イメージ写真

9000円台を回復する日経平均株価。投資家心理は改善方向へ!

株式投資をしている読者の皆さんの中には、つかの間の安堵(あんど)感を感じている人が少なくないのではないでしょうか―。東日本大震災以降、軟調な地合いが続いていた日経平均株価が2月8日には9000円台を回復し、震災後の最安値8160円01銭(2011年11月25日)からの回復度合いを強めています。

さらに、15日には前日比208円27銭と今年最大の上げ幅を記録し、昨年9月27日以来、約5カ月ぶりの大幅上昇となりました。投資家のリスク選好性が高まっている証左といえるでしょう。

もともと、先進国の中では相対的に良好な経済成長が見込まれていた日本ですが、昨今、ギリシャの無秩序な債務不履行が回避されるとの見方が強まり、欧州の債務不安に対する過度な悲観論(警戒感)が後退したことで、外国人投資家が日本株を買い越し、株価上昇につながっています。今春からは震災復興関連の需要も顕在化することから、景気浮揚につながるとの期待が高まっています。

加えて、為替面でもユーロ圏の信用不安が和らぎ、ユーロ/円での円高に歯止めがかかったことも相場を押し上げています。良好な雇用統計の結果を受け、米国の景気回復期待が円安に振れやすい相場を醸成していることもサポート役として機能しています。まさに株式の含み損を抱えている個人投資家にとっては、ホッと一安心できる投資環境が戻ってきたことになります。

しかし、2月13日に発表された2011年10~12月期の実質GDP(国内総生産)成長率は2.3%減(年率換算)となり、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。折りしも、1月25日には日本の貿易収支が31年ぶりに赤字(輸入超過)に転落するというニュースが飛び込んで来たばかりです。また、1月27日に総務省から発表された2011年平均の全国消費者物価指数は前年比0.3%の下落となりました。マイナスは3年連続で、日本が長引くデフレから脱却できずに苦しんでいることを裏付けます(下グラフ参照)。

消費者物価指数(前年比)の推移

 
 

一段の金融緩和を推進すべく、消費者物価の前年比上昇率で「当面1%」を目指す 

そこで、日本銀行は持続的な成長の実現に資するべく、2月14日、「中長期的な物価安定の目途(めど)」を新たに導入しました。先行きの内外経済の不確実性が払拭されないなか、わが国経済の回復経路への復帰をより確実なものとするため、消費者物価の前年比上昇率で当面は1%を目指す方針を明確にしました。「デフレ脱却」と「物価の安定」が最優先課題との認識が、その根底にはあるのです。

消費者にとって、デフレはモノやサービスの価格が下がる(安くなる)という意味で、本来は喜ばしいはずです。しかし、供給する企業の側からすると、その分、収益を圧迫され、従業員(サラリーマン)の賃金上昇を抑圧する悪材料となります。当然、給料が上がらなければ消費者は消費を出来るだけ控えるようになり、経済活動は停滞を余儀なくされます。

その結果、さらにモノは売れなくなり価格競争を激化させます。企業の売り上げは低迷し、社員の給与削減やリストラをさらに加速させます。所得が増えなければ、消費者は財布のひもを緩めることはしません。デフレは消費者にとって、必ずしも喜ばしいものではないのです。そして、こうした悪循環が「デフレスパイラル」となり、経済を縮小させていきます。

日銀は、持続的な経済成長の足かせとなっているデフレを解消するには、金融面からの後押しが不可欠と考えています。そこで、「物価の安定の目途」を示すことで、物価や経済の安定を重視した政策運営に力を入れているという姿勢を明確に打ち出しました。

同時に、日銀は一段の金融緩和の強化も表明し、消費者物価の前年比上昇率1%が見通せるようになるまで、「実質的なゼロ金利政策」と「金融資産の買い入れ」などの措置により、強力な金融緩和を推進していくことを明らかにしました。緩和的な金融政策をさらに推し進めることで、経済成長の基礎を築いていこうというのです。

日本の中央銀行である日銀が「実質的なゼロ金利政策を続ける」と公言している以上、市場金利が上昇する余地は限定されます。今後、長期国債の買い入れ額も増やされることになり、金利上昇の可能性はさらに低下することとなります。

 次ページに続きます。