ニノ国はどうなって、ダンボール戦機はどうなる?

グラフの図

ニノ国は結局売れたのか、そしてダンボール戦機に影響はあるのでしょうか。

レベルファイブと、アニメ制作会社のスタジオジブリがコラボレーションして話題を呼んだニンテンドーDS用タイトル、二ノ国 漆黒の魔導士(以下ニノ国)。2010年12月9日に発売され初週約17万本を売り上げるも、その時点で出荷が約60万本。供給過多による値崩れが懸念されているという記事を、以前ゲーム業界ニュースで取り上げました。

【関連ページ】
何故ニノ国は値崩れしそうなのか(AllAboutゲーム業界ニュース)

その記事では最後、レベルファイブは長期にかかる販促をしっかりとやっていく実績があり、今後じっくり売り上げを伸ばしてく可能性があるということ、それから、レベルファイブからPSP用タイトルとして発売されるダンボール戦機にも、ニノ国の値崩れで損をしたお店が入荷を渋る可能性があるので、影響するかもしれないということをお話して終わりました。

あれから数ヶ月が経ちまして、大分状況が見えてきた頃合となりました。というわけで、その後ニノ国はどうなったのか、ダンボール戦機はどうなるのかについて、今回も流通の視点を中心にお話してみたいと思います。

結局50万本の大ヒットとなったニノ国

ニノ国を遊ぶ男の子の図

ニノ国はRPGで、マジックマスターという付属の本を使いながら攻略していきます。

ニノ国はというと、その後本当にレベルファイブは時間をかけたプロモーションを続けていきました。結果、累計販売本数はなんと約50万本。新作タイトルが50万本の売り上げというと、これはもう大ヒットの部類に入ります。

初回出荷が60万本ということですから、まだ流通在庫はかなり残っていると思われます。ですが、ファミリー層をターゲットにしていることもあり、今後もゆっくりとではありますが長期に渡って販売が見込まれるソフトですから、概ね、時間をかけて消化していく流れになっているようです。

価格の方はお店によってもかなり違いがありますが、安いところで3,000円を切るぐらいで売られて、それ以下にはなかなか下がらないという感じだったでしょうか。ちなみに、2011年3月25日現在でのネット通販大手Amazonにおける新品価格が、希望小売価格6,800円のほぼ半額で3,369円でした。ポイントは、わりと早い段階で3,000円台まで価格を下げたお店が出現し、それに引っ張られる形で累計販売本数の多くを値下げした形で売ったことです。ここの所は、次のタイトル、つまりダンボール戦機のことを考える上で重要になります。

それでは、このニノ国の状況を受けて、ダンボール戦機がどうなりそうなのか、お話してみたいと思います。

ダンボール戦機の不安

マジックマスターの図

マジックマスターは、実物を見ると、ちょっとビックリするぐらい大きくて立派な装丁の本なんです。

50万本売って大ヒットとなったニノ国ですが、ゲームのお店から見るとそれほど素晴らしい状況ではありませんでした。1つは、損をしながら売ったということ。定価に近い価格で50万本売れれば利益もでますが、2,000円も3,000円も価格が下がるとむしろ損がでてしまいます。

もう1つは、すごくパッケージが大きくて保管が大変だったであろうこと。ニノ国にはマジックマスターという本がついているため、パッケージが非常に大きいんですね。例えば、ニンテンドーDSiのパッケージよりは全然大きい。ニンテンドーDSiLLと同じくらいのパッケージです。これをお店によって数は全然違いますが、例えば数十本とか、数百本とか仕入れるわけですから、当然バックヤードを圧迫します。

お店からすると、ダンボール戦機で同じ状況にはなりたくない、と考えます。仕入れ過ぎてまた損をしながら売りたくないのは当然ですし、パッケージについても、ダンボール戦機には今度はプラモデルが同梱されるため、また倉庫を圧迫します。どうしてもニノ国は大変だったなあという印象がぬぐえません。

