自律神経失調症/自律神経失調症・OD・本態性振戦

自律神経の乱れが便秘を引き起こす

便秘に悩まされているほとんどの人の自律神経バランスは崩れています。副交感神経の働きを高めてやることで、腸内環境が整い、便秘は解消する方向に向かいます。ここでは、自律神経と腸内環境の関係をご説明し、さらに副交感神経を高めるためのちょっとした行動をご紹介します。

小林 弘幸

執筆者:小林 弘幸

医師 / 自律神経ガイド

腸内環境と自律神経の深い関係

便秘に悩まされている患者さんの自律神経バランスはほとんどの場合、崩れています。自律神経は体温維持や血液循環、呼吸、消化吸収など生命の維持に重要な機能をコントロールする神経系統で、交感神経と副交感神経という相反する働きを持つ2つの神経が、高い活動レベルを維持しつつ、状況に応じてどちらかがやや強く働きながらバランスを保っているのが理想です。内臓は交感神経が強くなると機能が活発になりますが、胃や腸などの消化器官だけは副交感神経が強く作用する時によく働きます。

女性の場合、40歳を過ぎると副交感神経の活動が急激に低下してくるため、腸の蠕動運動が鈍くなり、便秘になりやすくなるのです。便秘が常態化してしまうと、便が長く腸内に滞留し、腐敗が進み、悪玉菌が急増するため腸内環境が悪化します。重要な腸管免疫力が低下するだけでなく、腸内で発生した毒素が血液に乗って前進をめぐり、体調不良が起きやすくなるのです。40歳を過ぎた女性にめまいや頭痛、イライラが多く見られるのは、副交感神経が弱くなり交感神経のほうが過剰に働き、バランスが崩れていることが原因です。
 


治療が必要な便秘の人は実は1割にすぎない

女性の便秘の悩み

便秘の悩みは自律神経の乱れと深い関係があります。

便秘外来を訪れる人のうち、本当に治療が必要なのは約1割にすぎません。残りの9割の人のうち半分は生活習慣を変えれば治り、あと残りの半分は便秘ではないと説明し、納得してもらうだけで解決します。

実は便秘に悩む人の多くはメディアの情報に振り回されていることが多いのです。便秘をテーマにした番組や雑誌の記事を見聞きして「自分も便秘ではないか」と思い悩んでしまうケースが多いのです。3、4日便が出なくても、生活に支障はありません。腹部に違和感がなければ便秘ではないとお話しするだけで、ほっとして治る人が3割います。

自律神経の乱れを整えて便秘を解消

便秘を解消するためには、腸内環境を整えることが重要です。では、そのために、どんなことが大事なのでしょうか?

最も重要なポイントは、腸の蠕動運動です、蠕動運動というのは腸の内容物を先へ先へと押し出す動きのことで、この動きが弱まると、食べた物が腸内で異常発酵するなどして、悪玉菌が活動しやすい悪い腸内環境になってしまうのです。一方、蠕動運動が活発になると、腸に残っている物がスムーズに押し出され、腸内がきれいになり、善玉菌が活躍しやすくなります。

そして、この蠕動運動を支配しているのが、自律神経のひとつ、副交感神経なのです。自律神経が乱れている人の多くは、副交感神経の働きが低下しています。このため、蠕動運動も不活発になり、便秘がおきるのです。逆に、副交感神経の働きを高めてやれば、蠕動運動も活発になり、腸内環境が整います。すると、さらに副交感神経の働きが高まります。この好循環によって、便秘が解消する方向に向かうのです。では、副交感神経の働きを高めるためには、どんなことが必要でしょうか?

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