2017年の基準地価についてはこちら
2017年基準地価は上昇地域が広がる一方で一部に停滞も



2012年の基準地価(都道府県地価調査価格)が9月19日に発表されました。全国平均では、住宅地が前年比マイナス2.5%で21年連続の下落、商業地が同マイナス3.1%で5年連続の下落となりましたが、下落率はいずれも3年連続で縮小しています。

とくに今年は、全用途合計の上昇が658地点で前年の88地点から約7.5倍に増え、横ばいも1,972地点で前年の863地点から約2.3倍になっています。全国の約88%にあたる地点は引き続き下落しているため、全体的には下落傾向を脱していないものの、3大都市圏ではほぼ下げ止まりの水準になっているようです。

一方で、東日本大震災の被災地では、高台の土地などで急激な上昇をみせる地点もあり、今後の復興に影響することも懸念されています。

それでは今年の基準地価の動きを整理しておくことにしましょう。


基準地価とは?

基準地価とは都道府県が判定するその年7月1日時点の土地価格で、1月1日時点における公示地価とともに土地取引の目安とされています。

2012年の基準地数は、宅地21,708地点、林地556地点、合計22,264地点で、2011年よりも196地点少なくなっています。ただし、原発事故に伴い福島県では警戒区域、計画的避難区域、避難指示解除準備区域内の31地点で調査が休止されています。

公示地価(2012年は26,000地点)が都市計画区域内を対象とするのに対し、基準地価では都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地や、宅地ではない林地も含んでいるため、平均変動率は公示地価よりも小さめに表れる傾向があります。

なお、基準地価の詳細なデータは、国土交通省による「土地総合情報ライブラリー」でみることができます。また、基準地価と公示地価、路線価との違いについて詳しくは≪路線価・公示地価・基準地価の違いを知る!≫をご参照ください。


基準地価変動率の推移 (住宅地:1977年以降)
基準地価変動率の推移



都道府県別平均では愛知県の住宅地が横ばいに

基準地価の都道府県別平均をみると、住宅地は山梨、鳥取、島根、佐賀の4県で、商業地は山梨県で、それぞれ下落率がわずかながら拡大していますが、総じて下落率は縮小に向かっています。前年は下落率の拡大が住宅地で17県、商業地で14県でしたから、引き続き下落している地域でも下押し圧力は緩やかになりつつあるといえるでしょう。

とくに愛知県の住宅地は変動率0.0%の横ばいとなり、「住宅地、商業地ともすべての都道府県が下落」という状況からは4年ぶりに脱しています。

住宅地では愛知県以外にも、宮城県、東京都、神奈川県、滋賀県、沖縄県が1.0%未満の下落にとどまっています。商業地でも、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府が1.0%未満の下落でした。住宅地の下落率が最も小さかったのは、東京都と並んで宮城県であり、震災後の復興需要による影響もあるようです。

逆に下落率が最も大きかったのは、住宅地が高知県の6.6%、商業地も同じく高知県の8.4%です。前年よりも下落率は縮小しているものの、高知県が最大の下落率となったのは、住宅地、商業地とも3年連続であり、震災前から続いている状況です。新たな津波被害が想定されているためという理由だけではなく、他の要因もしっかりと考えなければならないでしょう。


過去の上昇局面への転換期とは異なる動きも

基準地価の全国平均では、住宅地が2.5%の下落(21年連続の下落)、商業地が3.1%の下落(5年連続の下落)となりましたが、いずれも3年連続で前年より下落率が縮小しています。また、1月1日時点の公示地価と共通する地点における半年ごとの動向では、東京圏で1月以降に回復の程度が加速したほか、名古屋圏の住宅地は平均して上昇へと転じているようです。

基準地価変動率の推移


3大都市圏の平均は、住宅地が0.9%の下落(前年は1.7%の下落)、商業地が0.8%の下落(前年は2.2%の下落)で、いずれも4年連続の下落でした。しかし、名古屋圏の住宅地が0.2%の下落にとどまったほか、東京圏や大阪圏でも、住宅地と商業地がいずれも1.0%以下の下落となっています。上昇地点の増加も加速していて、3大都市圏の地価はほぼ下げ止まったといえるでしょう。

その一方で、過去の地価上昇局面のときとは異なった動きも表れ始めているようです。以前の地価下げ止まりから上昇への転換期では、まず東京、大阪、名古屋など都心部の商業地が上昇し、それが都心部の住宅地、遅れて郊外部の住宅地へと波及していく流れが一般的でした。

ところが今回の局面では、住宅地の地価回復が先行し、商業地の回復に遅れがみられるという傾向が一昨年あたりからみられています。さらに今年の基準地価では、東京圏の住宅地における上昇率の上位10地点が、いずれも神奈川県と千葉県で占められています。大阪圏も同様で、兵庫県、京都府、奈良県の地点が占めています。東京都および大阪府の住宅地の地点は、いずれも上昇率の上位に顔を出していません。また、名古屋圏の住宅地では、1位と9位が名古屋市内の地点となっているものの、他は西三河地域などの地点が占めています。

この傾向が今後も続くのか、あるいは一時的なものなのかは分かりません。また、消費増税を控え、今後は増税前の駆け込み需要による地価上昇、あるいは増税後の反転下落といったことも考えられます。さらに円高の継続や、欧州債務危機などの先行き不透明感により、依然として地価への影響がみられるといった指摘もされているほか、とくに地方圏では人口減少の問題もあります。つい最近には政府・日銀による景気判断が引き下げられたばかりで、その動向も気になるところでしょう。いずれにしても、これからの地価動向には、より一層の注意が必要です。土地投機的な動きに惑わされるようなことがないようにしなければなりません。


基準地価変動率の推移 (住宅地:1994年以降)
基準地価変動率の推移


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