このブランドの入門に最適なブーツ!

ルイスブーツ

AUTHENTIC SHOE & Co.の定番・ルイスブーツはレーベル復活後も健在です。ボールガースをやや広めにとってはいるものの、変に幅広には見えない点がミソ。合わせる服を選ばない、このブランド入門には最適の一足です。9万3450円(GALLERY OF AUTHENTIC TEL:03-5412-6908)

前回の記事ではいかにも竹ヶ原氏の作らしい、過去に敬意を払いつつも時代感のある3足をご紹介しましたが、後編も負けていません。まずはAUTHENTIC SHOE & Co.の定番である、このルイスブーツからご紹介しましょう。前回もお話しした通りこのブランドの今季のデザインは、「今日の日本的な装いの原点とは?」を多分に意識したものですが、この靴も1910年代のWALK OVER辺りのアメリカ靴の印象を多く採り入れたもの。お馴染みのデザインながら、アーモンドトウのシェイプなどは確かに今季の趣旨にもピタッと一致する一足です。

ちなみのこの1910年代は、第一次大戦でドタバタしていたヨーロッパを尻目に、実用の美と快適性を重んじたアメリカの靴産業が一気に勢い付いた時代。今や誰もが履いているスニーカーの元祖に当たる靴が登場したのも、この時代のアメリカです。この靴もボールカース(親指と小指の付け根の間=足で最も幅広な部分)を気持ち広めに設計することで足入れの良さを実現するなど、カッコ良さだけでなく履きやすさも徹底させている点で、彼らのDNAをしっかり受け継いでいる訳です。

ただし広めとは申しても、その分同じエリアの高さはやや抑えめに設計しているので、足の中で靴がブカブカ泳いでしまうようなトラブルとは無縁ですのでご安心を。さまざまなジャンルの服とも合わせやすいので、この靴からAUTHENTIC SHOE & Co.の靴を履き始めて竹ヶ原氏の世界観を味わってみる、というのもおすすめです。

今季はアッパーが黒一色ではあるものの、上下ともにベビーカーフを用いたものと、下半分にベビーカーフ・上半分はゴートスキン(山羊革)を用いた同色異素材コンビ仕様の2種類があります。前者はシンプルである分この靴が持つ凛々しさや逞しさを、時代を超えて訴えかけて来るこのブランドの定番らしい仕上がりです。一方後者は19世紀末から20世紀初めにかけての街履き用のドレスブーツでは非常に人気のあった組み合わせ。気持ち油分が多めでマットなゴートスキンの革質は、靴の表情に独特な立体感を与え、今だからこそ非常に斬新に目に迫ってきます!
ルイスブーツundefined素材違い

今季のルイスブーツは黒一色ながら、アッパーの上半分には二種類の素材が用意されています。前方がゴートスキン、後方がベビーカーフです。微妙なコントラストを織りなす前者を採るか、シンプルな後者を採るか、価格も同じなだけに悩みます! 共に一足9万3450円(GALLERY OF AUTHENTIC TEL:03-5412-6908)

【商品案内】
「ルイスブーツ(LOUIS BOOTS)」
・色: 黒
・アッパー素材:上下ともにイタリア製ベビーカーフ、上半分ゴートスキン、下半分イタリア製ベビーカーフ
・底材: レザーソール+アローヘッドラバーヒール
・製法: グッドイヤー・ウェルテッド
・サイズ: 23.0~28.0cm
・価格: 9万3450円

竹ヶ原氏がワークブーツ系を創るとどうなるか? 詳しくは次のページで!

起源をたどると、洗練に行き着いた一足!

エンジニアブーツ

逞しいながらも下品な荒々しさを感じさせないエンジニアブーツは、竹ヶ原氏が長年構想を温めていたもの。ソールやヒールには代表的なパーツが採用され、実用性も十二分に備えています。10万800円(GALLERY OF AUTHENTIC TEL:03-5412-6908)

バイクを愛用する方に絶大な支持があるせいか、活動的な男性ならば一度は憧れてしまうであろうエンジニアブーツ。今やアメカジファッションの足元を代表するそれを、AUTHENTIC SHOE & Co.のブランドネームで創り上げたのがこの作品です。乗馬ブーツから派生して誕生したとも言われているこのスタイルも、19世紀終わりから20世紀初頭にかけて試行錯誤を経て徐々に完成されていったもので、この靴はその初期の段階のディテールをふんだんに盛り込んでいます。

例えば履き口の側面にあるお約束のスリットが現行のものより深く取られていたり、甲を固定するストラップも今日のものより長めです。実はこれ、竹ヶ原氏の「現行のエンジニアブーツから不格好な要素を全て取り除きたい!」との熱い思いから誕生した渾身の一作。この2点を初期の仕様に替えただけでも、確かにこの種のブーツに与えられがちな武骨な印象が洗練されて来ますし、更にはストラップ周辺の曲線の巧みな緩急など、ブーツではなく綺麗な花瓶の彫像のような錯覚にとらわれます。

ちなみに内くるぶし側の甲とブーツシャフト(筒)の境目に僅かに見られるギザギザは、当時のエンジニアブーツではサイズを示す記号として付いていたもの。本来はストラップに隠れているものをわざと、でも何気なく露出させている訳で、これは「折角だから昔の職人のプライドを垣間見せてあげたい」と言う、竹ヶ原氏の思いやりにあふれた意匠なのです。
エンジニアブーツのストラップ部の曲線

ストラップ周辺に交錯する曲線は、靴と言うより美しい花瓶や彫刻に見間違えてしまいそうなのです。革を裁断する時に物凄い集中力が求められるような…… 甲とブーツシャフトの境界にあるギザギザに、どうか気付いていただきたい!