延期の影響で変わる風向き

ダンボール戦機の図

ダンボール戦機は全てのソフトに、プラモデルが同梱されます。

……というのが、実は、ダンボール戦機の発売日が延期される前までの印象でした。ダンボール戦機は発売日の延期をしているんですね。元々は2011年3月17日だったのが、2011年5月26日に延期しています。普通は延期と言うとネガティブな印象です。実際、楽しみにされていたユーザーのみなさんは、ガッカリされたのではないかと思います。

しかし、ダンボール戦機の場合はむしろ良かったかもしれません。ちょっとややこしいんですが、これにはゲームの仕入れをお店が考える受発注のタイミングと、そしてレベルファイブがしかけるメディアミックス戦略のタイミングとが関係していきます。

2011年3月発売のゲームということは、2011年1月頭ぐらいにレベルファイブがゲーム関連流通にお披露目をして受注を取り始めるんですね。その時点では、まだニノ国の値崩れのショックも鮮明で、先ほどお話していたような感じでかなり警戒されていた印象があります。

それともう1つ、ダンボール戦機の販売促進の肝になるメディアミックス戦略について、発表はされているものの、それがどうやって盛り上がっていくのかはっきりと実感できない状況です。

それらが、2か月ゴソッと動いたことで、印象が大きく変わります。

完璧なメディアミックス戦略

ダンボール戦機の図

マンガ、アニメ、プラモ、カード、ゲーム、子供の欲しいもの大集合という感じです。

ダンボール戦機のメディアミックス戦略について、整理してお話してみたいと思います。これがちょっとすごいんです。

まず、2011年1月発売のコロコロコミックでマンガの連載を開始、続いて2月26日にバンダイからプラモデルが発売されました。そして3月2日からテレビ東京で毎週水曜日にテレビアニメがスタート。このテレビアニメ内ではCMが流れまして、毎回アニメの進行にあわせたゲーム画面を使って新しいCMが流れます。これ、すごく上手に男の子の気持ちを刺激します。さらにさらに、4月22日にはバンダイからカードゲームが発売予定です。そして、5月26日にいよいよ、PSP用ソフトのダンボール戦機がレベルファイブから発売という形です。

なんと申しますか、子供達の心をワシ掴みにする気満々といった雰囲気に溢れています。この流れの中、先ほどお話していた流通向けのお披露目と受注開始が1月だったのが、仕切り直しで2カ月ずれて3月頭にもう一度ということになるんですね。というと、なんだかすごくいい頃合だと思いませんか? ニノ国の在庫も大分消化できて、メディアミックスが続々始まって、テレビCMなんかも紹介できて、さあ、これから盛り上がっていってゲームが発売しますから仕入れておいてくださいね、という絶好のタイミング。

元々は、ゲームが発売されてからメディアミックス戦略が盛り上がる予定だったのが、延期されたことで盛り上がったところにゲームが発売されるというシナリオに変わったんですね。

今度こそみんなでいい結果を

PSPの図

モンスターハンターポータブル3rdが発売されて、PSPのハードもかなり売れましたから、その勢いにのって盛り上げていって欲しいですね。(イラスト 橋本モチチ)

ダンボール戦機のターゲットユーザーは主に小中学生だと思われます。モンスターハンターポータブルシリーズで中高生に人気と言われるPSPですが、徐々にユーザー層には低年齢化の傾向も見られ、その受け皿を狙う格好です。

ということを考えると、いくらテレビアニメなどで盛り上がったとしても、やっぱり最初は期待よりも緩やかにスタートする可能性もあります。発売と同時にすぐ買うのは、ある程度お金が自由になる大人のユーザーが多いですからね。

ここまでの大掛かりなメディアミックス戦略もあり、大変にいい風が吹いています。今度こそ、じっくり丁寧に売って、市場を盛り上げ、みんなが納得する結果がでることを期待するばかりです。

【関連ページ】
何故ニノ国は値崩れしそうなのか(AllAboutゲーム業界ニュース)
テクモ営業さんに聞く新規作販売の苦労話(AllAboutゲーム業界ニュース)
売れないゲームが売れない構造(AllAboutゲーム業界ニュース)

【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。