“鉛筆”という名を持つ上質な筆記具

創業当初のジュネーブの本社。

創業当初のジュネーブの本社

精密な機械式時計が有名なスイスだが、その品質や職人魂はステーショナリーにも見て取れる。代表のひとつがカランダッシュの筆記具と言えるだろう。創業者はアーノルド・シュバイツァー。1915年創業のエクリドール鉛筆製造所を、創業者のアーノルド・シュバイツァーが、1924年に買収したことから歴史は始まった。ちなみに“カランダッシュ”はロシア語で“鉛筆”という意味であり、設立当時に活躍していたロシア生まれのフランス人風刺画家、エマニュエル・ポワレの雅号から取ったブランド名だ。

1929年に “自動給芯機能”を持つ世界初の完全金属製メカニカルペンシル「フィックスペンシル」を開発。これは、現在のノック式(チャック給芯式)シャープペンシルの原型でもあり、特許も取得している。また「フィックスペンシル」のボディは、ブランド名でもある“鉛筆”の普遍的デザインである六角軸。手にフィットして疲れにくいフォルムを高級筆記具に取り入れた最初のメーカーということで、定番コレクションの「エクリドール」や高級ラインの「ヘクサゴナル」、「バリアス」などにも取り入れられ、カランダッシュの象徴として浸透している。

次のページでは、ブランドの代表的モデルも紹介する。

所有者を高ぶらせる圧巻の彫刻

「エクリドール タイプ55 ボールペン」2万1000円

「エクリドール タイプ55 ボールペン」2万1000円

ボールペンが製造され始めたのは1953年。その中でも定番と言える「エクリドール」は“筆記”を意味する“ecri”、“書くこと”を表す“ecrire”、“金”という意味の“or”を組み合わせたネーミングだ。つまり、金にも値する筆記具であり、金のように貴重なものを書くといった意味合いも併せ持つ。

ボディのベースは真鍮。ゴールドプレートやロジウムコート仕上げのシルバープレートも使用されている。厳選された素材と卓越した技術で厚いメッキ加工が施されたボディは高級感があり、耐久性にも優れているので、長く愛用できることは確実。また、繊細で美しい彫刻は永年受け継がれている伝統であり、今回はその中でも「タイプ55」のパターンに焦点を当てよう。

自動車産業が躍進した1960年代。そんな時代で一世風靡した67年式マスタングのエアインテークパネルをモチーフに採用したのが「タイプ55」だ。質感の再現にもこだわり、製造過程には手間暇が投じられ、他の「エクリドール」よりも深さがある彫刻で、指先に良く馴染む。ちなみに名前の由来は、角度によって数字の“5”にも見えるパターン。そんなボディを手にすると、スポーツカーを加速した時のように胸が躍る。

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カランダッシュ

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