地図を用意、
総合病院、公共施設は最低チェック

最初に東北関東大震災で被災された方には一日も早い支援の手が伸べられることを、亡くなられた方、そのご家族には心から哀悼の意を述べさせていただきます。また、この不幸をしっかり受け止め、今後の日本の復興にほんのわずかでも努力することを誓いたいと思います。

取材時の写真

歩きながら培ったノウハウがお役に立つことと思いつつ、その日が来ないことを祈ります

さて、地震発生時、首都圏では多くの帰宅難民が発生しました。その時、思ったのは、私の街歩きのノウハウが僭越ながら、多少なりともお役に立つのではないかということです。私は街取材時、1日10キロ、20キロは普通に歩きます。7~8時間歩き続ける日もあり、そのためにはそれなりの準備、服装、歩き方をします。




準備ですが、必ず用意するのは地図です。記事を書くために必要だからというのはもちろん、私は腎臓に難病を抱えており、20代後半から複数の薬を飲み続けています。そのため、取材や打ち合わせなどで外に出る時には常にトイレのありかが気になるのです。そこで地図では取材で歩くルートを考えつつ、トイレを借りられる総合病院や公共施設、大きなスーパー、コンビニなどの位置を確認します。災害時の帰宅でもトイレ、情報を得るためにはこうした施設の有無、位置をおぼろげながらでも知っていることは役に立つと思います。

トイレに関しては私の人生訓でもある「トイレあるところでトイレに行け」が大事だろうと思います。特に女性は安全の問題もありますから、確実に人目のある場所で大丈夫と思っても念のために行っておきたいもの。健康面からもトイレは早め、早めです。

取材時にはあえて細い路地や災害面で危険そうな場所などにも行くようにしているため、地図ではそうした場所がないかもチェックします。災害時にはそうした場所には近づかないことが危険回避につながりますが、これに関しては地図に慣れておくことが大事。あんまり馴染みがないという人なら、国土地理院のキッズページが参考になります。

また、自宅周辺の地図だけでなく、最寄駅、都心などと自宅の位置関係、方角なども見ておきましょう。自宅への複数ルートを知っていれば、どこかが通れなくなっても他のルートを利用して帰宅できる場合もあります。特に帰路上に橋などがある場合は迂回路は考えておく必要があると思います。

歩きやすい服装はもちろん、
両手はできるだけあけておく

歩く時は歩きやすい靴、動きやすい服装を心がけるのはもちろん、斜め掛けのバッグを使い、両手はあけるようにもしています。これは撮影で傾斜地や階段などの上り下りする時に荷物を気にせず、手を使えるようにするためですが、災害時にも同じことが言えるだろうと思います。

持病のある人なら、荷物の中にいつも飲む薬を入れておくことも大事。私は一時、服用していた薬の副作用で皮膚が裂けやすくなったことがあり、その時期には化膿を防ぐ軟膏、バンドエイド大中小はバッグの必需品でした。また、当たり前ですが、ハンカチ、ティッシュもお忘れなく。私は人前で使う見栄えの良いものと、実用性の高いタオル、手拭類の2種類を持ち歩くようにしています。


歩き始める時には水を調達、
上を見る、ストレッチすることも大事

手に入らないような事態なら仕方ありませんが、歩き始める時にはできるだけ水を調達すること。冬場はさほど感じませんが、暑い時期に水無しで歩き続けるのは危険です。のどが渇いたと思ってからでは遅いので、気がついたら少しずつでも飲むようにしたいものです。また、可能なら飴やチョコレートなども同時に入手しておきたいところです。

歩く時には前だけを見るのではなく、上下左右にも目を配ってください。特に市街地では意外にモノの落下、放置された自転車や自動販売機の倒壊などがありますし、住宅街ではブロック塀や門柱などが危険です。もうひとつ、夜間歩く場合には車にも注意。歩道がある道なら多少は安心ですが、今回は渋滞を避けようと住宅街の細い道を猛スピードで走る車を何台となく見かけました。いつもは交通量の少ない道でも油断は禁物です。

長時間歩いている時には、途中で時々ストレッチもします。といっても、座り込んでしまうと、後が続かなくなるので、私の場合、膝の屈伸、アキレス腱を伸ばす、膝や肩、首を回すなど。これについては他の専門家の方のサイトなどでご覧ください。また、まめができた場合は、一度止まって歩き出す時が一番痛むので、超スロースピードでも良いので歩き続けるほうが痛みは少ない気がします。

最後にもうひとつ、無理して帰宅しないことも大事です。千代田区など全域が地区内残留地区(エリア内に耐火建築物が多く、退避しなくても良いとされる地区)にている場合などは、安全な場所にとどまっているほうが賢明でしょう。また、自分で書いていながら矛盾しますが、このノウハウが実際に使われずに済むことも祈りたいと思います。

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