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氷に覆われた真っ白な絶景! 網走・流氷観光砕氷船で流氷のまっただ中へ!/北海道

遠くシベリア大陸の沖合から風に乗って流れてくる流氷が創り出す世界は、まさに地球規模のスケールの自然現象。そんな壮大な自然現象を国内で唯一見られるのが北海道・オホーツク海沿岸です。今回は網走での流氷観光をご紹介します。流氷のまっただ中に行く体験は忘れられない思い出になるでしょう。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

広い大地に白銀の世界がどこまでも広がる冬の北海道。その北海道の東側に面するオホーツク海沿岸は、国内で唯一流氷が見られる場所です。遠くシベリア大陸の沖合から風に乗って流れてくる流氷が創り出す世界は、まさに地球規模のスケールの自然現象。冬限定の貴重な絶景でもあります。

今回は流氷を楽しめるオホーツク海沿岸の中から、網走(あばしり)での流氷観光をご紹介します。流氷のまっただ中に行くことができる砕氷船での体験は忘れられない思い出を作るのにぴったりですよ。
流氷帯に挑む流氷観光砕氷船「おーろら」(1)

流氷の中を突き進む流氷観光砕氷船「おーろら」(2004年2月8日撮影)

<目次>

南極観測船の技術で流氷の中へ行こう!

流氷帯に挑む流氷観光砕氷船「おーろら」(2)

流氷の中を突き進む流氷観光砕氷船「おーろら」(2004年2月8日撮影)

網走Googleマップ)は、オホーツク海沿岸の街の中で一番規模の大きな街。札幌から直通の特急列車も走っており、釧路と並ぶ道東地方の観光拠点の一つです。

その網走に、シベリアからの流氷がやってくるのは例年だと1月下旬の頃。季節風の吹き具合などにも左右されますが、2週間弱で海全体が流氷に覆われます。オホーツク海を見渡せるところであれば、陸上から流氷のある風景を見ることが十分に可能です。

でも、流氷観光は陸上だけではありません。海上で流氷を楽しむとっておきの方法があるのです!
流氷観光砕氷船「おーろら」

流氷観光砕氷船「おーろら」(2023年2月25日撮影)

その方法とは、網走流氷観光砕氷船「おーろら」。この船に乗ると、網走港沖のオホーツク海の流氷を至近距離で見ることができます。流氷が海を覆ってしまうと普通の船は航行できなくなりますが、「おーろら」は砕氷船という名前のとおり、流氷の中に入って行き、自分の船の重さで進路にある氷を割りながら進みます。

実はこの仕組み、南極探検に使われる南極観測船「しらせ」が凍った海を進むのと同じ方法。流氷観光にプラスして貴重な体験を国内で味わうことができるんですね。
 

氷に覆われた真っ白な世界へ

道の駅 流氷街道網走

流氷観光砕氷船「おーろら」の乗船場がある道の駅 流氷街道網走(2023年2月25日撮影)

それでは流氷観光砕氷船「おーろら」に乗って、流氷観光に出かけましょう。

流氷観光砕氷船の乗り場は、網走川の河口近くにある道の駅 流氷街道網走Googleマップ)。道の駅の建物の中にある乗船窓口で受付を済ませてから乗り込みます。
流氷観光砕氷船「おーろら2」

満員の観光客を乗せて、流氷へ向かう流氷観光砕氷船「おーろら2」(2017年2月25日撮影)

流氷観光砕氷船は、「おーろら」と「おーろら2」の2隻による運航。1階と2階の暖かい客室の船内から外を見るも良し、サイドデッキや一番上の展望デッキに出て海の上の雰囲気も体感するのも良いでしょう。

ただしデッキに出る場合は、厳寒の北海道の海上で吹きさらしの風に見舞われますので、顔や耳も含めて防寒対策は厳重に。
流氷帯の中に突入(1)

「おーろら」に乗って流氷帯の中に突入します!(2023年2月25日撮影)

「おーろら」は流氷帯まで航行した後、砕氷船の本領を発揮して船体を流氷に乗り上げながら、流氷帯の中へ切り込んでいきます。
流氷帯の中に突入(2)

流氷帯の中に突入しました!(2023年2月25日撮影)

氷に乗り上げて割る際に上下の動きはありますが、ゆっくりとしたもの。割れたばかりの氷が船の横を抜けていくさまは迫力の一言につきます。
 

真っ白な流氷原の中からの絶景を堪能!

