シュテーデル美術館は、フランクフルトにあるドイツ国内でも屈指の美術。19世紀初頭にフランクフルトの商人であり、銀行家であったヨハン・フリードリヒ・シュテーデルによって設立されました。

現在、およそ2,700点の絵画、600点の彫刻、100,000点の素描を所蔵しており、ルネサンス期から現代美術にいたるまで、14~21世紀の約700年にわたる西洋美術史を概観することができます。なかでも、オランダ・フランドル絵画のコレクションは質の高い作品が揃っています。

今回の展覧会では展覧会は歴史画と寓意画、肖像画、風俗画・室内画、風景画、静物画という分類で構成されており、ルーベンス、レンブラント、フランス・ハルスの三巨匠、そしてフェルメールを含めた95点の絵画作品が展示されます。一部、見所を紹介しましょう。

巨匠が巨匠と言われる所以

竪琴を弾くダヴィデ王

ペーテル・パウル・ルーベンス、ヤン・ブックホルスト  《竪琴を弾くダヴィデ王》 1616年頃-40年代後半 油彩・板 シュテーデル美術館所蔵

ルーベンスといえば、『フランダースの犬』でピンと来る方も少なくないかもしれませんね。主人公のネロが見たがっていた絵画は、ルーベンスの作品。ネロが祈りを捧げていたアントウェルペン大聖堂のマリアは、ルーベンスの作品『聖母被昇天』です。

今回の展覧会の『竪琴を弾くダヴィデ王』は、頭から肩にかけてがルーベンス。それ以外の部分をブックホルストが描いています。当時、画家は副業を持っていることが多かったのです。ルーベンスの場合は外交官。忙しい時間をやりくりして、注文者の依頼に応えるための手段でした。

bunkamuraザ・ミュージアムに足を運んで実物を見てみれば、ルーベンスとブックホルストの技術の差に気付くことでしょう。巨匠と呼ばれるには、理由があるのです。