うつ病/冬季うつ病・五月病・気分変調症・その他のうつ状態

なぜ多い? 有名人の心の病気・自殺未遂

有名人の心の病気や自殺は、センセーショナルなニュースになります。悲しいニュースであり、もしも、その人の大ファンであったならば、その日は一生忘れなれないほど、ショックが大きい場合もあるでしょうが、同時に、私たち一般人が心の病気への意識を高めるきっかけになるのではないかと思います。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

有名人は悲しい事もニュースに……

有名人は一般人より心の病気になりやすいのでしょうか? 有名人を100人選んで、もしもそのうち、30人が、うつ病なら確かに、うつ病になりやすいとは言えますが……

時に、有名人の自殺のニュースがメディアに流れる事があります。もしも、自分がその人の大ファンであったならば、その日は一生忘れられないほどのショックではないかと思います。

ここでいささか、哲学的命題ですが、人は何故、時に自ら死を選ぶのでしょうか? 有名人は華やかな世界に生き、多くのファンに囲まれ、何の不自由もないように見えたりします。いったい何が問題で、この世に別れを告げてしまったのか、疑問に思われる方もいるかもしれません。

ここで重要な点は、心に不調が生じて、脳内環境に生じている問題に関しては、有名か否かは関係ないことです。今回は、有名人の心の病気を取り上げますが、同時に、私たちが心の病気への意識を高める、きっかけとして、それを詳しく考えていきたいと思います。


有名人は一般人より、本当に心の病気になりやすい? 

有名人に限らず、あるグループにおいて、心の病気の発症率が一般より高いか低いか、という問題は、なかなか興味深いと思います。一般的統計では、うつ病は人口の10%前後、統合失調症は1%前後。仮に有名人を100人選んで、そのうち10人が、うつ病に一生のうち、かかるとすれば、一般平均と同じです。もしも、30人が、うつ病にかかってしまうとなると、有名人は、うつ病になりやすいと言えます。ただ、そういう数字が出ても、不思議ではない根拠は、以下のように幾つもあります。
  • 分刻みのスケジュールで、心身が疲れきっているにも関わらず、休養を取れない
  • 孤高のスターという表現があるように、周りに熱烈なファンはいても、心の問題を相談できる相手がいない
  • 冴えない気分をまぎらわすための刺激として、もしも、アルコール、ギャンブルなどに向かってしまえば、心の不調を深刻化させる、悪循環の罠に陥りやすい
  • 売れている時と、売れなくなってしまった時のギャップが大きすぎる
  • 勝つためには手段を選らばないと、言えそうなほどに、競争が激烈で、将来も現在の地位を維持できる保障は充分ない
     

普通の人ではない事も、心の病気のリスク!? 

有名人の中には、普通のお仕事は、ちょっと厳しそうな印象を与える人が、少なからず、いらっしゃると思います。ただ、ここでの注意点として、普通の人ではないからといって、必ずしも心の病気になりやすいとは限りません。心の病気は定義的に、仕事や家庭など日常生活において、深刻な支障が生じている時、そう診断する事が可能です。

心の病気の要因は、遺伝的要因、心理的要因、環境的要因などですが、この中で、遺伝的要因というのは、DNAレベルで決まる要因の事で、例えば、心の病気の発症に関係深い、脳内神経伝達物質の受容体の3次元構造といったものが、そうです。

心の病気は、これらの要因が複合的に関わって発症しますが、先にあげた、「普通のお仕事はちょっと厳しそう」という印象が、果たして遺伝的要因によるものなのか、それとも心理的、環境的要因によるのか、もしかしたら、単に職業的要因の為なのかは、なかなか興味深い問いだと、思います。

自殺問題の背景に、うつ病がある事は知っておいて!

有名人の自殺はセンセーショナルなニュースですが、連年、年間自殺者数が3万人を超えている現状では、自殺は大きな社会問題です。ここで是非、ご留意して頂きたい点があります。自殺は、うつ病と深く関係している事です。実際、自殺者は多くの場合、自殺をされた時点で、抑うつ状態になっていた事が分かっています。

うつ病は通常、何らかのストレスをきっかけに、脳内環境が病的になる病気。うつから回復する為には、病的になった脳内環境を治療によって、正常化させる事が一番の近道ですが、有名人の場合、なかなか精神科を受診する時間が作れないかもしれず、そもそも身近に精神科受診をすすめてくれる人がおらず、冴えない気分を晴らそうと、アルコールなどを求めるうち、それが、かえって、抑うつ症状を悪化させ、死にたい気持ちが生じる場合もあるかもしれません。

心の病気から回復する為には、病的になってしまった脳内環境を治療によって正常化させるという原則は、有名人に限らず、我々すべてに当てはまります。もしも、心の不調が2週間以上続いている場合、例えば、何をやっても楽しくないほど、気分が冴えず、日常の能率が深刻に低下してしまったような時には、脳内環境が病的になってしまった可能性があります。是非、精神科(または神経科)受診も、ご考慮下さい。
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