金魚の祖先

中国に生息するフナの仲間の突然変異がそのルーツであると言われています。1500年ほど前には中国で飼育されていたとされる文献もあることから、その歴史は相当のものです。以来、生物学的な突然変異と人的な交配による種の固定によって様々な種類の金魚が産み出され、分類されてきました。その中から、日本でも流通している代表的な金魚の種類を挙げていきます。

和金型の金魚

和金

金魚すくいでお馴染みの「和金」

様々な種類の金魚の中で、最も祖先であるフナの形状に近く、丈夫で飼育しやすい種類です。大きな水槽で大事に飼育すれば30cm級に育つ事もあります。紹介する中では、地金を除けば全国どこでも安価で購入することができます。


 
  • 和金(ワキン)
その他の和金

和金にも実は色んなタイプが!?

もっともポピュラーな金魚です。金魚掬いで見られる金魚のほとんどがこの和金。尾びれの形がフナ尾の物が普通ですが、三つ尾や四つ尾のものもあり、体色も赤、更紗(紅白の模様)、黒など様々な種類があります。

 

  • コメット
コメット

優雅な尾びれを持つ「コメット」

アメリカ産の金魚で琉金とヒブナを掛けあわせたものと言われています。尾びれが長くゆらりとたなびかせながら泳ぐ様が、彗星のように見えることからコメットの名称で親しまれています。

 

  • 朱文金(シュブンキン)
朱文金

キャリコ模様の美しい「朱文金」

和金とヒブナ、そして三色出目金を自由交配させて固定された種と言われています。体型は和金型で尾びれは和金より長いフナ尾の形をしています。三色出目金の色合いである赤、白、黒のモザイク模様が特徴です。

 

  • 地金(ジキン)
体型的には和金に分類されますが、この種だけは飼育が非常に難しいとされています。品種としても希少で愛知県の天然記念物に指定されています。クジャク尾と呼ばれる後ろからみてX型に開いた尾の形が特徴です。また六鱗と呼ばれる色彩(口とヒレだけが赤く他は白)を持ち、この色彩は稚魚の頃から人工的に調色されて作り出されています。

優雅な琉金型の金魚を紹介

琉金型の金魚

和金型と比べて体型は短く、体高のある丸型で優雅な尾びれを持ちます。和金の次にポピュラーなタイプと言っていいでしょう。

  • 琉金(リュウキン)
琉金

優雅な泳ぎを見せる「琉金」

和金の突然変異で尾びれが長くなったものを種として固定され、琉球経由で日本に持ち込まれたことからその名が付けられたと言われています。優雅に尾びれを揺らめかせる愛らしい金魚です。入手は簡単でホームセンターなどでも見かけます。飼育は丸型金魚の中では比較的容易ですが、和金と比べると餌のやりすぎなどの原因で転覆病にかかる確立が高くなりますので注意は必要です。

 
  • キャリコ琉金
琉金と三色出目金の交配によって作られた種で、その名の通り赤、白、黒のキャリコ(まだら)模様の琉金を指します。模様でなく、金魚の種類としてキャリコと呼ぶ時は一般的には、このキャリコ琉金を挿します。

  • 土佐錦(トサキン)
高知県の天然記念物で上級者向けの希少品種です。琉金型の王様と言っても過言ではないでしょう。種についてはランチュウと琉金の交配、琉金の突然変異と諸説あります。出生は江戸時代の土佐藩と言われており、この名が付けられています。昭和初期に戦災や南海地震で絶滅したと思われましたが、高知県のとある料理屋さんに偶然生き残っていたものを元に、その種を取り戻したと言われています。体質の弱さもこの血の濃さからくる遺伝的なものと言われています。尾びれが大きく反転するのが体型的な特徴で、この特性を生かして美しく育てるために当歳時には丸鉢で飼育される事が普通です。体質の弱さから、水質にも敏感で最も飼育が難しい金魚の一種であると言えます。

  • 出目金(デメキン)
琉金の突然変異で目が飛びでたものを固定化した種です。赤出目金が作出され、後に黒出目金、三色出目金が現れたと言われています。金魚掬いの金魚の中に時折黒出目金が混ぜられているのを目にした人も多くいるのではないでしょうか?眼球を傷つけることもありますが、琉金と同じく丈夫で、飼育は比較的平易です。三色出目金はその体色が様々な種の改良に用いられ、キャリコ模様の金魚の多くが、この三色出目金をルーツにしています。

  • 蝶尾(チョウビ)
蝶尾

尾びれの形が蝶の羽根のような「蝶尾」

昭和後期に日本に出回りだした中国原産の金魚で、上から見ると蝶々が羽を広げたように見える優雅な尾びれを持つ。多くは出目金型のものを指しますが、琉金型でもこの尾の形を持てば「チョウビ」と分類されるようです。黒と白のパンダ蝶尾、赤と黒のレッサーパンダ蝶尾など、愛好家の間で非常に人気のある種と言えます。

頭の瘤がたくましいオランダ型の金魚

オランダ型の金魚

オランダ獅子頭に代表される頭部に肉瘤の発達するタイプの金魚で、その肉瘤が大きく美しく発達したものは万単位の高値で取引されることもあります。

  • 和蘭獅子頭(オランダシシガシラ)
オランダ獅子頭

肉瘤の発達した「オランダ獅子頭」

頭部に肉瘤が発達した琉金の突然変異によって作出された種といわれています。鎖国状態であった江戸時代に珍しい渡来物をオランダ物と呼んでいた事と、肉瘤の発達した様子が獅子の頭を連想させることから、その名が付けられたようです。飼育は琉金と同程度で比較的容易と言えます。熊本県の特産品である巨大な「ジャンボオランダ獅子頭」は愛好家も多く人気の種となっています。

