3Dアクションのマリオは人気がない?

スーパーマリオギャラクシー

横スクロールアクションのNewスーパーマリオシリーズに比べると、やはり3Dアクションシリーズのマリオギャラクシーの方が売り上げ的にはどうしても落ちます。

2011年9月13日、任天堂は東京ビッグサイトにて、ニンテンドー3DSカンファレンスを行いました。そこで年末から2012年にかけての有力タイトルが紹介されましたが、その1つがスーパーマリオシリーズの最新作、スーパーマリオ3Dランドです。

マリオという名前がつくタイトルは非常にたくさんありますが、その中で、最も売れるのが横スクロールアクションのマリオです。ここ数年ではニンテンドーDSやWiiで発売されたNewスーパーマリオブラザーズがそれに当たります。今回発売を予定しているマリオはそういった横スクロールアクションのマリオではなく、3Dアクションなどと呼ばれる、奥行きがあり立体空間の中を自由に駆け巡ることのできる、ニンテンドー64で発売されたスーパーマリオ64の流れをくむマリオです。

しかし、この3Dアクションのマリオというのは、横スクロールアクションのマリオに比べると人気がありません。例えばWiiで発売されている3Dアクションのマリオ、スーパーマリオギャラクシーシリーズは、1作目、2作目ともに約100万本を販売し、3Dアクションという分野で言えば大変に売れている部類にはいりますが、同じくWiiの横スクロールアクションのマリオ、Newスーパーマリオブラザーズはなんと約420万本を発売していて、その差は歴然です。

3Dアクションのマリオは、奥行きがあることで距離感がつかみにくい、自由に空間を移動できることでどこに行っていいかわからなくなる、というようなことが言われ、ある程度アクションゲームの経験がある人に好まれ、初心者に敬遠される傾向があるようです。

しかし、このスーパーマリオ3Dランドはそういったこれまでの状況を打破することができるかもしれません。では、どうやって解決するのか、というのが今回のお題目です。

このお話をするにあたり、立体視の3Dと、ゲーム内の世界が立体空間で表現されている3Dが混同しやすいので、3DSの裸眼立体視の機能は立体視、ゲーム内の立体空間世界を3Dと表現することにします。

一見地味な画面

スーパーマリオ3Dランドの図

パッと見て、自分が今どこにいて、どこに行くのかが分かりやすいカメラワークが非常に重視されている印象です。

現在発表されているスーパーマリオ3Dランドの画面は、例えばスーパーマリオギャラクシー2と比較すると、正直に言って画面が地味です。据え置きハードと携帯ハードの性能差からくる表現力の違いということももちろんありますが、よりその差を決定的にしているのはカメラワークやステージ構成によるものではないかと思います。

今回プレイできたステージや、あるいは公開された動画などを見ると、スーパーマリオ3Dランドのカメラは、上から、そして横からという視点、あるいはそれに近い斜め上からの視点が非常に多く感じられます。ステージそのものもそれにあわせて、横スクロールのようであったり、パッと見渡して構造が分かりやすいようになっていたりと、ひと目見た時の分かりやすさが重視されています。

マリオギャラクシー2でもそういったカメラワークはわりと積極的に使われてはいましたが、ここまで地味に見えるほど極端な構成ではなかったように思います。

これは、いわゆる臨場感のあるカメラとは真逆です。臨場感のあるカメラというのは、実際に人間が見る目に近い位置にあるカメラです。上からの見下ろしや、横からの画面は説明的で図面のようになります。3Dアクションゲームでは、もっと臨場感が出るように後方やや斜め上からの視点というのが多いんじゃないかと思います。さらに、ファーストパーソンシューティングのようなプレイヤーキャラクターと同じ視点で見れば臨場感はさらに上がるでしょう。

しかし、臨場感のある視点にすればするほど、自分が客観的にどういう状況にいるかはわかりにくくなり、操作が難しくなります。スーパーマリオ3Dランドでは、臨場感を多少犠牲にしてでも、見事に快適遊べるよう、カメラが動いてくれます。

プレイヤーをゲームに集中させる為のカメラワーク

スーパーマリオギャラクシーの図

マリオギャラクシーもかなり3D空間をプレイヤーにどう把握されるかに注力したタイトルではありましたが、アクションゲームが得意でない人にとっては、まだ位置関係の把握が難しい場面というのがありました。

実際、スーパーマリオ3Dランドをプレイしてみると、これまでの3Dアクションのマリオとは全く別次元に遊びやすいことに驚きます。触るまでは、ちょっと地味かしら、と思っていたのが、遊んでみると、これが快適にプレイするために作りこまれたカメラだということに気がつきます。