流氷を割りながら前に進む流氷観光砕氷船「おーろら」

流氷を割りながら前に進む流氷観光砕氷船「おーろら」(2023年2月25日撮影)

流氷の中に分け入ってきた流氷観光砕氷船「おーろら」は、ゆっくりと流氷の中を進みます。気がつくと「おーろら」は、真っ白な流氷に覆われた流氷原のまっただ中に。
流氷の中から能取岬を望む

流氷の中から能取岬を望む(2004年2月8日撮影)

振り返ると、出港してきた網走の街と標高207メートルの天都山、能取岬(のとろみさき)などを望めます。
流氷原から知床連山を望む

流氷原の中からの眺め。遠くに知床連山(左:硫黄山・羅臼岳、右:斜里岳)が見えます!(2004年2月8日撮影)

流氷の南側には世界自然遺産の知床(しれとこ)半島があります。見通しの良い日なら、流氷原の向こうに知床半島を横断する知床連山の斜里岳(しゃりだけ)、羅臼岳(らうすだけ)を望む絶景を楽しむことも可能ですよ。
流氷原から硫黄山・羅臼岳を望む

流氷原と硫黄山・羅臼岳(2004年2月8日撮影)

「おーろら」の展望デッキに出ると、左右と後方のパノラマをさえぎるものなしに満喫することができますが、防寒対策は万全にしておきましょう。
流氷原から斜里岳を望む

流氷原と斜里岳(2004年2月8日撮影)

また絶景を手元に残しておこう! とデジタルカメラやビデオカメラ、スマートフォンで撮影する方も多いのですが、これらの電子機器は、低温下だと想定以上にバッテリーを消耗します。必ず予備のバッテリーやモバイルバッテリーを携行しましょう。
 

運が良ければ鳥や動物も見られます

流氷観光砕氷船「おーろら」から見られる鳥(1)

流氷観光砕氷船「おーろら」の後をついてくる鳥たち(2004年2月8日撮影)

流氷観光砕氷船「おーろら」が出航して、流氷原の中に入ると、たくさんのカモメが飛び交いながら船に近づいてきます。
流氷観光砕氷船「おーろら」から見られる鳥(2)

流氷の上で羽を休めている鳥たち(2017年2月25日撮影)

流氷帯の中に入ると、流氷の上で羽を休めている鳥も多く、運が良ければ天然記念物に指定されているオジロワシやオオワシが見られます。中には流氷に乗ってきたアザラシが見られることもあるとのこと。
流氷観光砕氷船「おーろら」から見られる鳥(3)

網走港の防波堤で羽を休めるオオワシ(左)とオジロワシ。どちらも国の天然記念物に指定されています(2023年2月25日撮影)

流氷観光砕氷船が流氷帯の中に入ったら、流氷だけでなく鳥や動物がいないかも気にしてみるとより楽しくなることでしょう。
 

流氷は自然現象、見ることができない可能性も……

流氷観光砕氷船「おーろら」の航跡

流氷観光砕氷船「おーろら」の航跡(2004年2月8日撮影)

魅力がたっぷり詰まっている流氷観光なのですが、相手が自然現象ということもあって、3つの条件がそろう必要があります。

1. 流氷の有無
真冬に出かけたからといって必ずしも見られるわけではありません。流氷の位置は季節風の吹き方と潮の流れによって日々変わるため、前日は見えていたとしても今日は見えない……ということもしばしば発生します。
流氷観光砕氷船「おーろら」の運行状況例

流氷観光砕氷船「おーろら」の運行状況例。網走港の沖合に流氷がいない時は海上遊覧に切り替わります(左:2017年2月25日、右:2023年2月25日 撮影)

2. 流氷までの距離
流氷が来ていた場合も、流氷帯のある位置が網走から遠く、流氷観光砕氷船の1回の所要時間(約1時間程度)の中で流氷への往復ができない場合、流氷観光砕氷船の航路は網走港沖の海上遊覧に変わります。この時は乗船手続きの際、受付で説明がなされます。
流氷観光砕氷船「おーろら」の海上遊覧

沖合に流氷帯がない場合、流氷観光砕氷船「おーろら」は海上遊覧で運航します(2017年2月25日撮影)

3. 海の状況
流氷観光砕氷船も船ですので、海上に強風や大波が見込まれる荒れた天候の時は欠航になります。

3つの条件がすべてそろって、流氷観光砕氷船での流氷観光を体験できた時は運が良かったと考えて、思う存分楽しみましょう。

なおオホーツク海での流氷の最新状況は、第一管区海上保安部提供の「海氷情報センター」などのWebサイトで確認できます。また流氷観光砕氷船「おーろら」の運航状況は携帯サイトでも確認が可能です。出発前に確認しておくといいですね。
 

冬の道東の観光地周遊には「ひがし北海道エクスプレスバス」がおすすめ

ひがし北海道エクスプレスバス(1)

冬の道東の観光地周遊にお得で便利な「ひがし北海道エクスプレスバス」(2023年2月撮影)

