歩廊の壁面に並ぶ女神の「デヴァター」がしなやかで優美

 

 

 

 

12世紀の前半にスールヤヴァルマン2世によって、30年の歳月をかけてインドシナ半島の中央部に建造されたアンコール・ワットは、3つの回廊によって構成されています。その第二回廊は、東西115m、南北100mの回廊です。

歩廊の壁面には、連子窓が並び、その間を埋めるように女神の「デヴァター」が刻まれています。

連子窓は、そろばんの玉のようなものが縦に並べられた格子状の窓です。風や明かりを取りこむためのものですが、アンコール・ワットの特徴的な景観を作り上げています。シンプルでありながらも幾何学的な美しさをもち、重厚な石造建築の堅いイメージを緩和し、暖かみを漂わせています。連子窓から注ぎ込む太陽光は、床面に光と影のシルエットを作ります。

連子窓の横には、女神「デヴァター」が、穏やかで神秘的な微笑みを湛えています。あちこちに彫られた「デヴァター」すべて、豊かな胸とおへそを露わに出していますが、頭飾り、ネックレスなどの装飾品、髪形、顔の表情、体の動き、プロポーション、衣装には、レリーフごとの特徴をもっています。

インドのヒンドゥー教寺院では、肉感的な女性が大胆に描かれているのをよく見かけますが、アンコール・ワットの「デヴァター」は、誇張した肉感表現をすることなく、しなやかで優美な姿をしています。きっと、クメール人が長い年月の中で培った独創的な美的感覚が活かされているのでしょう。

腰のくびれや、下半身のゆるやかな曲線は、女性の理想的なプロポーションのように見えてきます。柔らかな線の輪郭や、包容力に満ちた顔の表情に、女神への親しみが感じられます。

アンコール・ワットの遺跡全体では、2300体にも及ぶ「デヴァター」の姿に出会うことができます。


■アンコール・ワット
住所:Angkor Archaeological Park, Siem Reap, Cambodia
営業時間:終日
定休日:年中無休
ホームページ:アンコール・ワット

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