オーデマ ピゲは二人の時計師に始まる

オーデマ・ピケ

ミニッツリピーターとパーペチュアルカレンダーを組み合わせた初期の代表的な複雑時計。1882年製

スイスの時計メーカーには、二人の人物の姓を組み合わせて社名やブランド名にした例がいくつか見られるが、オーデマ ピゲも代表的な一つ。1875年、ジュラ山脈のジュウ渓谷で古くから時計に携わっていた名門一家の出身の時計師ジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲが互いに協力関係を結んで誕生したのが、このオーデマ ピゲである。
オーデマ・ピゲ

左/創業者ジュール=ルイ・オーデマ 右/創業者エドワール=オーギュストピゲ

二人の目標は、最高の複雑時計を作ることにあった。初期の懐中時計用ムーブメントは、そのほとんどに少なくとも一つは複雑機能が備わっていた。とりわけ高度な複雑時計技術を要するミニッツリピーター機構に至っては3分の1の製品に搭載されていたという。より複雑なクロノグラフ機構のスプリットセコンド・クロノグラフを搭載するモデルも多い。ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダー、クロノグラフなどを組み合わせた1882年や1892年発表の超複雑時計は、オーデマ ピゲの技術力を象徴する傑作だった。

20世紀になり、腕時計の時代に入ってからも、複雑時計のスペシャリストというオーデマ ピゲの伝統は一貫して受け継がれ、腕時計サイズに小型化された革新的なムーブメントを用いた1892年製の有名なミニッツリピーターをはじめ、ムーンフェイズ付きフルカレンダー、ジャンピングアワー、クロノグラフなどを多数製作して、高度な技術にさらに磨きをかけた。


次のページでは衝撃の代表モデルを紹介します。

「ロイヤル オーク」の衝撃

オーデマ・ピゲ

1972年に初めて発表された、ステンレススティール製高級スポーツウォッチの傑作「ロイヤル オーク」

戦後は、それまでの複雑時計に代わってエレガントな薄型時計がオーデマ ピゲの主流になる。1946年には世界で最も薄い腕時計用手巻きムーブメントをいち早く開発して、50年代や60年代のドレスウォッチ全盛時代をリードした。

1972年には「高級時計の常識を覆す」と騒がれた世界初のステンレススティール製の高級スポーツウォッチ「ロイヤル オーク」が発表される。高級時計とは、あくまでも貴金属を使ったドレスウォッチという既成概念や価値観を、まさにそうした高級時計を作り続けてきたオーデマ ピゲ自身が打破したからである。船の舷窓をモチーフにしたベゼルや、ケースと一体化したブレスレットも当時としてはきわめて斬新かつ大胆なデザインだった。それは、ライフスタイルをエンジョイする人々のための「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」という現代の先端的なコンセプトを先取りするものだった。

現在のオーデマ ピゲは、複雑機能やハイテク素材を取り入れてますます進化する「ロイヤル オーク」をはじめ、創業者の名を冠した丸形ケースの「ジュール・オーデマ」や角形ケースの「エドワール・ピゲ」、斬新なオーバルケースが印象的な「ミレネリー」を中心にしながら、21世紀の革新的な超絶コンプリケ-ションの開発にも積極的に取り組み、名門の貫禄を余すところなく伝えている。


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