2012(平成24)年度税制改正大綱の後に発表

平成24年度税制改正大綱が12月10日に発表されましたが、小粒な改正という印象でした。それは、「社会保障と税の一体改革」という大きな改正が控えていたからです。なお、「社会保障と税の一体改革」については、1月6日に政府・与党社会保障改革本部において閣議報告されています。

(注意)ただし、この「社会保障と税の一体改革」については、まだ素案の段階であり、これから野党と協議を行っていきますので、今後の国会審議動向等より内容が変更される可能性がありますので、ご承知ください。

この「社会保障と税の一体改革」ですが、「社会保障改革」と「税制抜本改革」に大きく分かれています。今回は、そのうち「税制抜本改革」について解説します。

社会保障・税一体改革素案

税制抜本改革の基本的方向性

社会保障改革と一体的に実施する今回の税制抜本改革の最大の柱は、社会保障財源を確保するための消費税の引き上げです。

その理由として消費税は、
・ 高い財源調達力を有している
・ 税収が経済の動向や人口構造の変化に左右されにくく安定している
・ 勤労世代など特定の者へ負担が集中せず、経済活動に与える歪みが小さい
という特徴があるからです。

社会保険料など勤労世代の負担が既に年々高まりつつある中で、こうした特徴を持ち、幅広い国民が負担する消費税は、高齢化社会における社会保障の安定財源としてふさわしいと考えるとされています。

消費税課税

1.税率の引き上げ
消費税の税率を次のとおり引き上げるとしています。
(1)2014(平成26)年4月1日 8%(国6.3%+地方1.7%)
(2)2015(平成27)年10月1日 10%(国7.8%+地方2.2%)

上記の改正は、平成26年4月1日((2)については平成27年10月1日)以後に行われる資産の譲渡等および保税地域から引き取られる外国貨物について適用します。なお、工事の請負等については所要の経過措置を設けます。

消費税の税率構造については、単一税率を維持することとされ、食料品等に対する軽減税率の適用はありません。

また、消費税の増税は、所得の少ない家計ほど食料品向けを含めた消費支出の割合が高いために消費税負担率が高くなってしまいます。そこで、社会保障・税番号制度の導入を前提に、総合合算制度や給付付き税額控除などの導入が検討されています。

なお、総合合算制度というのは、制度単位ではなく、家計全体をトータルに捉えて、医療・介護・保育等に関する自己負担の合計額に上限を設ける制度のことです。給付付き税額控除というのは、納める税金の額が少なく、税額控除を満額受けられない場合に、その受けられなかった金額を納税者に給付する制度のことです。

2.事業者免税点制度の見直し
資本金1,000万円未満の新設法人に関する免税点制度について見直しされます。5億円超の課税売上高を有する事業者が直接又は間接に支配する法人(親族、関連会社等を含めた資本の持分比率が50%超の会社)を設立した場合において、その設立された法人の設立当初2年間については、課税事業者とするなどの現行の資本金1,000万円以上の新設法人に対する措置と同じ措置が講じられる予定です。平成26年4月1日以後に設立される法人について適用されます。

3.簡易課税制度の見直し
簡易課税制度のみなし仕入率について、業種によっては、実際の仕入率を大幅に上回っている状況にあることが確認されましたので、必要な見直しを行うとしています。

所得税・相続税も増税の方向

所得税については、平成27年分の所得税から、課税所得5,000万円超について税率を40%から45%に引き上げるとしています。

相続税については、平成23年度税制改正大綱に盛り込まれながら実現していなかった下記の項目について、平成27年1月1日以降の相続、遺贈、贈与から適用されるとしています。

・相続税の基礎控除
(改正前)5,000万+1,000万×法定相続人の数
(改正後)3,000万+600万×法定相続人の数

・死亡保険金に係る非課税限度額
(改正前)500万円×法定相続人の数
(改正後)500万円×法定相続人(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る)の数

・相続税の税率構造の引き上げ

・未成年者控除と障害者控除の拡大

・暦年贈与課税の税率構造の見直し

・相続時精算課税制度の要件緩和

また、成年扶養控除や配偶者控除、給与所得控除、年金課税については、今後も引き続き検討することとされています。

繰返しとなりますが、今回の内容は決定されたものではありません。今後の国会審議動向等により変更される可能性があります。



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