効に働かせることが合理化のカギになります。そして「しまう」機能まで持たせてしまうアイデアもあります。図8では、着替える(洗濯物が出る、新しい衣類を着る)ところから、干す、たたむ、しまうの各機能を室内物干しスペースに持たせています。もしこの空間に洗濯機置き場を造れば、すべてがこの部屋でできてしまうことになります。家族全員の衣類を収納するとなると、日当たりのよい南側にそれだけの収納スペースが取れないことも多いでしょうが、ルームウエアなど日常の限定的な衣類だけでもここに置くことで、大幅な合理化が図れるのではないでしょうか。