Choice 5
コンパクトで扱いやすい”ノイキャン・もうひとつの選択”
AKG K495NC

AKG

デザインのカッコよさも本機の魅力だと思います。コンパクトですが質感の高い仕上がりです

クルマや飛行機の中、雑踏やイベント会場などで音楽を聴くときに気になる騒音を”消音”してくれるのが、ノイズキャンセリングヘッドホン、通称「ノイキャン」です。ヘッドホンに興味がある方なら、すぐにボーズの「Quietcomfort」シリーズが思い浮かぶことでしょう。ノイキャン性能、サウンドクオリティ、装着感等、どれをとっても満足間違いなしの定番中の定番モデルです。

ただ、あまりにも定番すぎて、ここで採り上げるのもいまさら、という気がします。そこで今回は、同じノイキャンヘッドホンの中でも、個人的にかなり気に入っている「AKG K495NC」をご紹介しましょう。

本機の特徴は、ハウジング外部の音ではなく、ドライバユニットの内側にあるマイクで、耳に飛び込んでくる音そのものを拾い、音楽だけを残して騒音をキャンセルする”フィードバック方式”を採用していること。

より精度の高いノイキャン効果を狙った、とメーカーでは謳っています。消音性能そのものは、ボーズの「Quietcomfort」と大きな違いはなく、どちらも十二分に静かで、昔のノイキャンのように、騒音が息をつくなどの不快な現象も気になりません。

本機のもうひとつの特徴は、電源を入れなくても普通のヘッドホンとして鳴らせることと、脱着式の信号ケーブルを取り外してもノイキャンが使えることです。コンパクトで携帯しやすいという美点と合わせ、どんな場面にでも気軽に持ち運んで楽しめるのがいいですね。ノイキャン動作時の音質も、中低音を軸にしたバランスのいい作りで聴き疲れしません。

 


■AKG
K495NC

Choice 番外
心も身体もとろけるような、幻想的シルキーサウンド
スタックス SRS-4170

スタックス

イヤースピーカーは、音を出すためにドライバユニットが必要。SRS-4170は真空管式ドライバをセットにしたモデルです。

番外編として、私個人の趣味のみで選んだヘッドホンをご紹介しましょう。ヘッドホンではなく「イヤースピーカー」と呼ばれている、スタックスの「SRS-4170」です。

このヘッドホンは、一般的な発音原理とは異なり「静電型(コンデンサ型)」と呼ばれるシステムを採用しています。2枚の電極板で挟むように振動膜(エレメント)を置いて高電圧をかけ、音楽信号を電極板に入力することで、静電気が髪の毛を引き寄せる原理で振動膜をストロークさせ、音を出すのです。

個人的な話で恐縮ですが、私が初めて購入した純ハイファイヘッドホンは、細部の原理は異なりますが同じ静電型のオーディオテクニカ「AT706」。その後も、スタックスの「SR-Σ」「SR-Λ」を所有するなど、静電型の音は大好きです。

では、「SRS-4170」はどんな音がするのでしょうか。ひと言でいえば「この世のものとは思えないほどシルキーな美音」です。空間いちめんに充たされたふかふかの羽毛に身も心も預け、天女が囁く歌声を聴いているようなイメージ。ツンツンする刺激やゴリゴリした硬さやカサカサした薄っぺらさが一切ない、なんとも優しく潤いのある癒し系サウンドです。

エネルギッシュなロックなどには不向きだと思いますが、クラシック、ボーカル、弦楽器、ピアノなどはまさに極上。音が頭の中心部に集まってしまうこともありませんし、昔のモデルとは比較にならないほど低域も出ます。ただ、好みが大きく分かれる音なので、ぜひ一度静かな場所での試聴をオススメします。イヤホンタイプの新製品も発売されています。

余談として、スピーカーシステムでもコンデンサ型ユニットを採用するモデルは時折発売され、じつはスタックスも以前、ELS/ESSなる大型スピーカーを手掛けていたことがあります。オーディオファンの間では、静電型はその都度話題になってきた方式なのです。マーティンローガンというメーカーのフルレンジ静電型スピーカーを聴かせてもらったときには、あまりの心地よさにα波が出まくりでした。

 


■スタックス
SRS-4170



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。