底部はBILTRITEハーフラバーソールにNEOPRENEラバーヒールと、エンジニアブーツ好きが泣いて喜ぶ正に鉄板の組み合わせ。真鍮の釘打ちや前半分の二重出し縫いなども含めて、この靴で守らなくてはいけないお約束はしっかり果たしています。アッパーに用いた肉厚ながらキリッと光るイタリア製のショルダーレザーも、従来見慣れたこの手の靴にはなかった勇ましくも引き締まった表情を演出します。この手の靴は通常、つま先は脱色気味の方が味わい深く感じるものですが、このブーツは逆に、バシッと鏡面磨きして履きたい!

【商品案内】
「エンジニアブーツ(ENGINEER BOOTS)」
・色: 黒(素材はイタリア製)
・底材: BILTRITEハーフラバーソール+NEOPRENE ラバーヒール
・製法: グッドイヤー・ウェルテッド(出し縫い前半分ダブル)
・サイズ: 25.0~28.0cm
・価格: 10万800円

で、いざこれらの靴をお手入れしたい時には…… 最後のページへ!

シューケア用品も唸らせます!

シューケア用品

GALLERY OF AUTHENTICに用意されたシューケア用品の数々です。これまで事実上我が国ではお目に掛かれなかったものばかりで、思わず興奮してしまいます。靴の性格に合わせたものが入手できるのが何よりも嬉しい点です

「鏡面磨き」なる言葉が出たついでに、と申してしまってはいけないのでしょうが、AUTHENTIC SHOE & Co.をはじめとする竹ヶ原氏の靴が勢揃いする神宮前のGALLERY OF AUTHENTICには、彼の作品をお手入れするのに値するシューケア用品も多数、取り揃えています。しかも日本ではほとんどお目に掛かれないものばかりで、彼の並々ならぬ思いが込められているのは明らか。中でも代表的な2社のものをここではご紹介しましょう。

ドレスシューズ的要素の強いものにおすすめなのが、1921年にスイスで創業したBurgol(バーゴル)のもの。今日ではご当地のスイスのみならず、ドイツそれにオーストリアなどいわゆるドイツ語圏では高級シューケアブランドの代名詞的存在です。油性ワックスや乳化性クリームの原料は自然由来のものにこだわり続け、仕上げ用のブラシはヒマラヤの高地で育ったヤクの毛を用いるなど、その地域の製品らしいストイシズムを感じさせてくれるものばかり。ドレスシューズ好きそしてお手入れ好きなら、わざわざここに来て買いたいお気に入りのブランドに絶対なるはず!

一方、ワークブーツやアウトドアブーツ派に是非とも試していただきたいのが、メキシコのメジャーブランド・EL OSO(エルオソ)の製品。社名のスペイン語の響きの段階で光り方がもはや想像できると申しては過言なのでしょうが、いやいやその期待は裏切りません。乳化性クリーム的な要素を併せ持つ油性ワックスの男っぽい輝きは、もう、タマラナイの一言に尽きます! パッケージの雰囲気も満点で、休日にテキーラをあおりながらスピッツシャインしたい衝動についつい駆られるのです。
EL OSO DOS EN UNOワックス

注目のEL OSO(エルオソ)社製”DOS EN UNO”ワックス! 油性ワックスでありながら乳化性の保湿力も備えた製品で、確かに”DOS EN UNO”英訳すると、素直に”TWO IN ONE”となります。ギラッと鋭く出る光沢は、欧米のものとはやはり異なります。容量も90gとタップリ。997円(GALLERY OF AUTHENTIC TEL:03-5412-6908)

ということで、今季のAUTHENTIC SHOE & Co.は靴も、そしてお手入れ用品も充実したものばかり。東京のストリートファッションの先頭を常に突っ走る存在でありながら、着用時には隠れてしまうライニングに当時と同様のコットンダックを特注して用いるなど、古典的なものの意味をしっかり捉えた上で未来を見渡そうとする竹ヶ原氏のようなシュークリエイターが日本にいてくれるのって、実はもの凄く幸せなことなのではないのかな? 今日のメンズのドレスシューズが無くしてしまった何かを、あっと思い出させてくれる世界的にも貴重な存在であることは、絶対に間違いありません!

【お問合せ先】
■GALLERY OF AUTHENTIC
住: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-27-12 AUTHENTIC BLDG. 1F
地図: Yahoo!地図情報
TEL: 03-5412-6908
営:12時~20時
休:水曜
HP: GALLERY OF AUTHENTIC

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