近頃は太陽光発電システムを載せている建物を見ることが珍しくなくなりました。我が国の電力事情を受けて、電力の買取制度がスタートし、大手企業や自治体などが一気に太陽光発電市場に積極姿勢を打ち出してきていることを受け、太陽光発電システムは一般消費者の私たちにとっても手が届きやすい設備になってきています。

しかしながら、カタログに掲載されている性能値をそのまま鵜呑みにしてしまうと、我が家の屋根にとって本当にふさわしい、経済効果の高い太陽光発電システムを見失ってしまうかもしれないのです。

今回は太陽光発電システムの設計と販売、施工、メンテナンスを一手に取り扱っておられる「琉球てぃーだ」の菱田剛志社長に「太陽光発電システムの賢い選び方」についてお話を伺って参りましたので、ご紹介いたします。


自ら設置して比較したからこそわかったこと!

菱田剛志社長

琉球てぃーだ菱田剛志社長(株式会社グローバル商事代表取締役)。柔らかい口調ながら、太陽光発電システムに真摯に向き合う情熱家。

菱田社長は平成12年頃から太陽光発電の仕事に取り組み始めたとのこと。当時は太陽光発電システムに対する市場の理解は、環境意識の高い人やお金に余裕がある人が設置するものというイメージであったため、事業として取り組む人もほとんどいない状態でした。しかしそんな中で順当に事業を展開させ、現在もひたすら地道に太陽光発電システムの事業に取り組んでおられるのも、お客様の太陽光発電に対する要望に対してじっくり向き合ってきたからこそでした。

太陽光発電システムを販売する多くの業者は、住まいの限られた屋根スペースにできるだけたくさんの太陽電池を設置しようと提案します。一見すると施主にとってもメリットがあるように思われますが、太陽電池やシステムの特性を正しく理解していないと、高額な初期費用(設置費用)を払うことになってしまう上、思ったほどの発電量が得られず、電気代削減効果(投資回収効果)も小さくなってしまうのです。

太陽光発電システム

事務所屋上に設置した太陽光発電システム。4社の最新型システムの性能を比較する目的で設置されました。同じように見える太陽電池ですが、意外な差が見えてきました。

菱田社長はこういったお客様の不安を取り除くため、屋根の面積や形状だけでなく、周囲の構造物や樹木などの日影の動きまでを考慮に入れ、メーカーごとの太陽電池の特性などを研究して、実際にどのくらいの発電量が期待できるのかを図表にまとめ、太陽光発電システムという大きな買い物のリスクを、できるだけ小さくするように努めておられます。

そんな中、もっと信頼度の高い情報を提供したいと考えた菱田社長は、実際に事務所屋上に複数社の太陽光発電システムを設置し、実発電量(実際の発電量)データを蓄積しています。これにより、メーカーごとのシミュレーションソフトによる予測発電量との比較もできるようになっているのですが、意外なことがわかってきました。


カタログでは見えにくい「実発電量」がキーワード!

菱田社長が見せてくれたグラフ(下図参照)では、一般的に変換効率(※)が高くて、熱に強いとされるシリコン系太陽電池よりも、ソーラーフロンティア社のCIS太陽電池の実発電量が10%前後飛び抜けていることがわかりました。

実発電量比較

【メーカーごとの実発電量比較】2012年1月1日~8月28日までの実発電量集計。緑色の棒グラフがソーラーフロンティアのCIS太陽電池。変換効率が高いとされている他社シリコン系太陽電池よりも実発電量が約10%前後高かった。ちなみに折れ線グラフは各メーカーのシミュレーションソフトによる発電量予測値。


※変換効率……太陽のエネルギーを電気エネルギーに変換する割合のこと。変換効率が高いものほど、単位面積あたりの出力が高いとされている。

菱田社長にソーラーフロンティア社のCIS太陽電池の実発電量が高くなる理由を尋ねたところ、「影と熱に強い特性」と「光照射効果」が考えられるとのことでした。一般的なシリコン系太陽電池では、真夏の晴天時などの高温時に出力の損失が発生したり、部分的に影が生じたりした場合にシステムモジュール全体の発電能力が大きく低下するため発電量が低下することも多いのに対し、CIS太陽電池は安定した発電能力を発揮できる構造になっているそうです。さらに、CIS太陽電池は工場出荷時よりも、実際の太陽光に当たると出力が上がるという性質を持っており(光照射効果)、これらがカタログなどに掲載される「一定の条件下での試験データ」だけでシステムを判断してはいけない理由と言えます。

次のページでは、実発電量と回収効果を考慮した上手なシステム選びの秘訣についてご紹介いたします