連続テレビ小説『カーネーション』。女の一代記は朝ドラの古典的パターンでありながら、ヒロインの破天荒なまでのパワーや不倫も描くという掟破りの展開でこれまでにないおもしろさです。

小原呉服店

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それを支えている大きな要素として主人公・糸子を演じる尾野真千子の演技があります。ところが晩年の糸子は夏木マリに交代すると1月になって発表され、3月から交代してしまいました。
過去の朝ドラでも主人公の年令に応じて演じる女優が変わることはありましたが、すべて事前に発表されています。

事前の発表なしで途中でヒロインが交代したのは体調不良が理由の『いちばん星』やいろいろあった『春よ、来い』と不測の事態しかないため「トラブルか?」といわれています。
どうなんでしょうか?検証してみましょう。

コントかよ!

制作統括の城谷厚司チーフプロデューサーは「企画当初から、糸子の11歳から92歳までを描くつもりでいて、それは今でも変わりません。その間、実に多くのことが起こるのですが、晩年になってからは『老い』との戦いという局面に入ります。そこでは体が衰えているということが大きな要素なので、ある程度の年齢の方にお願いしなければならないと最初から考えていました」と説明しています。
たしかにヒロインが晩年になった場合、それなりの女優に交代するのは定石です。

大昔の朝ドラは、若い女優がおばあさんになるまで演じていました。テレビの画像が荒かったからできることでしたが、それでも当時から「コントかよ!」とツッコまれてました。

70才ぐらいまで演じたのはガイドの記憶では82年の『よーいドン』あたりまで。それも瞬間芸レベルで、昭和初期にランナーとしてオリンピックを目指したヒロイン(藤吉久美子)が現代(放送時の)、おばあちゃんになっても元気に走ってます、という結末に限られていました。


次は「インパクトがほしかった?


 幼壮老ヒロイン三人体制

洋裁コシノ

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『よーいドン』の後番組が小林綾子/田中裕子/乙羽信子の幼壮老ヒロイン三人体制の先駆け『おしん』、そしてこれ以降で若い主演女優がおばあちゃんになるまで演じるパターンはなくなりました。

ハイビジョンの現在はますます無理でしょう。特殊メイクを駆使するという手もありますが、それはそれで「SFかよ!」とツッコまれそう。
『おしん』以降はせいぜい50代まで。『ゲゲゲの女房』の布美枝(松下奈緒)は1932年生まれで最後は1986年だったので53か4才まで、尾野真千子の糸子は60才まででギリギリです。


インパクトがほしかった?

だからヒロイン交代については納得しますが、それはそれとして放送前には発表してほしいところ。
発表が1月になったことについて城谷チーフ・プロデューサーは「企画した当初、晩年にはヒロインが変わる、ということは決まっていても、どなたにお願いするかは決めていなかったので、発表がこの時期になりました。ご理解いただきたいと思います。」 と説明しています。

しかしキャストが決まっていなくても変わることについての発表はできるはずです。なぜそれをしなかったのか?ここからは推測ですが、前作『おひさま』が影響しているんではないでしょうか。

幼壮老のヒロイン三人体制は1983年の『おしん』がはじめて、続いて1999年の『すずらん』が柊瑠美/遠野凪子/倍賞千恵子、そして前作『おひさま』が八木優希/井上真央/若尾文子。
最後を大女優が担当し、また十数年に一度しかやらないということでスペシャル感がありました。
ところが『カーネーション』も同じパターンですが、『おひさま』の直後ということでインパクトに欠けます。そこで放送途中に発表するという意外性をねらったんじゃないでしょうか。

それにしてもやはり放送前には発表してほしいところ、見る方にも気持ちのダンドリがありますから。

 



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