第85回アカデミー賞授賞式は2月!アカデミー賞シーズンは、映画界にとって1年で一番のハイライトですから、予想にも力が入りますね!
ここでは作品賞・監督賞・主演男女優賞・助演男女優賞+脚本や技術部門を予想してみようと思います。では作品賞予想からいってみましょう!


作品賞:最多候補は『リンカーン』だけど、意外なことに~

【作品賞候補作】
『愛、アムール』
『アルゴ』
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』
『ジャンゴ 繋がれざる者』
『レ・ミゼラブル』
『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』
『リンカーン』
『世界にひとつのプレイブック』
『ゼロ・ダーク・サーティ』


候補作が発表されたとき「おお!」と皆が驚いたのが『愛、アムール』の作品賞候補です。この映画は、外国映画賞候補であり、こちらの部門の大本命なのです。それが作品賞候補にもなったということは、アカデミー会員がこの映画をとても愛しているということで、これでまた混戦模様に……。


しかし、これまでの映画賞レースを快調に飛ばしているのは『アルゴ』『ゼロ・ダーク・サーティ』。続くのが『世界にひとつのプレイブック』です。意外にも最多12部門の候補となっている『リンカーン』は、批評家協会賞などでは苦戦。伝説の大統領を描いた『リンカーン』は、大変丁寧に作られた見応えのある作品で、監督は映画人の尊敬を集めているスピルバーグなのに。とはいえ、アメリカの予想は『リンカーン』が有力のようです。難しいですね……。


作品賞の予想は
●本命『アルゴ』●対抗『ゼロ・ダーク・サーティ』●大穴『世界にひとつのプレイブック』


『アルゴ』

本命は『アルゴ』にしました!


本命には『アルゴ』を選びました!実際にあった事件をエンタティメントの要素を加味しつつ、監督の主張もさりげなくおりまぜて創り上げた最高の社会派娯楽作です。
ただ『ゼロ・ダーク・サーティ』も批評家協会の賞を数多く受賞している力作。オサマ・ビンラディン暗殺の内幕を描いた骨太な映画で、真実をしっかり見据えて描き切った感あり。
この2作品が強力とはいえ、社会派映画枠で『アルゴ』『ゼロ・ダーク・サーティ』が票割れすると『世界にひとつのプレイブック』がサラっと受賞するかも。
ちなみに『リンカーン』は、はずしました。最多候補作って、けっこうコケることもあるから~。

『ゼロ・ダーク・サーティ』

『アルゴ』のライバル『ゼロ・ダーク・サーティ』


次は監督賞の予想です。



監督賞:候補確実と言われた二人が驚きの候補落ち!


【監督賞候補】
ミヒャエル・ハネケ『愛、アムール』
アン・リー『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』
デヴィッド・O・ラッセル『世界にひとつのプレイブック』
スティーヴン・スピルバーグ『リンカーン』
ベン・ザイトリン『ハッシュパピー バスタブ島の少女』


監督賞候補の発表後、誰もが「え~っ!」と思いました。なんと作品賞候補『アルゴ』のベン・アフレック、『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローが候補落ち! 各映画賞では二人が受賞を争い、突っ走っていたのに。アフレックに関しては3作監督したくらいで候補になるのは早すぎるってこと?ビグロー監督は「『ハート・ロッカー』で監督賞受賞したでしょ」ってこと?でも若い監督なら『ハッシュパピー バスタブ島の少女』のベン・ザイトリン監督なんて今年30歳、長編監督第1作目です。おや、そういえば『ジャンゴ 繋がれざる者』のクエンティン・タランティーノ監督も候補落ち……。正直、監督部門の予想はすごく難しい!

『ハッシュ・パピーundefinedバスタブ島の少女』

主演女優は6歳!作品賞、主演女優賞、監督賞などの候補になった『ハッシュ・パピー バスタブ島の少女』



監督賞の予想は
●本命:スティーヴン・スピルバーグ ●対抗:デヴィッド・O・ラッセル ●大穴:ミヒャエル・ハネケ


『リンカーン』

スピルバーグ渾身の作品『リンカーン』

批評家賞がイマイチでも『リンカーン』は、いまだ語り継がれる大統領とアメリカの歴史をじっくりと練り上げた濃厚な作品。作品賞は逃しても監督賞は獲得しそうな気がするので、スピルバーグを本命に。

対抗は、デヴィッド・O・ラッセル監督。『世界にひとつのプレイブック』は、すごくアメリカ的な良質のロマンチックコメディ。心に病を抱えた男女の物語を軽妙なタッチで見せるというのは実はとても難しいはずです。『世界にひとつのプレイブック』は、作品・監督・主演男女優・助演男女優・脚色の主要7部門候補となっていますから、ラッセル監督の実力は本物でしょう。でもスピルバーグとラッセルで票が割れたで場合、ハネケ監督受賞の可能性も。

次は主演男優賞&主演女優賞の予想です。




主演男優賞:各映画賞で圧勝のダニエル・デイ=ルイス!


