ストレス/仕事・職場のストレス(パワハラ・セクハラ等)

五月病を予防するゴールデンウィークの過ごし方

楽しいゴールデンウィーク明けにやってくる五月病の季節。多くの人に関わるシーズンですが、この春に入社したばかりの新入社員の方や、新しく入学した学生さんは注意が必要です。連休明けの日常がつらくなって不適応を起こしてしまわないための、連休中のちょっとした心構えをご紹介しましょう。「新人さん」でない方も、ぜひご覧ください。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

ゴールデンウィーク明けの「五月病」を防ぐために 

うつむくサラリーマン

ゴールデンウィークで差が出る「五月病」のリスク

いよいよゴールデンウィーク突入! 心地よい初夏の陽気に誘われて、海へ山へ海外へと飛び出す方も多いことでしょう。

しかし、楽しい連休明けに始まるのが、毎年恒例の五月病の季節……。特にこの4月に入学、入社したばかりの「新人さん」にとって、ゴールデンウィークは注意が必要な時期なのです。連休の過ごし方によっては、休み明けの学業、仕事が非常につらくなり、そのまま「五月病」になってしまうことも……。

「五月病」とは正式な病名ではありませんが、5月頃に抑うつや無気力、不眠や疲労感などの症状を感じること。4月には張り切って学校や会社に通っていたのに、なぜか連休明けには暗く落ち込んで、やる気が出ない……。そんな症状が見られるなら、「五月病」の可能性があるかもしれません。

五月病予防の基本は「連休明けショック」を防ぐこと 

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刺激の多すぎるゴールデンウィーク計画を立てていませんか?

緊張と興奮のなかで4月を駆け抜け、やっと状況がつかみ始めた頃に始まるゴールデンウィーク。慣れ始める頃に休みを与えられるため、調子が狂ってしまうのも無理はありません。

しかしため息をついても、休日を変えられるわけはありません。休み明けに調子を狂わせないよう、ゴールデンウィークの過ごし方を少し工夫する必要がありそうです。

ゴールデンウィークは、過ごし方によっては五月病のリスクを高めることがあります。この期間を享楽的に過ごしすぎたり、逆に適度な休養、気分転換、新生活の振り返り等を取り入れずに過ごすと、五月病のリスクが高まることを、まずは覚えておきましょう。休み明けは順調に日常復帰していきたいもの。そのためには、ゴールデンウィークの過ごし方が「要」なのです。

ゴールデンウィークは「頑張った4月」を癒す期間 

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興奮のままにゴールデンウィークの休養を忘れていませんか?

特に「新人さん」は新しい環境に戸惑い、関わる人たちの性格もつかめず、混沌とした中で毎日を過ごしてしまうもの。つまり、毎日通っているだけでも、たくさん無理をしているはずなのです。

一つ覚えておいていただきたいのが、「自分のストレス状態は、自分では自覚しにくい」ということ。だからこそ、ゴールデンウィークは「頑張った4月」を振り返り、たまったストレスを癒すために適した期間だといえるでしょう。

この時期に新人さんが感じるやる気は、環境の変化による「一時的な興奮」なのかもしれません。興奮に任せて無理を続けると、いずれは疲弊して脱力に向かってしまいます。そこで、ゴールデンウィークを利用して、4月の興奮をいったんリセットさせ、初期のストレスを解消させることが大切。具体的な過ごし方のヒントを、3つお伝えしたいと思います。

1. 思いきり話す時間を持ち、「4月の自分」を振り返る
興奮続きの4月が終わり、心の中に多少なりとも「モヤモヤ」や「わだかまり」が生じているのではないでしょうか。たとえば、「思い描いていた学校(会社)と違うようだ」「受験(就活)をあれほど頑張って入ったのに、こんなものだったのかな」というように。そうした思いが募ってくると、嫌悪感が募って何もかも投げ出したくなってしまうものです。

ゴールデンウィークには、そんな「モヤモヤ」や「わだかまり」と向き合い、色々な人と語り合う時間を持つといいでしょう。同級生と集まり、それぞれの学校や会社の様子を語り合いながら、一緒に考えてみる。先輩に会って、入社時の思いや体験について聞いてみる。入社の報告がてら恩師の家や研究室を訪ね、気持ちを打ち明けてみる。

口に出してみることで、不安や不快を感じている要点が分かってきます。「モヤモヤ」や「わだかまり」は、その要点をピンポイントで把握できれば、いたずらに学校生活(会社生活)への嫌悪感を募らせずにすみます。

2. 「プチ転地療法」は連休の中日に
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4月の疲れを癒せる転地療法を

4月の興奮に任せて、連休中も勉強続き、仕事続きで終わってしまうと、いずれ疲れが出てしまいます。1~2日でいいので、新生活を別の角度から眺めるための「転地療法」を取り入れてみたいもの。

疲れを癒せる場所がいちばんです。実家に帰っておふくろ料理を食べ、懐かしい場所をめぐりながら新生活を振り返る。山間の温泉地で、のんびり露天風呂につかりながら無心になる。山や海に行き、日がな一日散歩をしながらボ~っとする。

ダレがちな連休の中日頃にこうした時間を持つことで、よい気分転換ができます。また、(1)でふれた「モヤモヤ」や「わだかまり」など、気づかなかった思いを振り返ることができるでしょう。

3. 5月からが新生活の本番! 身の回りの整理を
4月からの新生活に合わせて、とりいそぎの環境は整えたものの、実際に始まってみると、用意した物の使い勝手が悪かったり、いらない物、足りない物がたくさん出てくる時期ではないでしょうか?

新生活スタートの4月は、実質的にはその「準備月間」、「ならし月間」のようなものなのです。実質的な新生活のスタートは、5月から。そこで、4月を振り返っていらないものを処分し、改めて必要となる物の準備をしておくといいでしょう。

身の回りが整えば、ゴチャゴチャした頭の中もすっきりしてくるはずです。

連休明けの生活に「不適応」を起こさないために

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5月からが本格的な新生活スタート!

入学、就職という新生活がもたらすストレスは、本人にとっては相当の圧力になっています。

しかし、お伝えしているように、ストレスは自分では自覚しにくいもの。ゴールデンウィーク明けに気持ち新たに「本格的なスタート」を切るためにも、連休の過ごし方はとても重要です。

旅行三昧、ショッピング三昧、連日の飲み歩きで興奮する、昼夜逆転した生活の自堕落な毎日で終わる、この期間に差をつけようと、勉強や仕事に猛烈に取り組む……こうした毎日では、自分自身を振り返る時間もなく、「4月のストレス」も蓄積されたままでしょう。

連休明けに「不適応」を起こさないよう、自分自身をいたわり、応援するような休日を過ごされることを、お勧めしたいと思います。
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