 

  • 丹頂(タンチョウ)
丹頂

白い着物に赤い髪飾りの「丹頂」

  • 昭和中期に中国から輸入された、白い体色に赤い肉瘤が特徴的な金魚です。その色彩が丹頂鶴を思わせる事からその名が付けられたと言われています。オランダ獅子頭と同じく、比較的丈夫で飼育は容易な種と言えます。

     
  • 青文魚(セイブンギョ)
体型的な特徴はオランダ獅子頭で青みがかった黒色の体色を持ちます。中国では、三つ尾や四つ尾の金魚が、上から見ると漢字の「文」の字に見えることから「文魚」と呼ばれており、体色と合わせて青文魚と呼ばれています。

  • 茶金(チャキン)
体型的な特徴はオランダ獅子頭で茶褐色の体色を持ちます。英語圏ではその体色から「チョコレート・オランダ」と呼ばれています。比較的流通の少ないレア品種の1つと言えます。

  •  東錦(アズマニシキ)
東錦

関東由来の東錦

オランダ獅子頭と三色出目金の交配によって作出された種で、頭部に肉瘤が発達したキャリコ模様の高級品種。オランダ型の王様です。全国に愛好家、愛好会があり品評会などでは主役級の金魚です。東京で作出されたことからその名が付けられたと言われています。

 

  • パール
パール

丸い体型とパール鱗が特徴の「パール」

丸い体型と真珠のように一枚一枚が珠のように見えるパール鱗が特徴。別名「珍珠鱗(チンシュリン)」。その体型からピンポンパールと呼ばれる事も多い。肉瘤が発達するタイプは「高頭パール」と呼ばれており、後述の「浜錦」の原種となっています。その愛らしい姿が人気で、全国で多く流通している種です。飼育は比較的容易ですが、琉金やオランダ獅子頭と比べるとその体型から転覆病にかかりやすいと言われています。

 

  • 浜錦(ハマニシキ)
浜錦

発達した肉瘤とパール状の鱗をもつ「浜錦」

肉瘤が水泡状に発達する高頭パールを選別し、固定した種で静岡県浜松市の金魚問屋「清水金魚」さんが日本でのこの種のルーツであることから、浜松の1字をとって「浜錦」と名付けられました。種としての歴史が新しく、遺伝的な不安定さからか比較的体質は弱く、飼育難易度は高いと言われています。

金魚の王様、ランチュウの仲間

ランチュウ型の金魚

高級金魚の代名詞とされている金魚の王様です。丸型の体型に背びれのないのが最大の特徴とされています。肉瘤は発達するタイプとそうでないものがあります。

  • ランチュウ
ランチュウ

金魚の王様「ランチュウ」

体型、サイズ、発色が良い成魚は数万単位で取引されることもある高級品。日本中に沢山のファンを持ち全国各地でランチュウ専門の品評会なども行われています。春になるとペットショップや金魚の専門店に当歳のまだ色変わりしていない「黒子」が並びます。この黒子を数百円で購入し、それぞれ志向を凝らした飼育方法で立派なランチュウに育て上げるといった愛好家の方が数多くおられます。品評会レベルまで立派に育てるには餌やり、水質面などかなり手の混んだ世話が必要となります。

 
  • 江戸錦(エドニシキ)
桜錦 江戸錦

「桜錦」と「江戸錦」

ランチュウと東錦を交配させ固定化した種。ランチュウ型の体型にキャリコ模様のモザイク透明鱗が特徴。尾が長いものを「京錦(キョウニシキ)」と呼ぶ。

 
  •  桜錦(サクラニシキ)
ランチュウと江戸錦を交配させ固定化した種。紅白の更紗模様のモザイク透明鱗がその特徴。尾が長いものを「京桜(キョウザクラ)」と呼ぶ。

  • 花房(ハナフサ)
花房

珍種の「茶金花房」

鼻の部分が房状に肥大した金魚。背びれのないランチュウ型の物を「中国花房」、背びれのあるものを「日本花房」として分類されている。

 

  • 水泡眼(スイホウガン)
水泡眼

両目の水泡がトレードマーク「水泡眼」

昭和中期に中国から輸入された、独特の容姿を持つ金魚。特徴はなんと言っても両目の側につく水泡状でリンパ液の入った袋。飼育は比較的容易だがその特徴である水泡が破れてしまうことがあるので、水槽のレイアウトには気を使う必要があります。

  •  頂天眼(チョウテンガン)
頂天眼

上向きで出目の「頂天眼」

出目金のように眼球の周りが突出し、目が完全に上向きになっているタイプの種です。水泡眼と同じくトリッキーな容姿が特徴です。口の細い亀の中で何代も飼育するうちに目が上向きになってきたという中国の逸話がありますが、遺伝子解析の結果、比較的初期にフナの仲間から変異して出来た種のようです。

 

種類の多さは金魚の存在意義と言っても過言ではない!?

ここに上げた金魚の種類は代表的なほんの一例です。レア種も含めればその作出過程、色彩、体型、産地などからさらに多くの種類に分類されます。この種類の多様さは、人の手によって観賞魚として作出されてきた金魚という生き物の大きな特徴と言えるでしょう。ほんと、調べれば調べるほど、金魚って奥深いですよ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。