「履き心地」に最もシビアなドイツで開業!

Ryota Hayafuji 1

早藤 良太氏が作製するビスポークシューズの一例です。一見、典型的なイギリスの紳士靴の表情ですが、土踏まずから爪先にかけてのエッジの立て方にはどことなく、フランスの紳士靴の影響が見てとれます。

靴職人に限らず、ものづくりに携わる人にとって自らの工房を持つのは、いつの世も憧れです。その一方で自分の実力を海外、特に審美眼の厳しいヨーロッパで試してみたいと思うのも当然でしょう。両者を実現するには当然、その人に類稀なる才能と不屈の努力そして異文化に容易に溶け込める社交性が備わっていなければならず、決して簡単なことではありません。

が、それを靴作りの世界で見事にやってのけた人物が出て来ました。それが今回ご紹介する早藤 良太(はやふじ りょうた)氏です。ここ10年以上紳士靴に興味を持ち続けている方なら、彼の名を聴いてピンと来る方も多いでしょう。ヨーロッパ各国での長年の修業を経て昨年、2012年の春にドイツ南部の大都市・ミュンヘンで自らの名のビスポークシューズ工房を遂にオープンさせたのです。

Ryota Hayafuji 2

同じく早藤氏のオーダーサンプルから。内羽根式ながらコバを僅かに広く取り、アウトソールの土踏まず部も敢えてベベルドウェストには仕上げていないので、やや重厚な印象です。しかし粗野な雰囲気とは全く無縁です。

その彼がこの2月に一時帰国するのに合わせて、東京と大阪で受注会を行うことが決まりました。今回はそんな彼の靴のご紹介と、受注会の内容について!


次のページでは、早藤氏のプロフィールと彼の靴の特長について!

様々な国での修業が実を結んだ造形美!

Ryota Hayafuji 3

現地では「ハーフェルシュー」と呼ばれるサイドレースアップシューズは、ミュンヘンのあるドイツ南部からオーストリア・チロル地方に起源を持つ、言わばご当地靴の代表格。早藤氏のビスポークでももちろんオーダー可能です。コバの白の出し縫い糸が絶妙なアクセントになっています。

今回ご紹介する早藤氏は若い頃、著名なシューズセレクトショップで紳士靴の販売に携わったのが靴との直接的な縁のスタート。もちろんそれ以前から靴に対する興味は高かったのですが、次第に靴を「作る」ことに対する情熱が湧き上がり、意を決しイギリスのCordwainers College (現在はLondon College of Fashionの一部門)に留学します。在学中からイギリスのビスポーク靴職人の門を叩き、卒業後は敢えて直ぐには帰国せず、フランスのパリを拠点に彼の地の著名な靴職人のもとで修業を積み重ねました。

2004年にいったん帰国し、都内にあるイタリア系セレクトショップに併設された工房で靴の修理に携わります。そこで自らのビスポークシューズの製作も行い、修理共々好評を博していたのですが、彼の更なる向上心は三度、視点を海外へと向けたのです。その地が店を開くことになったミュンヘンで、2009年に転居し改めて修業に邁進し、一旦整形靴(この種の「医学的に正しい靴」を容易に注文できる社会的な仕組みが、ドイツは非常に整っています)を軸とする靴工房に就職して経験と実績を積み重ねた上で、2012年に満を持して独立となった訳です。

Ryota Hayafuji 4

切り返しのデザインが非常にユニークな、コンビのUチップです。履き口の真下でなく少し離れた所にブローギングを入れるのは、フランスの紳士靴に暫し見られる意匠。早藤氏がパリで修業をしていた経験が活かされたデザインです。

このように様々な地域での経験を積み重ねた早藤氏の靴には、当然ながら各々の要素が高度に複合化された表情が出て来ているのは数々の写真でもお解りでしょう。ある部分は典型的なイギリス靴の様式美で、別の箇所はフランスの紳士靴的、また別の所はお膝元であるドイツ・オーストリア圏の靴の要素が濃い…… 的な感じです。そしてその複合性が全く破綻を来たさず、一つのハウススタイルとして自然に昇華している点が何よりも素晴らしい!

