労務管理/職場でのメンタルヘルス対策

災害発生に備えたメンタルリスクマネジメント 

災害が発生した場合などに備えて、事前にメンタルヘルス対策を講じておくための着眼点などについて解説しています。災害が発生してから対策を講じても後手後手となり効率がよくありません。メンタルリスクが高い従業員を事前に特定し、計画的な対応をすることがメンタル不調者の未然防止につながります。

本田 和盛

執筆者:本田 和盛

企業の人材採用ガイド

本社主導でメンタルリスクマネジメントを進めましょう

メンヘル

メンタルリスクマネジメントは本社主導で行うのが原則です。

震災などの大規模災害が発生した場合は、被災状況の確認、従業員の安否確認、被災した従業員のフォロー、事業再開に向けた取組など、多くの業務を短期間でこなさなければなりません。

一度災害が発生すると、会社としては事業の継続、事業の再開が短期的なミッションになるので、従業員のメンタルヘルスについてはどうしても優先順位が下がります。またメンタルヘルス対策を行う場合も、何から手を付けていいかが分からず、場当たり的な対応に終始してしまいがちです。

そこで災害発生を想定して、考えられるメンタルリスクを洗い出し、事前に対応策を検討しておきましょう。災害発生時に落ち着いて対処することができます。

災害時の対応は、個別の部署レベルで対応することは適切ではなく、全社で統括管理する方が時間の面でも、効率の面でも有効であると言われています。部署間で対応が重複したり、逆に対応に漏れが出てしまうからです。

本社レベルでリスクを一元的に把握し、適切に対応することで、結果として不測事態対応コストを低減することができます。

リスク人材を洗い出す

メンタル不調となるリスクの高い従業員群を事前に洗い出し、グループ化しておきます。災害時にストレスが高まる従業員は、どのようなタイプの者かという視点で洗い出します。

直接の被災者はもちろんのこと、復旧関連で普段とは異なる業務を担当する従業員、客先や取引先対応で普段以上の業務量となる従業員などは、メンタルリスクが高くなります。

震災や火災が、「仮にこの場所で起こった場合に影響を受ける拠点や部署・部門はどこであるか」という視点で、災害ごとにメンタルリスクが高まる拠点や部署・部門を特定し、グループ化しておくことも有効です。

たとえば大規模地震で名古屋工場が被災したと仮定した場合、同じ製品系列の製造拠点である大阪工場に生産を移転させる計画であれば、大阪工場の従業員の負荷が高まりストレスも増大します。

メンタルリスクが高くなる従業員グループ

具体的には次のような従業員のリスクが高まります。

■直接被災した従業員
最もメンタルリスクが気になる方です。「半年経っても要注意 被災従業員のメンタルケア」で詳しく解説しています。

■安否確認、組織管理、顧客対応などに追われる従業員
人事・総務部や経営企画部、広報、営業部の従業員などが該当します。普段の仕事とは異なる業務に従事することもあり、精神的な疲労を抱えます。

■復旧作業(事業継続・事業再開)に従事する従業員
工場の施設課のスタッフ、被災地の生産や業務を肩代わりする別拠点の従業員などが該当します。

■他社への応援要員
協力企業などの応援のために派遣される従業員も、慣れない業務、指揮命令者が異なるなどの理由でストレスを高めます。

■被災地へ派遣された従業員
被災地での衝撃的な経験や、不便な生活環境下でストレスが心配です。

■ボランテアで、被災地で活動している従業員
個人で活動しているボランテアも、被災地へ派遣された従業員と同様のストレス反応が懸念されます。

■代替拠点で就業を命じられた従業員
被災地の拠点の復旧が遅れる場合は、その拠点の従業員を他地域の拠点に異動させて雇用を維持しますが、本人は見知らぬ地域での就労でストレスを高めます。

次のページでは、忘れがちになるメンタルリスクが高い従業員について説明しています。
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