新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

みなさん、年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか? 帰省された方、カウントダウンパーティを楽しんだ方、ご自宅で紅白を見ながら過ごした方なども多かったことでしょう。

元旦早々、地震があったりして、2012年も油断できないな…と身が引き締まる思いをした方もいらしたのでは?と思います。

さて、こういう年の新年に際し、あまり同性愛に関係なさそうに見えるかもしれませんが、「祝い」と「呪い」というテーマでお送りしてみたいと思います。

「祝い」はもちろん新年にふさわしいキーワードですが、「呪いってアンタ…景気の悪い話やね」「21世紀に呪いなんて…時代遅れも甚だしいわ」などと思われる方もいらっしゃるでしょう。でもこの話は冗談じゃなく、僕らひとりひとりの人生(生き死に)にも関わるような、大切なテーマだと思うのです。

ジョージマイケル

ジョージ・マイケルさん(右)と恋人のファディ・ファワズさん(左)

昨年末、ジョージ・マイケルさんが肺炎で入院したのですが、それに対し、ある原理主義的キリスト教集団が「同性愛者に死を」と祈っていたというニュースを読み、ショックを受けました。これが「呪い」というものです。幸い、無事に退院できたそうですが、そんな「呪い」の言葉を苦にしてますます病状が悪化したり、本当に死に至ったり…と考えると、本当に恐ろしいです。

昨年11月28日に放送された『ハートをつなごう』(Eテレ)のHIV特集では、血友病でHIV感染し、現在HIV予防啓発活動をしている武田飛呂城さんが、同じように血友病でHIVに感染した叔父さんが周囲のひどい差別に遭い、その心労で病状が悪化して亡くなったと証言していました。武田さんは「差別が人を殺すんだな、と感じた」と語っていました。

キムジフ

韓国のゲイの俳優、キム・ジフさん

また、2008年に韓国で、ゲイであることをカミングアウトしたキム・ジフさんとトランスジェンダーのチャ・チェウォンさんが、ネット上での誹謗中傷を苦にして相次いで自殺するという事件がありました。自分宛てに書かれた「呪い」の言葉を見てしまった人は、地獄の苦しみを味わい、時には命さえ落としてしまうのです。

このように、セクシュアルマイノリティやHIV陽性者は、社会に押された負の烙印(スティグマと言います)ゆえに、ともすると「呪い」に呑み込まれそうになり、ある人は自分をも呪い(思春期の頃の僕がそうでした)、ある人は心や体を病み、ある人は若くして命を落としたりしてきたのでした。

これまで、コミュニティ向けにカウンセラーの役割を果たしてきた方などもたくさんいらして、本当に頭が下がる思いですが、もっとこう…どうしたら「呪い」にかからないで済むんだろう?とか、「呪い」を解く方法はないのかしら?とか、そういうことを漠然と思っていました。

そんな時にたまたま、『現代人の祈り 呪いと祝い』という本が目に入り(呼ばれたんですね)、即買いしました。これは、内田樹さん(思想家。神戸女学院大学名誉教授)、釈徹宗さん(宗教家。相愛大学人文学部教授)、名越康文さん(精神科医。京都精華大学特任教授)の対談&鼎談を集めた本なのですが、実に含蓄のある、滋味にあれふたものでした。

実はゴトウはここ数年、内田樹さんの本をたくさん読んでいます(「タツラー」と言うそうです)。きっかけは、村上春樹の『1Q84』にハマった頃、数多ある「解読」の中で内田さんの村上春樹論がいちばん腑に落ちたというか、ハッとさせられたからです。内田さんは阪神淡路大震災の経験者でもあり、去年の原発事故に際し、いち早く「西日本へ『疎開』を」と呼びかけた方でもあります。また、内田さんの「原発供養」という記事は、去年読んだ文章の中でも最も印象に残るものでした。そうしてますます、内田さんをリスペクトするようになったのでした。

今回は、この本や内田さんのblogの文章を引用しながら、「呪い」と「祝い」について書いてみたいと思います。