独立して間もないとは言え、その造形はもはや誰の真似でもない領域に突入している感があります。しかも、これは早藤氏の気さくな性格がなせる技なのでしょうか、靴だけが決して独り善がり的に目立ち過ぎることはなく、履く人に寄り添ってくれそうなユーモアと言うのか、一種の優しさまで表情に持ち合わせている気もします。心理的にピリピリ緊張しがちな強張った靴ばかりが尊ばれる昨今、履いていて「その人」に自然になれてしまう雰囲気を有する彼の靴は、国の内外を問わず実は貴重な存在なのです。


最後のページでは、受注会のご案内!

東京と、そして大阪でも受注できます!

Ryota Hayafuji 5

つま先の切り返しがU字状になっているこのスタイルが、本来のUチップ。イギリスではその三日月形の形状から「クレッセント」とも呼ばれます。底付けはノルウィージャン製法で、以前はヨーロッパ大陸製の登山靴でお馴染みだったものです。手縫いで時間の掛かるこの底付けが可能なのも早藤氏のオーダーならでは。

洗練された表情を持ちながら、それが決して突っ張った・頑張り過ぎた印象には映らない早藤氏の靴。原則ミュンヘンに行かないとオーダーできないのですが、嬉しいことに2013年の春からは約半年に一度の割合で日本に帰国し、その際にオーダーが可能になります。イギリスの各ビスポークメゾンの日本におけるトランクショーの際と同様に、仮縫いフィッティングまでに半年、そこから完成・納品までに半年で合計約一年のスケジュールになる予定です。

アッパーの革には、ワインハイマーレーダー社のブラックボックスカーフのようなドイツに縁のあるものばかりでなく、ソフトなイタリアンカーフや型押しレザーなども多様に選べます。採寸はメジャーでの計測のみならず、整形靴の作製では暫し見られるフットプリント転写による考察もなされるとのことで、この辺りは流石、ドイツでの経験がしっかり活かされているようです。価格は通常の牛革を用いる場合、一足35万円+消費税からのスタートで、例えばノルウィージャン製法のような特殊な底付けを依頼したり、爪先やかかとをスチールで補強したりすると、別途オプション料金が加わります。なお、注文時と完成時に半金ずつの分割納入も可能です。

Ryota Hayafuji 6

シンプルな3アイレットダービープレーントウも、早藤氏の手に掛かるといっそう洗練されて来ます。丸過ぎず尖り過ぎない絶妙なトウシェイプと、引き締まった土踏まずとのリズムあるメリハリは、履き心地の良さを保証しているかのようです。

受注会の日程は東京が2月9日~11日の3連休、大阪が翌週末の2月16日~17日です。海外のビスポークメゾンのトランクショーは、殆どの場合東京のみで行われるので、大阪での開催は西日本在住の方には交通の便などを考慮すると非常にありがたい筈。一つの国ではなく、ヨーロッパ各国の靴の様式美を知り尽くした職人に、しかも日本語でオーダーできる…… ちょっと前までは考えられなかったことですが、それが遂に現実になります!


【受注会案内】
◎Ryota Hayafuji Shoemaker ビスポークシューズ受注会
・開催日時
東京 :2月9日(土)~11日(月・祝) OLD HAT(東京)にて
大阪 :2月16日(土)~17日(日) OLD HAT(大阪・Shoe Artisans)にて
・お問い合せ先
OLD HAT :TEL03-3498-2956


投資未経験者限定で、オンラインインタビューを受けていただける方を募集中!
ご応募の際に事前に投資意向調査アンケートにご回答いただきます。
投資に興味がない方から興味がある方まで幅広く受け付けております。
※謝礼は10,000円になります(最大10名まで)

ご協力いただける方はこちらから回答をお願いいたします(回答期限は2021年3月1日15時まで)


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。