【主演男優賞候補】
ブラッドリー・クーパー『世界にひとつのプレイブック』
ダニエル・デイ=ルイス『リンカーン』
ヒュー・ジャックマン『レ・ミゼラブル』
ホアキン・フェニックス『ザ・マスター』
デンゼル・ワシントン『フライト』


各映画賞を総なめ状態で受賞しているのは『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイス。すでに名優と言われている彼は、今回もタイトルロールを圧巻の名演技で魅了しています。
ほかの候補では『ザ・マスター』のホアキン・フェニックスと『世界にひとつのプレイブック』のブラッドリー・クーパーが各映画賞をにぎわしていますね。名優デンゼル・ワシントンの『フライト』の演技は凄味があり、候補になってしかるべきですが、今回は難しいかな……。

主演男優賞の予想は
●本命:ダニエル・デイ=ルイス ●対抗:ブラッドリー・クーパー ●大穴:ヒュー・ジャックマン

『リンカーン』

ダニエル・デイ=ルイスが圧巻の芝居を見せる『リンカーン』


もうダニエルで決まりという感じがするのですけど。ブラッドリーはゴールデン・グローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)で、『レ・ミゼラブル』のヒュー・ジャックマンに撃破されているのですよね。そこが気になります……。
『ザ・マスター』のホアキンは、いい役者なのに、若干問題児という噂があり、好感度がどう左右するかってところでしょうか。
反対に好感度大なのがヒュー・ジャックマン。みんなに愛されているヒューが受賞したら、受賞式が華やかになりますね!


主演女優賞:ジェシカとジェニファーの一騎打ち!


【主演女優賞候補】
ジェシカ・チャステイン『ゼロ・ダーク・サーティ』
ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』
エマニュエル・リヴァ『愛、アムール』
クヮヴェンジャネ・ウォレス『ハッシュパピー バスタブ島の少女』
ナオミ・ワッツ『インポッシブル』


映画賞レースではジェシカ・チャステインとジェニファー・ローレンスが突っ走っています。二人ともここ数年でオスカー候補に名乗りを上げてきた新しいスター女優。アカデミー会員が、若いジェニファーをスター女優にして、映画界を盛り上げたいと思えば、ジェニファーに票を投じるでしょう。
ただ、ジェニファーほど華はないけど、どんな役でもなりきれるカメレオン女優のようなジェシカの実力を評価するってこともありえます。東海岸ではジェシカ・チャステインが強かったけど、ハリウッドでは?

主演女優賞の予想は
●本命:ジェニファー・ローレンス ●対抗:ジェシカ・チャステイン ●大穴:エマニュエル・リヴァ

『世界でひとつのプレイブック』

仲良く主演男女優候補になったブラッドリー(右)とジェニファー(左)


おそらく誰もが思うであろう予想結果になりました。他に考えられないんですよね。『ハッシュパピー バスタブ島の少女』のクヮヴェンジャネは、まだ6歳!いくらなんでも早すぎるでしょう。ジェシカとジェニファーで票が割れることがあると『愛、アムール』で壮絶な演技を見せたエマニュエル・リヴァがポンと受賞する可能性もありそうです。

次は助演男優賞&女優賞の予想です。




助演男優賞:演技巧者が揃い、混戦模様!


【助演男優賞候補】
アラン・アーキン『アルゴ』
ロバート・デ・ニーロ『世界にひとつのプレイブック』
フィリップ・シーモア・ホフマン『ザ・マスター』
トミー・リー・ジョーンズ『リンカーン』
クリストフ・ヴァルツ『ジャンゴ 繋がれざる者』


助演男優は圧勝ムードの人がいなくて難しい! 映画賞レースでは、フィリップ・シーモア・ホフマン、トミー・リー・ジョーンズ、クリストフ・ヴァルツが仲良く賞を分け合っている感じ。それでも映画人からの尊敬を集めるロバート・デ・ニーロが候補になっていますから、同業者が選ぶ賞ゆえ、デ・ニーロ受賞の芽もなきにしもあらず……。

助演男優賞の予想は
●本命:フィリップ・シーモア・ホフマン●対抗:トミー・リー・ジョーンズ ●大穴:ロバート・デ・ニーロ
『ザ・マスター』

こちらも仲良く主演と助演で候補になったホアキン&フィリップ


ホフマンとジョーンズ、どっちを本命にしようか悩んだ結果、前哨戦での受賞が多いと思われるホフマンにしました。『リンカーン』は、ダニエル・デイ=ルイスに目を奪われてしまって。個人的には『アルゴ』で、コメディリリーフとして、軽妙な芝居で笑わせてくれたアラン・アーキンに受賞してほしいのですけどね。


助演女優賞:『レ・ミゼラブル』の歌姫アン・ハサウェイが有力!


