停電時を再現 暗闇体験 

暗闇体験が行われた舞台

写真1.暗闇体験が行われた暗幕が引かれた舞台

「防災サバイバルキャンプ『避難所生活体験』 実技編」の記事でもご紹介した、「避難所体験生活イベント」では、停電時のあかりがない状況を体感する「暗闇体験」と、講義では、千代田区防災・危機管理課による「防災出前講座」、石巻の被災者の方の体験談を聴くことができました。

暗闇体験とは、体育館の舞台に物を置き、暗幕で囲った空間を3メートルほど歩く実験です。照度は0.1ルクスを下回り、測定不可能でした。まさに手探りで、声をかけあいながら、何かにつまづきそうになりなら、進みます。5分もすると、目が暗さに順応するため、おぼろげながら物の形がわかるようになりました。皆、自分も他の動物と同じような能力が備わっているのに驚いているようでした。

 

暗闇体験後にあかりを点けた様子

写真2.暗闇体験後にあかりを点けた様子。つまづきそうになった舞台内

ただし、これは安全が確保されている前提のことです。実際に夜間に停電になれば、真っ暗な中に、棚やテーブルから落ちたものが散乱し、とても危険です。足元が確認できない場合は、慌てて動かない方が賢明かもしれません。

非常照明がついている場所でも、30分または1時間しか明るさが保障されていません。非常照明とは、一定規模以上の建築物や、不特定多数の人が使用する施設、無窓居室などで、停電時に避難用に必要な照度、白熱灯の場合床面で均等に1ルクス、蛍光灯の場合は同様に2ルクスを確保できることが義務付けられています。

今回の「暗闇体験」では、その後、化学薬品で発光する使い捨てのケミカルライト(写真3)を1本つけたところ、はじめて空間の全容がつかめました。床にはロープが、机や椅子が散乱していました。わずか0.3ルクスでしたが、危険回避には十分なことが確認できました。

 


ケミカルライト

写真3.ケミカルライト1本でおおまかな状況はつかめる

千代田区防災・危機管理課による「防災出前講座」では、開口一番、「行政は頼れないと思ってください」とおっしゃいました。冗談かと笑いが起こりましたが、残念ながら事実でした。都市型震災である阪神淡路大震災では、地震直後の14分間に9割以上が亡くなっているそうです。

生き埋めになった3万人のうち、救助隊が助けたのは2%、6割以上が近所の人に救助されているのです。話を聞けば聞くほど、最も必要な時点では、行政や消防があまりに無力であることが理解できました。自分の身は自分で守る、余力があれば隣の人を、それが無事な人の使命とのことです。

次の頁では、「石巻の被災者の方の体験談」をご紹介します。