住んでみて良かった街、中央線の魅力の源泉は?

「東京」駅と「新宿」駅というJR山手線の2大ターミナルを通り、都内の真ん中を東から西へ貫いて走るJR中央線。古くから周辺住宅地の開発が進み、中古住宅のストックも豊富なことから、学生からファミリー層まで幅広い人気があります。

SUUMO「住んでみて良かった街ランキング」

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リクルートのSUUMOが調査した「住んでみて良かった街」では、上位10位以内に中央線の街が6エリアも入りました(吉祥寺・中野・三鷹・荻窪・国立・阿佐ヶ谷)。「一度は住んでみたい」「これから住みたい」という憧れを抱くだけでなく、実際に暮らしている人が住み心地の良さを感じている街が多いのが特徴です。

中古マンションの価格動向も、他の沿線にはない特徴があります。図2は、最寄駅からの徒歩分数ごとの成約坪単価を示したデータです。通常は、駅に近いほど価格が高く、駅から離れるにつれて少しずつ低くなっていきます。徒歩圏を超えてバス便になると、ガクンと下がるのが一般的です。

中央線の駅徒歩圏別の坪単価グラフ

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これに対して中央線の場合、徒歩10分以内は一般的な動きと同じように下がっていきますが、徒歩10分を過ぎるとあまり価格が下がらなくなるのです。10~12分より13~15分のほうが高くなっていたり、バス便でも徒歩圏とそれほど変わらなかったりします。駅から離れても、住環境など他の要素がきちんと評価されて価格形成されている、と言えるのです。

 
その理由の一つは、中央線の南側に並行して京王線が走っていて、その間に良好な住宅地が広がっていることです。駅からの徒歩圏から外れるエリアにも、網の目のようにバス路線が張り巡らされ、商店街やショッピングセンターなども整備されているため、交通と生活の利便性が保たれているという面があります。その結果、他の沿線にはない「バス便の住宅に対する抵抗がない市場」が形成されている、そして「交通の便よりも住環境などを重視する傾向が強い」とも言えるかもしれません。

中央線の沿線には多数の大学があり、文教エリアのイメージが強いのも特徴の一つ。学生時代に住み始め、社会人になっても同沿線を離れずに長く住み続けている人も少なくありません。


駅舎のリニューアルが進む、人気ナンバーワンの「吉祥寺」

中央線沿線の一番人気といえば「吉祥寺」でしょう。「住んでみたい街」の調査では常に1位、2位を争うトップランクに入り、全国区の知名度があります。

人気が高い最大の理由は、中央線で「東京」と「新宿」へ、京王井の頭線で「渋谷」へと、3つのターミナルに直結する独特のロケーションです。そのため、大型の百貨店、アーケード商店街、ハーモニカ横丁に代表されるレトロな飲食店街、多彩な繁華街など、大小さまざまな商業施設も集積。映画、演劇などの文化施設も揃っています。23区外でこれほど人が集まる大きな拠点はなかなかありません。

井の頭公園の写真

正式名称は“井の頭恩賜公園”。大正6(1917)年に日本初の郊外型公園として開園、4年後の100周年を迎え、記念事業が進んでいる

さらに、駅のすぐ近くにある「井の頭公園」の存在も大きいでしょう。武蔵野の面影を残す雑木林、神田川の水源となる湧水池、動植物と触れ合える自然園など、若者から子育てファミリー、リタイア層まで、世代を超えて憩える公園です。玉川上水を挟んで「三鷹の森ジブリ美術館」にもつながります。作家や文化人が住み、古くから愛されてきました。

中古住宅のストックも、マンション、一戸建てともに豊富です。駅徒歩圏の良好な住宅地は、杉並区の相場を超える高価格でも取り引きされています。場所によっては田園調布並みの金額になります。23区外では他に考えられない独特の市場を形成しているといえるでしょう。

吉祥寺駅舎の工事中の写真

吉祥寺駅改良工事が進行中

現在、吉祥寺駅では、JRと京王の両方で駅舎と駅ビルのリニューアル工事が進行中です。改札口を集約して乗り換えしやすいように整備し、狭くて入り組んでいた南北自由通路も拡張。歩行者の安全を高めるために南口駅前広場も整備されます。井の頭公園につながる七井橋通りも拡幅される予定です。駅周りが新しく蘇ることで、ますます人気が高まりそうです。

 
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