辺境の寄せ集め
 

ガイド:
三島さん、お久しぶりです。前作『弥生の水とオレンジの夜明け』についてインタヴュー記事を出したのが、2009年1月ですから、もうあれから2年以上経っていますね。如何お過ごしでしたか?

三島:
お久しぶりですね。再度掲載頂き嬉しいです。この間、お蔭様でバンドは順調に活動を続けていました。
新作アルバムのメンバーで30曲以上は録音しました。ライヴも月1回位のペースです。 ただ、録音の編集には時間がかかり、なかなか完成できませんね。やはり難しいです。

個人的には現代音楽を聴くようになりました。今年の5月は今年の武満徹賞の審査員サルバトーレ・シャリーノの来日が楽しみです。

ガイド:
三島さんからメールを頂いた時、「サイト時々拝見しております。あいかわらず先端的な内容ですね。」と書いて頂き、大変嬉しかったです。
多分、Blog「音楽世界旅行(元テクノポップ定点観測)」のことなのかと思っていたのですが、先端と言うか誰もついてきてくれない世界に入っているかもしれませんが(笑)。

三島:
面白いサイトですね。興味深く拝見しています。だんだん阿木譲さんの世界に近づいていると思います。ますますの深化に期待します。辺境の寄せ集めこそが世界なのだという事実が、白日の下に晒されて来た、という感じです。ホーキング博士の新著によれば、大宇宙自体が複数あるという話です。
まだまだこれから、なんでもできるということでしょう。楽しみです。

ガイド:
阿木譲さん……テクノポップの命名者とされる方ですが、僕は阿木さんがDJされていた「ファズ・ボックス・イン」をよく少年時代に聴いていました。
僕が紹介するものは、芸能的でおねえちゃんが歌う辺境ポップが多いですが(笑)……最近、世界の中心や大国(音楽的な意味で)からは興味深いものは減ってきて、“辺境”という言葉には憧れの気持ちで接しています。いまさらイスラエルも日本に居ながらも、辺境の香りがします。

不思議なタイトル
 

ガイド:
senkou

閃光、シュシュ・クスクス

さて、あいかわらず、いや、いまさら不思議なタイトルのアルバムですね。『閃光、シュシュ・クスクス』とはどのような想いを込めて付けられたのですか?

三島:
なんとなく印象の収集に堕した感は否めないですが、「言葉それ自体の閃光」を狙ったつもりです。あとは気配り、目配りですね。

ガイド:
fukomai

(左から)FukoちゃんとMaiちゃん

今回、新しいメンバーも加入して新生いまさらイスラエルになっていますね。Fukoちゃん、Maiちゃん、Natumiちゃん、Ikkuちゃん・・・最後の方は自信ないですが、三島さん以外は全て女性とか?

三島:
そうですね。全員女性メンバーです。今回もしなやかな感性を持った秀逸なメンバーが集まりました。ライヴも素晴らしいですよ。

ニューウェイヴの向こう
 

ガイド:
前回の弥生班は耽美派ニューウェイヴの文脈と形容させてもらいましたが、今回もその文脈は見え隠れしている気がします。同時に、ほとんどプログレみたいな音や曲の構造(「フルーツ・ドロップ」とか)があったりして、ニューウェイヴという形容では表現しきれない世界に入っていると思いましたが、どうでしょ う?

三島:
ご理解頂きうれしいですね。私もGary Numan、Joy Divisionの前は、Pink Floyd、ELP、などのプログレファンでした。今回の録音にはなぜか本物のギブソンレスポールを導入し、Jimmy PageやRobert Frippを意識してみました。さっぱり弾けなかったというのが、正直な感想です。あたりまえだなという気もしますが。

ゴッホに捧げる
 

ガイド:
「ひまわり(ヴァン・ゴッホに捧げる)」という曲がありますね。三島さんはゴッホが好きなのですか? 僕はそれほど絵画に精通しているわけではないのですが、アムステルダムのゴッホ美術館に行って、ゴッホを堪能した覚えがあります。

三島:
ゴッホに限らず、美術には興味があります。ゴッホも「ひまわり」や「アルルの跳ね橋」「夜のカフェ」など素晴らしいですね。確か本国では名前は「ホッホ」が近い発音だとか。マジカルというか、業が深い感じですね。やはり、自分の耳を切り取るような痛みを持った人には敵わないでしょうね。耳がなくても、音は聞こえると思います。さすがだというしかないですね。

色と音が混じる世界
 

ガイド:
「カスピ海のブラスバンド」は、宇宙的なテルミン音で始まり、ディストーションが効いたギター音と混じり、タイトルと同じく摩訶不思議な曲になっているところが好きです。

三島:
ありがとうございます。自信曲の1つです。色と音の混ざる共感覚の世界を目指しました。「水の中の跳ね橋」です。PVの制作を検討中です。

マルセル・ブルーストに捧げる
 

ガイド:
捧げるシリーズとして「ソドムとゴモラ」は、マルセル・ブルーストに捧げられていますが、マルセルについてはどのような想いを?

三島:
マルセル・プルーストも素晴らしいですね。特に「スワンの恋」ですね。「嫉妬心の研究家」というべきでしょう。長く続いたヨーロッパ中心の世界の思い出と言うべきでしょうね。マルセル・プルーストについては2001年に『スワンの名前と場所』というアルバムも制作しているのですが、まだ完成していません。もはや、『失われた時を求めて』ですね。小説も長いです。

プロコル・ハルムへのオマージュ

ガイド:
最後の「白い影」……タイトルからもしやと思ったのですが、これはProcol Harumへのオマージュですよね。

三島:
そうです。お気づき頂けてうれしいです。荒井由美さんもなぞってましたよね。Summer of Love のAnthemですね。歌詞も素晴らしいです。

記念歌詞集
 

ガイド:
今年9月でいまさらイスラエル、結成30年と聞き、驚きました。確かに80年代の札幌ニューウェイヴとかの話しをしていた訳で、そのくらいになっていますよね。記念歌詞集の刊行を予定されているようで、よろしければどんな構想か教えてください。

三島:
だいぶ以前も歌詞集は作っていました。10年前にも発行の予定だったのですが、なんとなく10年も経ってしまいました。今は出版も環境が変わり、PCで編集できるので、ビジュアルとタイポグラフィーに工夫を凝らし、"Un coup de des"越えを目指します。
秋には30年記念イベントを実現すべく計画中です。 最近偶然に再会した、「タピエス・ビューティフル」のボーカリスト米田さんにもご参加頂ける様、交渉中です。

今回も貴サイトにて取り上げて頂きありがとうございます。現在アルバムはライヴ会場での物販と通販しか流通がありません。ご興味をお持ちの方は、アルバム宣伝用のページをご覧頂けるとうれしいです。試聴と通販の案内があります。よろしくお願い致します。
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