似たようなスチールワイヤーチェアーには、ミッドセンチュリー時代のハリー・ベルトイアーのダイヤモンドチェアがある。
が、それよりも徹底した、洗練されたメタルワイヤーファニチャーだと思う。『How High the Moon』の意は、クラマタさんが大好きだったジャズスタンダードナンバーのタイトルのひとつだと記憶している・・・たしか、ベイシー楽団の。



▲『Sally』アクリル、スチールクロームメッキ仕上げ 1987年

横にある『Sally』はコミカルな脚と、ピカソの抽象絵画のような天板を持つテーブルである。
この天板のガラスはカラーもの、透明クリアーもの、そしてヒビがはいったもので構成されて面白い。
とくに、ヒビ割れたガラス部分が印象的である。クラマタさんはよく「ガラスは割れる瞬間が一番綺麗で、好きだ!」とおっしゃっていた。

ガラスの割れる瞬間をどうにかしてカタチに、素材にしたい思いからこのクラック(ヒビ割れ)ガラスが生まれた。


▲ヒビ割れガラスの部分   ▲コミカルな脚と脚先にはキャスターが


生ガラスを2枚の強化ガラスでサンドして表から衝撃を与えて中のガラスを割る・・・・・こんな発想をする人がいるだろうか?
どうにかして割れないように、ワレナイようにと神経をそそぐことが普通だろう。

割れる瞬間、割れることのはかない美しさを表現する感性は、例えれば、「生け花の美」と通じる日本人の感性そのものではないだろうか・・・・・・。


▲『Sing Sing Sing』スチールパイプにクロームメッキ仕上げ、スチールエキスパンドメタル曲げ加工クロームメッキ仕上げ、W450・H860・D500・SH420mm 1985年


その隣に軽やかな椅子『Sing Sing Sing』がある。先ほどのHow High the Moonと同一素材、エキスパンドメタルで出来ている。キャンティレバー(片もち構造)のこの椅子に座ると前後に揺ら揺らゆれる・・・・・まさにSing Sing Sing である。

少々厚めのエキスパンドメタルを曲げ加工し流れるようなラインをもつ座と背を、26mmのスチールパイプで脚&アームフレームを支持した簡単な構造。ゆらゆら揺れるさまはアニメーションのキャラクターのようでもあり、眺めているだけで微笑んでしまう。