ラミーの「ダイアログ」シリーズ
ラミーでは、モデルごとに一人の外部デザイナーとコラボレーションしてペン作りを行っている。そんな中で、この「ダイアログ」シリーズだけは、ラミー哲学をより際立ったものにするため毎回違うデザイナーを招へいしている。「ダイアログ1」では、「ThinkPad 」も手がけたリチャード・サッパー氏。「ダイアログ2」は、ラミーピュアのデザインも手がけたナッド・ホッシャー氏。
そして「ダイアログ3」では、ラミーピコのフランコ・クリヴィオ氏。「ダイアログ」シリーズとしては、はじめてとなる万年筆。しかも、通常の万年筆と違いキャップがないという機構をもったものだ。
このたび、新たにブラックタイプが登場。ラミー大好きな私自身も、これまでこの「ダイアログ3」のことは雑誌などで、その存在は知っていたものの、しっかりと試すという機会がこれまで残念ながらなかった。
ラミー ダイアログ3 by フランコ・クリヴィオ 3万3600円
そこで今回は、この「ダイアログ3」のインプレッションをお届けしたいと思う。
ラミーらしいミニマル デザイン
まるで葉巻を思わせるフラットなデザイン
どういうことかというと、それほど大きく感じないということ。もちろん実際のサイズは全く変わっていない。あくまでも印象の違いなのだろう。
同じくフランコ・クリヴィオ氏デザインのラミーピコと並べてみると、確かに似ている。まるで親子のようだ
「ラミーピコ」はラバーっぽい、やや指先にまとわりつく感じがあったが、「ダイアログ3」ではマットの中にもサラッとした指触りがある。しいていうと、ラミーの CP 1のブラックの方に近いと思う。つまり、ラバーっぽさよりもメタルという質感がダイレクトに感じられる。
手にすると結構ズシリとくる。私の持っているラミーの中でひょっとすると一番重いかもしれない。クリップを除いては、ボディの中で突出した部分はなく、全体がスラッとしている。軸は見た目としてはかなり太め。実際に測ってみると直径は13.5mm 。ラミーの中で太めのラミー2000万年筆のグリップ部分は13mm ほど。
グリップ部分で比べると、ラミー2000万年筆とさほど、太さは変わらない。「ダイアログ3」のボディには、クリップにつながるラインが描かれており、それがボディにシャープな印象を与えている
次のページでは手に持った感触をレポートする。
メカニカル感タップリの操作感
では、次にペン先を出してみる。ペン先を出すにはボディをツイストさせる。やや重みを感じながら軸を180度回転させると、じわりじわりとペン先がくり出されてくる。ボディを半回転ツイストさせると、ペン先が繰り出される
さて、このツイストをする際、ついついペン先が出てくる所に目が行きがちだが、ここでクリップにも注目したい。ペン先ほど盛大な動きではないが、この時クリップがほんのわずかに沈み込む。
ペン先収納時にはクリップとボディの間にわずかにすき間がある
それがペン先を繰り出すと、ご覧の様にそのすき間はなくなる
試しにペン先を出していない状態、つまりクリップの飛び出しが大きいままに手にしてみる。次に、ペンをしっかりと繰り出してクリップを沈み込ませて握り比べてみる。
わずかに沈み込んだクリップにより、握った時の安定感がすこぶるいい
一方、クリップを沈み込ませた状態だと、これが実に自然。あくまでグリップをしっかりと握り、クリップはほんの少し添えるという感じになる。1mm にも満たない差が、これほど大きく影響するとは驚いた。
クリップは根元を押すと、先が広がるバネ式になっている
これはアルミ製クリップのようだが、裏から覗きこむとラミー十八番の無垢クリップになっていた
重さを味方につけた書き心地
では、次に実際に筆記してみる。ペン先の形としては、サファリ万年筆と同じだが、これは14金。バイカラーの14金ペン先
少し筆圧を加えると、ペン先が気持ちよく反応してたわむ
口金が結構太いが筆記時のペン先回りの視界は思ったよりも良好
穴の周りはラバーになっている
さて、今度は出したペン先を収納してみる。先程とは逆回転させると、スルスルとペン先が収納されるのにあわせて、クリップも元の位置に戻っていく。
ヘルメットのようなインナーキャップがクルリと回転して閉まる
最後にインクの交換方法を紹介する。
インクの交換方法
インクはカートリッジとコンバータの両用式。交換するにはボディを分解する必要がある。カートリッジの場合は、この状態でセットする。コンバータの場合は、ここからさらに、ペン先ユニットを取り外す。回転させると簡単に外れるようになっている。この外した状態でインクボトルからインクを吸入させる。カートリッジ、コンバータの両用式。このようにペン先ユニットだけにできる
以上、「ダイアログ3」のインプレッションを「ダイアログ3」で書いてみた。これまでのシルバータイプでは「食わず嫌い」ならぬ「書かず嫌い」になっていたが、このブラックになって私の中の印象はガラリと変わった。
「ダイアログ3」のために誂えられたウッド製専用ケース
【関連リンク】
・ラミー公式サイト(ダイアログ3)
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