史上最多の1045勝を達成! 一時代を築いた名横綱

大相撲の歴史は千代の富士なくしては語れないのではないでしょう。身長182センチメートル、体重128キログラムという、力士としては決して大きくはない体格ですが、右四つからの力強い相撲が特徴です。その強さは優勝31回、通算1045勝という戦跡が物語っています。

そっぷ型力士の代表格ともいえるでしょう。筋肉質な美しい体と精悍な顔つきで、塩まきの姿にも見とれたのを覚えています。若い頃から左肩の脱臼癖に苦しみましたが、筋肉をつけることで克服し、大横綱へと成長していきました。部屋の弟弟子である第63代横綱・北勝海とは激しい稽古を繰り広げ、お互いを高めていったようです。

横綱に昇進する前は仕切りの時間も眼光鋭く相手を睨みつけ、「ウルフ」というあだながついたほどでしたが、横綱になってからは淡々と、しかし静かに闘志を高めていき、軍配がかえると一気に力を出してあっという間に勝っていた印象があります。

今でも印象に残っている取り組みは、平成元年春場所の横綱大乃国戦です。上手投げで勝ったものの、大乃国が転がった際に肩を脱臼してしまいます。土俵上ではあまり表情には出していなかったのですが、控え室で必死に痛みにこらえ、整復を受けていたのが今でも忘れられません。表彰式は左肩にテーピングをして賜杯を受け取りました。

平成3年夏場所において、初日の貴花田戦、3日目の貴闘力戦に破れ、「体力の限界」を理由に潔く引退します。あまりの強さにファンに飽きられてしまうほどでしたが、千代の富士にも終わりが来るのか、と少し不思議な気持ちでした。

引退後は先代(第52代横綱・北の富士)から引き継いだ九重部屋で、大関千代大海をはじめ弟子を育てています。親方としての今後も楽しみです。

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