日本人にとって、馴染み深い魚である金魚。古くから私たちの生活に深く関わってきた。金魚を知らない日本人は、まずいないだろう。実際に飼育したことがある方も多いはず。しかし、そんな私たちにとって身近な魚であるのに、上手に飼育管理されている方は意外と少ない。
ワキン

バランスの良い配色の更紗ワキン。もっとも金魚らしい金魚だ。


例えば、こんな経験は無いだろうか?
  • 縁日ですくった金魚が1週間で死んでしまった。
  • 春先や秋口に金魚が弱ってしまう。
  • 水槽が生臭い。
  • 体中に白い斑点ができた。
初心者の方からよく相談を受ける一例だが、それらの問題は、基本的な飼育のコツさえ掴めば、簡単に解決できる問題でもある。

金魚は、もともと丈夫な魚。中には飼育が難しい種類も存在するが、本来はとても飼いやすい。当たり前のことを、当たり前に管理する。それだけで、永く飼育を楽しむことができる。種類に拠っても異なるが、凡そ10年の寿命があると言われている。

とは言え、魚を飼育する上での、その当たり前の事が中々分からない。金魚が余りにも一般的なので、魚の飼育知識のない方でも往々にして飼育の機会がやってくるのも原因のひとつだろう。

水槽での鑑賞を目的とした飼育を中心に、これから金魚を飼ってみたい方。また上手に管理することが出来ない方に向けて、分かりやすく金魚の飼い方のイロハについて解説していく。

金魚の起源は、2千年前におきた突然変異!


金魚の歴史は2千年

飼育の解説をする前に、まず簡単に金魚について知っておこう。

金魚の起源は、2千年ほど前に中国で野生のフナ(Carassius auratus)から突然変異で生まれた赤い魚とされる。その後、当時の貴族などに愛され、長い年月をかけて様々な色彩形状へと品種改良されてきた。「和」のイメージが強い金魚だが、元々は中国から輸入されたものなのだ。

キャリコスイホウガン

キャリコスイホウガン:優雅な姿と引き換えに、野生味は失われた。水槽の中でしか生きる事ができない。

さて、日本には、室町時代の中期に明(当時の中国)から泉州(現在の大阪)に伝わったとされる記録が残っている。輸入当初はまだ大変珍しく貴重な魚で、一部の特権階級の間での飼育に限られていた。

やがて、江戸時代の文化・文政年間(1804~1829)になると庶民の間にも飼育が広がり、現在知られるような多種多様な品種へと改良されることになる。

現在、日本での主な産地は、奈良県大和郡山市、愛知県海部郡弥富町、東京都江戸川区春江町が3大産地だ。しかし、現在は熱帯魚人気の勢いに押され、年々規模じゃ縮小傾向にあるそうだ。

2千年という長い年月をかけて、観賞することを目的に改良されてきたのが金魚。そこに野生味を感じることはもはや無く、優雅なヒレと代償に俊敏な泳ぎを失い、人間の管理の下でしか生きてゆけない優雅で果敢なさを併せ持つのが金魚だ。

 


金魚の性質

金魚の祖先である野生のフナは、雑食性の温和な魚。そんな血を引く金魚も温和な性質で、長年体型やヒレなどを改良されてきた結果、どちらかと言えば鈍重な印象すら受ける。

また、人に慣れやすいのも金魚の特徴の1つ。飼育すると良く分かるが、水槽の前に立つと餌をねだって寄ってくる。これは条件反射によるもので、経験から人間の姿を見ると餌をくれるものだと拠ってくる。理由はともかく、人懐っこい様子は、飼育していて楽しい。

代表的な金魚の仲間を6種紹介

金魚の種類

金魚の始まりは、突然変異で生まれた赤いフナ。いわゆるヒブナ(緋ブナ)になる。それを元にワキンが作出され、その後様々な選別淘汰。さらに様々な特徴を持つ種類同士の掛け合わせが行われ、多くの品種が生み出されてきた。品種によっては、とてもフナが祖先だと思えないものもいる。

代表的な品種には、ランチュウ、出目金、和金、流金など、およそ数十種類の品種がいる。中には高知県の「土佐金」、愛知県の「地金」などのように県の天然記念物になっている種もいる。

ワキン

ワキン:長ものの代表種。先祖のフナに近い体型から泳ぎも俊敏、尚且つ非常に丈夫な品種。金魚すくいで良く目にする。

さて、金魚を大別すると、長ものと丸ものに分けることができる。

長もの
長ものは、先祖のフナに近い体型で、金魚の中でも俊敏な泳ぎをする。また丈夫な種類が多く、拠り飼育が容易。最大で30cmほどと、丸ものと比べて大きくなるのも特徴の1つだ。

代表種:ワキン、コメット、シュブンキン

 

リュウキン

リュウキン:丸ものの代表種。目にする機会も多くゆったりとした泳ぎから人気が高い。飼育・入手ともに容易

丸もの
一方、丸ものはやや寸詰まりの体型で、フナとはかけ離れた丸い体型の種類を指す。長ものと比べ、泳ぎは余り得意ではなく、ゆったりとした泳ぎが特徴的だ。より金魚らしい優雅な種類が多い。

代表種:リュウキン、タンチョウ、ランチュウ

飼育に際して、できるだけ長ものと丸ものは一緒にしない方がベストだ。ワキンやコメットなどの長ものは、活発に泳ぎ餌をとるのも上手。しかし、リュウキンやランチュウに代表される丸ものは、泳ぎが余り得意ではない。餌をとるのも下手なので、長ものと一緒に飼育すると、餌が回らなかったり、苛められてしまうこともある。

では、その他の代表的な金魚も見てみよう。

タンチョウ

タンチョウ

タンチョウ

白いボディーに赤い頭が目を惹く品種。その姿をタンチョウヅルに見立てられての命名。シンプルな配色はとても上品な印象を受ける。


 

 

オランダシシガシラ

オランダシシガシラ

オランダシシガシラ

発達する頭部の肉瘤(にくりゅう)が目をひく。日本に初上陸した当初、長崎に輸入されたので“オランダ”と呼ばれた。実際は中国からの輸入だったが、当時舶来物はオランダと名づけられることが多かった。


 
スイホウガン

スイホウガン

スイホウガン

目の横にある水泡が特徴的な、少々変わった雰囲気の金魚。水疱の中身は、リンパ液でみたされている。この水泡は破れやすいので、活発な品種との混泳は避けたい。


 

 

チャキン

チャキン

チャキン

金魚の中では珍しく、茶色を基調とした品種。一見地味な印象だが、成長したものは独特の雰囲気をかもし出し美しい。

 
画像提供(7点):草野金魚屋 

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。