その中で、自由自在にジャンプして、はてなブロックをボコボコと叩きまくってコインを出し、しっぽマリオになってフワフワとゆっくり飛んでクリボーを踏んづけ、木の上にのぼって隠し部屋を発見したりします。

実に良くできているのは、そうやって横スクロールアクションのようにプレイしやすいカメラになってはいても、実際にはゲームの世界は3Dなわけで、ここには何かあるかなと、ちょっと外れに移動してみるとググッとカメラが手前をうつしてくれて、そこに隠し部屋があったり通路があったりと、空間世界を探索する楽しさが見事に表現されていることです。

結局、いつもカメラが自動でスムーズに、分かりやすく表現したいものは分かりやすく、ちょっと分かりにくい方が面白いものは分かりにくく表現してくれるように移動してくれて、それがプレイヤーをゲームに集中させます。

立体視の仕掛け

立体視の仕掛けの図

ある角度で見ると真横に並んでいるように見えるブロックが、立体視によって浮かび上がり、位置関係がずれていることが分かるように作られていたりします。はじめてみると、おおっと思います。

カメラやステージ構成によって、3Dアクションが得意でない人でも楽しく遊べそうですよ、というお話をしてきました。ここでもう1つ、これはカメラの巧みさに比べればおまけ程度のことかもしれませんが、プレイが分かりやすく面白くなる仕掛けをご紹介します。それは、裸眼立体視です。

任天堂は、立体視によって距離感がつかみやすくなり、ゲームがプレイしやすくなるということを幾つかのインタビューなどでアピールしてきました。実際のところ、立体視によって距離感がつかみやすくなるというのは、ちょっと語弊があるように思います。立体視には個人差がありますから人によって違うかもしれませんが、ガイドの感覚としては目の前のものがどのくらい近くにあるか、遠くにあるかというのが分かりやすくなる、というのはちょっと難しいと思います。

しかし、並んでいる2つのものに対し、どちらが手前にあるかは、確かに立体視で分かりやすくなります。具体的に言えば、ブロックが2つあって斜めから見ればどちらが手前でどちらが奥か分かるのに、真横から見ると横に並んで見える、という配置の時、立体視にすると手前のブロックだけ浮き上がって見えるので、位置関係を把握することができます。

実際、近くで並んでいるものの前後は裸眼立体視野で把握しやすくなった感があります。また、わざと位置関係が分かりにくい配置をして、立体視で見るとどちらが前か分かる、というような仕掛けも用意されているようです。これは遊んでみると、おおっなるほど、となります。

カメラワークや立体視を駆使して、遊びやすくなったスーパーマリオ3Dランド、最後に重要なのはそれをユーザーに伝えることです。

私にもできそう、と言わせることができるか

スーパーマリオ3Dランドの図

遊んでもらう前に、私にもできそう、私もやってみたい、そう言わせるのが1番難しいんですね。(イラスト 橋本モチチ)

売り上げという面から言うと、実際に遊んで、プレイしやすい遊びやすいということだけでは十分だとは言えません。より重要になるのは、CMなどでゲームを知った多くの人たちに、私にもできそう、と思って貰えるかということです。

スーパーマリオギャラクシーシリーズは、今回のスーパーマリオ3Dランドほど極端ではないものの、かなりカメラワークは工夫されていましたし、また、ステージを球体にすることで奥行きが把握しやすくなるような仕組みをもった3Dアクションでした。しかし、銀河を駆け巡るマリオの姿は、ダイナミックでインパクトがある反面、難しそうにもうつりました。ゲームソフトというのは、5,000円も6,000円もして、何時間も、何十時間も遊ぶもので、買うときには多くの人が、自分に合ってるか最後まで楽しめるかということをすごく気にします。

今回のやや地味にも見える画面は、そういう意味ではもしかするといい方向に働くかもしれません。ただし当然の話として、なんか携帯機のせいか地味になっちゃったね、と思われるリスクも当然あります。

スーパーマリオ3Dランドは、スーパーマリオカート7、モンスターハンター3G、と並んで年末商戦の目玉であり、長期的にも3DSというハードの存在価値を大きく左右するタイトルになる可能性があります。スーパーマリオギャラクシーシリーズを遊んだ人に、地味と思われるか、それとも今までそんなに3Dアクションが得意じゃなかった人に私にもできそう、と思わせるかは雲泥の差でしょう。

そしてもし、今までよりたくさんの人に3Dアクションを遊んでもらうことに成功したなら、それは多くの3Dアクションゲームにとって、大きな意味を持つかもしれません。

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