北海道は本州などと比べると他の観光地との距離が長く、かつ鉄道やバスの運転本数も多くありません。効率良く観光したいと思うとレンタカーを使いたいところですが、冬の北海道は厳しい寒さと滑りやすい道路状況から、雪道運転に慣れていない観光客のレンタカー利用はおすすめできません。

そのような方々に向けて、道東に点在する観光地を結ぶ観光周遊バス「ひがし北海道エクスプレスバス」(インターネットでの事前予約制)が冬季限定で運行されています。流氷砕氷船乗り場のあるおーろらターミナルへは、以下の複数ルートのバスが運行されています。

・紋別から網走経由で知床へ向かう「紋別→網走→ウトロ1号」
・阿寒湖・摩周湖から網走経由で紋別へ向かう「阿寒→摩周・網走→紋別2号」
・北見・女満別空港から流氷砕氷船「おーろら」乗船を含めて網走周辺を観光する「北見→網走→ 美幌→北見 8号」
ひがし北海道エクスプレスバス(2)

「ひがし北海道エクスプレスバス」は、予約人数によりマイクロバスやタクシーでの運行となることもあります(2017年2月撮影)

「ひがし北海道エクスプレスバス」には利用条件があり、各エリアの指定宿泊施設に泊まること、かつ利用日の2日前までにバスの事前予約が必要です。利用条件は厳しいですが、ホテル・旅館の前からドアtoドアでバスに乗り降りできるルートもあり、鉄道やバスなどの移動が面倒な「ひがし北海道」のエリアをリーズナブルな運賃で移動できます。

複数ルートを組み合わせて利用することもできるので、たとえば知床で泊まって網走で流氷砕氷船「おーろら」に乗船後、紋別へ移動して紋別の流氷を見に行くことも可能です。

また「ひがし北海道エクスプレスバス」の他に、知床エアポートライナーや旭川や釧路からの地域間バスなどが3日~5日間乗り放題となる「ひがし北海道ネットワークバス 乗り放題パス」も用意されています。

利用日の10日前までに事前購入、かつ利用日3日前までに乗車予定バスをすべてインターネットで事前予約要という利用条件があるものの、冬の時期に道東の観光地をまわるにはさらにお得になりますので、早めに旅を計画する方にはいいですね。


冬の北海道ならではの旅を楽しめる網走の流氷観光砕氷船「おーろら」をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 一度は目に焼き付けておきたい絶景が待っていますので、ぜひ冬の網走へ出かけてみてください。
 

網走・流氷観光砕氷船へのアクセス

地図:Googleマップ
アクセス:
<飛行機>
知床エアポートライナー

女満別空港と網走流氷砕氷船のりば、ウトロ(知床)を結ぶ知床エアポートライナー(2023年2月撮影)

・女満別空港から網走バス 網走バスターミナル方面行きに乗車し、終点・道の駅 流氷砕氷船乗り場バス停で下車。知床エアポートライナー ウトロ行き(斜里バス・網走バスの共同運行)も利用できます。

<鉄道>
特急「オホーツク」

札幌から網走まで直通する特急「オホーツク」(2023年6月撮影)

・札幌から特急 オホーツク号、または旭川から特急 大雪号またはオホーツク号に乗車して網走駅へ。
網走バス 市内観光施設めぐりバス

網走バス 市内観光施設めぐりバス(2023年2月撮影)

・網走駅から網走バス 市内観光施設めぐりバスまたは女満別空港からのバスに乗り換え、道の駅 流氷砕氷船乗り場バス停にて下車。

<高速バス>
・札幌駅前バスターミナルから、都市間バス「ドリーミントオホーツク号」(網走バス・北海道中央バスの共同運行)で網走バスターミナルへ。網走バス 市内観光施設めぐりバスまたは女満別空港からのバスに乗り換え、道の駅 流氷砕氷船乗り場バス停にて下車。

<観光周遊バス>
観光周遊バス「ひがし北海道エクスプレスバス」(インターネットでの事前予約制、利用条件あり)の複数ルートのバスが、流氷砕氷船乗り場のあるおーろらターミナルを経由します。
・紋別から網走経由で知床へ向かう「紋別→網走→ウトロ1号」
・阿寒湖・摩周湖から網走経由で紋別へ向かう「阿寒→摩周・網走→紋別2号」
・北見・女満別空港から流氷観光砕氷船「おーろら」乗船を含めて網走周辺を観光する「北見→網走→ 美幌→北見 8号」

流氷観光砕氷船「おーろら」の乗船について》
事前予約をしなくても空席があれば乗船は可能ですが、あらかじめ予約しておくのがベター。
Webサイト(2日前まで)と電話での予約ができます。
または航空会社の旅行商品(フリープランやダイナミックパッケージなど)のオプションとして予約することも可能です。

【関連記事】 【関連サイト】
「冬の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで冬に行きたい名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「北海道の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで北海道の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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