エネルギー以外の新インフラ展開も

積水ハウス

世界初3電池によるスマートシティ「スマートコモン明石台」も誕生した(写真提供:積水ハウス)

現在のスマートシティ(2012年4月執筆時点)は、街をつくる住宅一つ一つがスマートハウスであり、その集合体としての省エネが実現する街という見方が大勢です。現時点では省・創・蓄エネの設備や要素が1住宅内で完結する形が主流で、街全体で創・蓄・調エネをインフラ制御するのはまだ開発段階といえそうですが、早くも街全体でエネルギー融通できる取組も少しずつ出てきました。

また現在のスマートシティはエネルギー問題との絡みが際立って取りざたされていますが、最初の連載でも紹介したように、世界的なスマートシティはグローバルな意味で解釈するとエネルギーだけの「スマートさ」ではありません。ITを駆使して街ぐるみでエネルギーや下水道、交通といった生活基盤インフラを効率連動させていることに加え、人口問題や健康、高齢化・介護など様々な課題をまとめて解決できるインフラとしても期待されているのです。

世界初3電池によるスマートタウン誕生

東日本大震災後5か月経った2011年8月に、世界初3電池(太陽電池、燃料電池、蓄電池)によるスマートハウス「グリーンファースト ハイブリッド」を発表した積水ハウス。同社は今年(2012年)4月、被災地県でもある宮城県黒川郡富谷町に、3電池スマートハウスによるエネルギー自立型のスマートタウン「スマートコモンシティ明石台」を開発オープンしました。
イラスト

太陽電池、燃料電池、蓄電池の3電池を組み合わせた世界初の電力供給システム

同社独自のスマートタウン「スマートコモンシティ」のコンセプトは、「安全・安心」「健康・快適」「エネルギー」「見守り」のキーワードを軸にした「SLOW&SMART」。

その第一号となる「スマートコモンシティ明石台」は、震災後に復興開発される宮城県内最大級の大型住宅団地にあり、「防災・防犯のまち」「環境配慮と自然エネルギー活用」「まちの財産となる景観づくり」「コミュニティのあるまち」「健康・福祉、安全に配慮したまち」の5つを基本理念として開発推進されています。

ここに建つ住宅は、3電池とオリジナルHEMSを組み合わせて『街の発電所』として昨夏リリースされた「グリーンファースト ハイブリッド」と、太陽光発電システムを搭載した環境配慮住宅「グリーンファースト」。全戸にEVコンセントが標準装備され、『究極のエナジーフリーを実現』する街と位置づけています。

ITシステム活用よる「街の見守り」機能も

さらに同社のスマートシティ定義にもある「コミュニティ面」では、防災コミュニティセンターや保育所、ITシステムを活用した「見守り」など、安心できる街のインフラを整備するとともに、住民の交流イベントを活性化させるなど地域コミュニティ「ひとえん」活動も行っていくとしています。
システム図

「グリーンファーストハイブリッド」の電力供給システム


今後は「スマートコモンステージけやき台」(茨城県古河市)、「アイランドシティ照葉のまち」(福岡市)など各地でスマートタウンを展開予定。一戸一戸のスマートハウスとコミュニティづくりといった「スマートシティ」は他社でも展開していますが、同社のITシステムで街をつなぐ試みは、街全体を制御する次なるスマートシティへの一歩になるとも考えられます。