紙には得意でデジタルには不得手なことは意外に多い

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簡単に2次元と3次元を行き来出来るのは、デジタルにはない紙の面白さ

ガイド納富は、買ってきた本をその場で切ってデジタル化して、iPadで読むし、原稿は全てパソコンやiPadで書くし、写真もデジカメでしか撮らないのですが、それでも取材は紙のノートを使うし、伝言のメモも紙のメモを使います。デジタルと紙は、別にどちらかがどちらかに取って代わるというようなものではないでしょう。ただ、デジタルが普及する事で、より、「紙であること」を考えた製品が出てきているような気がします。

2013年版の手帳に、例年に増してキャラクターものの手帳、それも大人向きのキャラクター手帳が増えていたのも、デジタルに対する紙ならではの魅力を追求したからではないかと思っています。紙に印刷されたキャラクターは、デジタルデータとして表示される画像よりも何となく有り難い気がしますし、キャラクターを身近に感じるためには「所有」している実感が重要なのです。その意味でも、紙は「所有感」がデジタルより強いんですね。

今回、紹介するメモと付箋は、それぞれ、元々「紙である事」に意味がある機能を持った製品が、さらに紙らしさを強調した、とても時代性を反映した製品だと思うのです。デジタルで書いたメモは、文字の集まりでしかないのですが、紙に書いたメモは「紙に書かれた文字」であり、書かれた紙は折ったり曲げたりすれば別の形になる事が出来るものです。その可変性こそが、紙とデジタルペーパーの大きな違いで、そこを機能と上手く組み合わせる事で、紙でなければ伝わらない何かを作る事が出来る、その証明のような製品を二つ、紹介します。

立体化するメモ「kamiteria ku-ru-ru」の大人的展開

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ペーパリー「kamiteria ku-ru-ru co-neko」「kamiteria ku-ru-ru ukiyo-e」各3デザインが10枚づつ入っていて、840円(税込)

書いたメモを、クルリと丸める事で書かれた内容を人目に触れないようにしつつ、ペーパークラフトのような立体物になるメモ用紙、それがペーパリーの「kamiteria ku-ru-ru」シリーズです。もう、数年前から続いているシリーズで、最近いくつか登場している、「メモを書いた後、折ったり曲げたりすると別の景色になる」的な製品の先駆けとなった製品でもあります。そして、先駆けだけあって(という訳でもないのでしょうが)、何というか、もう過剰な進化を果たしていて、その過剰さがまた、「紙である事」を高らかに主張しているようで、ガイド納富はゾクゾクとしてしまうのです。
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「kamiteria ku-ru-ru pen-guin」を組み立てたところ。こんな風に、動物の動きや動物がいる風景を、メモ用紙を使って表現するシリーズなのだ。

最初は、本当にただメモをくるっと巻くだけのアイディアを商品化した感じで、シンプルなデザインと、ちょっとファンシーな絵柄で、女の子向き雑貨文具のようなイメージが強い製品でした。現在、同工の製品がいくつか出ていますが、それらは現在も、ちょっとファンシーな女子雑貨的な枠を出るものではありません。しかし、この「kamiteria ku-ru-ru」は発売以来次々と登場する新作は、例えば当初、巻くと動物になる、といったものだったのが、動物を含めた風景を表現するようになったり、動物の動きの一瞬をとらえたジオラマ的なものになったりと、そのデザインには目を見張るものがありました。
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周囲に模様が印刷された縦長のメモ用紙と考えると、普通に使いやすい形とデザイン。これを丸めると、下の写真のような可愛いネコのペーパークラフトになるのだ

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ちょっと組み立てるのが難しいのだが、ここまで可愛くデザインされていて、糊もハサミも要らないのだから、出来上がった時の驚きは大きい。

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「co-neko」のパッケージに入っているデザインは3種類。上の二つと、下の1つ。どれも、動きと表情のデザインが見事で、それ自体作品として通用する。

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3種類の中では一番シンプルで簡単に組み立てられるデザインはこれ。しかし、他の二つに負けない躍動感が凄い。

今回の新作、「co-neko」と「ukiyo-e」は、「kamiteria ku-ru-ru」の現時点での集大成的なデザインの製品だと思います。「co-neko」は、そのメモ用紙を変形させるというフォーマットを突き詰めたような、もうペーパークラフトだと言いきって良いような製品です。何といっても組立が難しいのです。そして難しいけれど、出来上がると絶妙に可愛い小猫のポーズが出来上がるのです。そして凄い事に、組み立てる前のメモ用紙の形態では、普通に矩形部分が広くて、メモを書き易い形状になっているのです。その完成度は驚くほどで、ここまで過剰な仕上がりだと、もうガイド納富のようなおじさんが使っても大丈夫な気がするのです。
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「ukiyo-e」のパッケージには、この3種類が入っている。どれも葛飾北斎の「富嶽三十六景」を立体化したもの。

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こんな風に、丸めて切り込みに差し込むというのが組立の基本。「ukiyo-e」は組立が難しい事はない。

「ukiyo-e」は更に進んでというか、葛飾北斎の「富嶽三十六景」をモチーフに、それをメモ化&立体化した、もう年齢性別問わず使えるどころか、海外のお土産にだって使える製品になっています。使われているモチーフは、「神奈川沖波裏」「深川万年橋下」「隅田川関屋の里」の三種類。どれもが、富士山が遠くに少しだけ見える、その情景を見事に3D化しています。写真に撮る場合に、前景にピントを合わせると富士山がボケるんです。その遠近感に感動してしまいます。また、嬉しい事に、この「ukiyo-e」の3つは、どれも組立が比較的簡単。不器用なガイド納富でもキレイに組み立てられます。
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組み立てた時には裏側になるメモ部分も、表からちょっと覗いた時にニヤリとさせるデザインになっている。しかもメモとしての書き易さもキープしているのだ。

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前の馬にピントを合わせて撮影すると、奥の富士山がピンボケする程の遠近感が嬉しい。

浮世絵を立体化する試みというのは、それはそれで色々と行われていたりはするのですが、この「ukiyo-e」が面白いのは、元の絵のエッセンスを抽出して、平面状態、つまりメモ用紙としての使いやすさを考慮した上で、立体化した時のダイナミックさに重点を置いて大胆な改変を行っている所です。かなり大幅に元の絵を変えているのに、元の絵が持つ面白さはきちんとキープされているのです。ガイド納富はかなり熱狂的なマニアに近い葛飾北斎のファンなのですが、このデザインは見事としか思えません。ISOT2012で参考出品されていた時に製品化の予定がないと聞いて、是非とも製品化してくださいと言ってしまったほど、一目ぼれでした。良く出来てるんですよ。そして、その「良く出来てる」という感想もまた、「紙製品」だからこそ思ってしまうものでしょう。