【助演女優賞候補】
エイミー・アダムス『ザ・マスター』
サリー・フィールド『リンカーン』
アン・ハサウェイ『レ・ミゼラブル』
ヘレン・ハント『The Sessions』
ジャッキー・ウィーヴァー『世界にひとつのプレイブック』


各映画賞レースで圧倒的な強さを見せているのは『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイ。前半と後半少ししか出番はないものの、歌に感情を乗せて悲劇的な末路をたどるファンテーヌを熱演! 観客の心をしっかり掴んで、劇場を涙の大洪水にしました。助演男優は混戦でしたが、助演女優はあっさりと決まりそうです。

助演女優賞予想
●本命:アン・ハサウェイ ●対抗:サリー・フィールド ●大穴:エイミー・アダムス
『レ・ミゼラブル』

助演女優賞の大本命『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイ


アンの対抗はサリー・フィールド。男ばかりの『リンカーン』のキャストの中でも、リンカーンの妻の複雑な心理をインパクト大の演技で見せ、さすがベテラン女優、巧い。アンに対抗できるのはサリー・フィールドしかいない。
大穴は、アカデミー会員に愛され、4回も候補になっている『ザ・マスター』のエイミー・アダムス。とはいえ、アンの受賞はほぼ鉄板ですね。

次は脚本・技術部門の予想と授賞式情報です。




撮影、視覚効果は『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』?


脚本賞はオリジナル脚本に与えられる賞で、こちらの本命は『ムーンライズ・キングダム』か『ゼロ・ダーク・サーティ』。全く性質の違う映画で、比べられないんですけど……。勢いのある『ゼロ・ダーク・サーティ』が一歩リードかな。

『ムーンライズ・キングダム』

ライバル『ゼロ・ダーク・サーティ』を撃破できるか『ムーンライズ・キングダム』


脚色賞は原作ありき。原作の世界観を映画としてどう見せるか、どう生かすかがポイントで『アルゴ』『リンカーン』『世界に一つのプレイブック』が映画賞レースでは勝利しています。リンカーンの名言が散りばめられた『リンカーン』か、社会派エンタティメントとして魅了した『アルゴ』か。

外国映画賞は、ほぼ『愛、アムール』に決まりですね。
『愛、アムール』

外国映画賞と作品賞W候補になった『愛、アムール』



撮影、視覚効果などの技術部門で有力と思われるのは、『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』。3Dでこそ見るべき映画で、見たことのない映像体験ができる映画に仕上げています。アン・リー監督の演出力もあるでしょうが、この映画は技術部門を席巻しそうです。

『ライフ・オブ・パイ』

『ライフ・オブ・パイ』の3D映像の美しさと臨場感は素晴らしい!



また故・石岡瑛子氏が遺作となった『白雪姫と鏡の女王』で衣装デザイン賞の候補に。石岡氏は『ドラキュラ』で受賞経験あり。彼女にしか創れない芸術的な美しい衣装の数々には目を奪われました。ぜひ受賞してほしい!


【番外編】第85回アカデミー賞授賞式情報

2月24日(現地時間)に開催されるアカデミー賞授賞式。今年もWOWOWで生放送されます(2月25日・午前9時より)。
授賞式のホストはスマッシュヒットとなった映画『テッド』の監督、セス・マクファーレンが担当。中年テディベアのテッドと主演のマーク・ウォールバーグが授賞式に登場する予定です。下品な発言ばかりしているぬいぐるみのテッドが授賞式をかきまわしてくれそう。

『レ・ミゼラブル』

ヒューやアンの熱唱が授賞式で聴けるかも!


またアデルが映画『007 スカイフォール』の主題歌を熱唱したり、『レ・ミゼラブル』のキャストの熱唱パフォーマンスも噂されるなど、受賞結果だけでなく、ショーの部分でも大いに楽しませてくれるのがアカデミー賞の授賞式!
映画界最大のお祭りを大いに楽しみましょう。


『アルゴ』(公開中)
(C) 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
『リンカーン』(2013年4月19日公開)
© 2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC
『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013年2月15日公開)
Jonathan Olley(c)2012 CTMG. All rights reserved.
『ハッシュ・パピー バスタブ島の少女』(2013年4月公開)
© 2012 Cinereach Productions, LLC. All rights reserved
『愛、アムール』(2013年3月9日公開)
(c)2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk
『ムーンライズ・キングダム』(2013年2月8日公開)
(c) 2012 MOONRISE LLC. All Rights Reserved.
『レ・ミゼラブル』(公開中)
(C)UniversalPictures
『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』(2013年1月25日公開)
(c)2012 Twentieth Century Fox
『ザ・マスター』(2013年3月22日公開)
(C)MMXII by Western Film Company LLC.
『世界でひとつのプレイブック』(2013年2月22日公開)
© 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.




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