ストレス/ストレスフリーの思考術

絶望の底から視点を変えるための「2つの質問」

3月は自殺対策強化月間です。「もうダメだ……」――絶望の底に沈み、自分への無価値観にとらわれるとき、一度自分自身に「2つの質問」を投げかけてみてください。今まで強く信じてきた思いを、別の視点から捉えなおすことができるかもしれません。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「もうダメだ……」「これ以上何をやっても無駄だ」と思う瞬間 

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絶望に沈んだときには「2つの質問」を自分に投げかけて

3月は年間で一番自殺者数が多い月であり、政府による「自殺対策強化月間」でもあります。日本国内で、困難な問題を抱えて精神的に追い詰められ、自殺を選択する人は毎年3万人もいるのです。

今回は、自殺へと意識が向かいそうな方に、「2つの質問」をさせていただきたいと思います。

学業、就職、人間関係、結婚、育児、介護、老後……人生のあらゆる局面で、つまずき、傷つき、壁にぶちあたる瞬間は、誰にでも起こりうることです。

そんなときには、とことん悩み考えることが自分との対話になり、一歩成長していくための大切なステップになると思います。しかし、悩むほどに希望を見失い、絶望の底へと沈んでいくような場合には、少し視点を変えて自分自身や問題を捉え直してみることも、また一つの大切なステップでもあると思います。

「もうダメだ……」と思ったときに、たとえばこんな2つの質問を投げかけられたなら、あなたはどう答えますか?

「何があったから、ここまでやってこれたのでしょう?」
「その問題は、本当にあなたのせいなのでしょうか?」


「何があったから、ここまでやってこれたのでしょう?」 

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あなたは困難を生き抜いているサバイバー

ちょっと重いお話しをしますが、「もうダメだ……」と思ったあなたなら、「人生の幕を下ろしてしまおう」と思った瞬間は、きっと過去にもあったのではないでしょうか?

でもその幕を下ろさず、今こうしてここにいます。あのとき踏みとどまったのはなぜでしょうか? なにが最後の一線を超えることを、思いとどまらせてくれているのでしょうか?

ある人は、子どもの寝顔を見ながら「頑張ろう」と思ったのかもしれません。かわいいペットを残していくのは忍びなくて、頑張ってきたのかもしれません。一線を超える勇気を持てなかったという人もいるでしょうし、後のことが気がかりでその気になれなかった、という人もいるでしょう。

あなたを頼りに思う存在があること、一線を超えられないほど人生に執着があること、そして思いとどまる冷静さを持っていること――「もうダメだ……」という思いながらもとどまっていることこそ、あなたがこれからの人生の地図を自分で書いていく力を持っているからではないでしょうか?

困難な状況にありながらも、生き抜いている人のことを「サバイバー」と言います。人生の幕を下ろそうと思うほどの強い困難を抱えるなかで生きているなら、困難を切り抜ける強い力を持ったサバイバーだという証拠です。

今を生きている自分の強さに意識を向けてみましょう。そして、自分を必要としている事柄を思い浮かべてください。それは、家族や友だち、または愛するペットかもしれません。やり残してきか、またはまだ完成されていない、さまざまなチャレンジなのかもしれません。

それらを持っている自分の力、サバイバーとして生き抜いてきた力を信じてみてください。

そして、次のページでは2つ目の質問です。
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