発車式

新しい渋谷地下駅での始発電車の発車式 (東急電鉄提供)

2013年3月16日、東急東横線渋谷駅は、それまでの地上2階にあった行き止まり式の終着駅から地下5階に引っ越し、東京メトロ副都心線との直通運転を開始した。副都心線は、すでに東武東上線、西武池袋線と直通運転をしているので、これに東横線と一体となって運行している横浜高速鉄道みなとみらい線(横浜~元町・中華街)を合わせて5社が相互直通運転を行うこととなった。5社が相互直通運転をするのは、都営浅草線を介して、京成電鉄、北総鉄道、芝山鉄道、京浜急行電鉄が行っているのに続く2例目である。これにより、東京、神奈川、埼玉という1都2県を縦断する直通電車が誕生し、最長運転区間は、元町・中華街から森林公園に至る88.6km、所要時間は、1時間45分ほどである。

味わい深い地上の終着駅だった東横線渋谷駅

旧東横渋谷駅

かまぼこ型の屋根が特徴だった旧・東横線渋谷駅

櫛型ホーム

櫛型ホームで終着駅らしさのあった旧・渋谷駅

東横線渋谷駅は、1927(昭和2)年8月に誕生、東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年に現在のかまぼこ状の屋根を持つ独特の姿となった。以来、およそ半世紀、発着する電車は交代すれど、終着駅の雰囲気はほぼ同じままで、多くの利用者に親しまれてきた。櫛型ホームの終着駅は、ヨーロッパの都市では一般的であるが、我が国では東京駅をはじめ、通り抜けのできる駅が主流である。とくに東京では貴重な存在であっただけに、利便性向上のためとは言え、廃止が惜しまれる。

廃止となった、渋谷~代官山の地上区間

山手線との立体交差

JR山手線と交差していた東横線

渋谷川付近

渋谷川に沿って高架で横浜方面へ向っていた東横線

渋谷駅から次の代官山駅までは、しばらく高架区間が続いていた。渋谷川に沿って走る高架線は、開業以来八十年を越える古びたもので歴史を感じさせる。JR山手線と埼京線をオーバークロスする鉄橋も年代物。やがて丘陵地帯にさしかかり、都立大学駅までの区間で唯一の踏切を渡ると代官山駅に到着していた。今回の直通運転開始に際し、渋谷からは地下を進み、代官山駅の手前で地上に出るため、上記の高架区間はすべて廃止となった。都心のビルに囲まれた区域を高架で縫うように走っていた電車の姿は、もう見られない。

突貫工事

僅か4時間足らずの突貫工事で地下化完了(提供=東急電鉄)

この地下化工事は、営業列車を1日も止めずに行うことと、線路脇に仮線を敷いて工事を行うスペースが充分なかったため、線路の直下で工事を行うという厳しいものとなった。最後の仕上げである、地上線から地下線への切り替えは、3月15日の営業運転が全て終わった後(日付は16日の午前1時頃から)、16日の始発電車の走り始める午前5時頃までの正味4時間ほどの突貫工事で行われた。改めて、我が国の土木工事の緻密さ、正確さを認識した偉業である。