前回では、「短期賃借権とは?」と「廃止の理由」について、お話させていただきました。では、この制度廃止がどういった影響をもたらすのでしょうか?今回は、この制度廃止により当然に起こる賃貸借の状況の変化と、それから派生する売買市場の変化を大胆に?予想していきたいと思います。

1.短期賃借権の保護の廃止による賃貸環境の変化

前回お話した「占有屋」の排除を目的に「短期賃借権の保護の廃止」は行われるのですが、まともな賃借人の保護はどうなるのでしょうか?
もし「短期賃借権の保護の廃止」が行われた場合、借りて住んでいる家が、競売にかかり第3者の所有となると、6ヶ月以内に明け渡さなければならなくなり、敷金の返還もしてもらえません。

「まあ、出て行くところがないのなら、住んでいてもらってもいいですけど、新しく賃貸借契約を結んで敷金を入れてください、もちろん賃料も値上げしますけど」なんて新所有者から言われても文句が言えなくなってしまいます。

居住用でさえ、こんなに借主に負担を強いるのに、営業しているお店では、もっと大きな負担となります。
店舗の改装費用や、その場所として広告した広告費、定着したお客さん、などを立ち退くことにより失ってしまいます。
新たに求められる保証金も、居住用とは比べ物にならないくらいの大きなものになるのは想像に難くないでしょう。

もちろんこれは、入居時に抵当権設定がされているというのが条件ですが、大抵は賃貸マンションを建てる建設費を銀行から借り入れして建てていますので、入居時に抵当権設定がされていないことは滅多にありません。

こんなリスクを冒してまで、従来の条件で賃貸に住もうとするのでしょうか?

不安定な立場におかれる賃借人としては、賃貸入居に際して敷金は極力少なく、賃料も低めでないと借りたくないですよね。

そうなると、賃貸経営をするオーナー側にも大きな変化をもたらします。
敷金や賃料が低く抑えられてしまうと、現状の賃貸経営は成り立たなくなります。
「土地を持っていて、銀行からお金を借りて賃貸マンションを建てて、マンション経営をしようと思っている地主が、保証金や賃料が低くなってしまうのなら、駐車場にでもしている方がよっぽどいいって思うかもしれません。
もしくは、土地を売ってしまって、株や債権を買ったほうがいいなんて・・

でも借入れをせずに建てることができれば、抵当権設定のある物件より、賃料設定が高くなる要因ともなるでしょうね。