2011年3月11日、マグニチュード9.0という世界最大級の地震となった、東日本大震災。災害発生後まず第一に優先されるべきは直接的な生命の救済であり、安全の確保であることは論を待ちません。その後、復興に向けて歩みを進めていくとき、どうしても避けられないのが法律的な問題です。今後どのようなことが問題となるのか、どのように対処していくのか、今回は震災と法律という視点から全般的に触れていきたいと思います。まずは、不動産にまつわる問題についてです。

Q.隣地との関係はどうなる?

復興に向けての一歩を進めるために、法律を賢く利用しよう

復興に向けての一歩を進めるために、法律を賢く利用しよう

隣家が今にも倒壊しそうで危険な場合や、隣家の倒壊等により損害を被った場合、建物が流されてしまった等の理由で土地の境界すら分からなくなってしまう場合などに、どのように対処すべきかといった問題が起こってきます。

裁判所に対して所有権に基づいて危険を予防する措置を求める、土地に立っている建物などの工作物によって発生した損害を賠償するように求める、境界について決めてもらうといった解決方法をとっていくことになるでしょう。裁判所を通していたのでは間に合わない緊急の場合には、市町村長に災害の拡大防止のための必要な応急措置が認められている場合(災害対策基本法)があるので、市町村長に申し出るという方法も考えられます。


Q.損害保険でどんな補償が受けられる?

原則として地震保険の契約をしている場合でなければ、地震による被害の補償は受けることができません。地震保険とは「地震もしくは噴火またはこれらによる津波」を「直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没または流失による損害を補償するもの」(地震保険法2条2項2号)をいい、居住用建物または生活用動産(家財道具です)が、全損・半損・一部損になった場合に保険金が支払われるものです。地震保険はそれ単独では契約できず、必ず火災保険とセットで契約する必要があります。

今回の震災では津波の被害の後、さらに火災が発生している様子も報道されていました。被害の原因が火災である場合でも、地震による火災や地震による火災が延焼した場合には火災保険だけでは補償がされないので注意が必要です。

Q.住宅ローンの支払いはどうなる?

住宅ローンを支払っている途中で、対象の家屋が倒壊してしまったり、火災で焼失したり、津波で流されてしまった場合でも、そのローンの支払い義務がなくなるわけではありません。法的に住宅ローンの金利が免除されたり、支払いが猶予されるような制度は今のところありませんが、未曾有の災害ゆえに金融機関が何らかの対策を講じる可能性はありますから、まずは金融機関に相談する必要があります。

地震による収入の減少により金利を免除されても支払えない場合も考えられます。どうしても支払えない場合には、自己破産などの手続を通じて、再起を図ることが考えられます。自己破産というと重いイメージを持っている方も多いと思いますが、誤解に基づくことも多いので、まずは弁護士等法律専門家に相談を。

Q.借地や借家はどうなる?

借地上の建物が地震の被害でなくなってしまい、再築前に土地の持ち主が別の人にその土地を売ってしまった後にどうなるかという問題や、再築の制限がされている場合の扱いなどが問題になりえます。適用される法律が複雑な場合がありますので、弁護士等法律の専門家にご相談ください。

借家に関する問題としては、被災によって借家自体が利用できていない場合、例えば、家自体が損壊してしまった場合や、避難指示が出ていて家に戻れない場合に、家賃を払わなければならないのか、という問題や、借家が壊れてしまった場合に、貸主に修繕を求められるのかといった問題も起こってきます。

建物を使うことが客観的に不可能である場合には賃料の支払い義務は生じません。貸主は建物を借主に使わせる義務がありますから、借主は建物を使うために必要な修繕を求めることができます(修繕不可能な状態になってしまった場合には扱いは異なります)。

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