世界遺産登録数1978~2018年の移り変わり

世界遺産登録数1978~2018年の推移

世界遺産登録数1978~2018年の推移。ただし、世界遺産が合併したり、登録を抹消された世界遺産もあるため、登録数合計=世界遺産総数ではない

世界遺産登録がはじまった1978年以降の登録数の推移を見てみよう。
  • 1978年:12件
  • 1979年:45件
  • 1980年:28件
  • 1981年:27件
  • 1982年:24件
  • 1983年:29件
  • 1984年:23件
  • 1985年:30件
  • 1986年:31件
  • 1987年:41件
  • 1988年:27件
  • 1989年:7件
  • 1990年:17件
  • 1991年:22件
  • 1992年:20件
  • 1993年:33件
  • 1994年:29件
  • 1995年:29件
  • 1996年:37件
  • 1997年:46件
  • 1998年:30件
  • 1999年:48件
  • 2000年:61件
  • 2001年:31件
  • 2002年:9件
  • 2003年:24件
  • 2004年:34件
  • 2005年:24件
  • 2006年:18件
  • 2007年:22件
  • 2008年:27件
  • 2009年:13件
  • 2010年:21件
  • 2011年:25件
  • 2012年:26件
  • 2013年:19件
  • 2014年:26件
  • 2015年:24件
  • 2016年:21件
  • 2017年:21件
  • 2018年:19件
現在、世界遺産委員会における年間審議件数の上限は45件で、2020年から35件に縮小される予定だ。ただ、近年の世界遺産委員会はもともと三十数件の審議しかしておらず、大きな影響はないと見られている。

各国の推薦枠については1年1か国2件までで、2件の場合、1件は自然遺産か文化的景観でなければならない(複数国にまたがるトランスパンダリー・サイトの場合は主導国の推薦枠を使用する)。この制限は2019年の推薦分から1年1か国1件まで縮小される予定だ。

近年目立つのが「逆転登録」だ。文化遺産候補地についてはイコモス(ICOMOS:国際記念物遺跡会議)、自然遺産候補地についてはIUCN(国際自然保護連合)、複合遺産については両者が専門的な調査を行って評価報告書を作成し、これを参考に世界遺産委員会が正式な決議を行う。イコモス、IUCNはそれぞれ文化遺産と自然遺産に関する専門家集団で、推薦された物件を科学的に調査・評価して以下4段階の勧告を下している。
  • 登録:世界遺産リストにふさわしい
  • 情報照会:3年以内に追加資料を提出すれば再審議が可能
  • 登録延期:推薦書を取り下げて登録プロセスを最初からやり直し
  • 不登録:登録にふさわしくない。決議された場合、再推薦も不可
この勧告を参考に、21か国の代表からなる世界遺産委員会が合意形成、あるいは有効投票の三分の二以上の賛成で正式な決議を下す。といっても世界遺産委員会の委員は外交関係の担当者が選ばれることが多く、イコモスやIUCNといった専門の諮問機関の評価を覆して政治的な立場から決定を行うことも少なくないといわれている。

たとえば2018年の第42回世界遺産委員会では19件が世界遺産リストに登録されているが、このうち8件もの物件が不登録や情報照会、登録延期勧告を覆して逆転登録に成功している。特に不登録勧告は価値の否定に近いもので、専門家の下した判断を簡単に覆すことに対する非難も少なくない。
パレスチナの世界遺産「イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会」

イエスが生まれた場所に建つとされるパレスチナの世界遺産「イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会」。ベツレヘムでは分離壁問題などイスラエル-パレスチナの対立が続いている (C) Neil Ward

政治的な決定とされる最たる例がパレスチナの3件で、いずれも「緊急的登録推薦」という緊急に保護が必要な物件の例外的な推薦方法が採られた(通常の推薦の場合、推薦から登録まで最低1年半を必要とするが、緊急的登録推薦の場合これを短縮できる)。イコモスは3件すべてについて緊急性がなく価値も確認されていないとして不登録勧告や勧告不可としたが、世界遺産委員会はこれを覆して登録を決議した。これに対してアメリカやイスラエルは「ユネスコの政治利用である」として強く反発し、拠出金を停止したのち2017年にユネスコからの脱退を表明している。

これ以外にも、世界遺産を保有していない国の推薦は逆転が起きやすいなど非科学的な決定がしばしば指摘されており、世界遺産リストの代表性(世界の傑出した文化や自然の遺産を正しく代表していること)や世界遺産リストの信頼性が揺らぐとして大きな問題になっている。

日本の物件については、2007年の「石見銀山遺跡とその文化的景観」まで14件連続で一発登録だった。しかし2008年の平泉において、日本国内で価値があることは認められたが、それが世界基準の普遍的価値であることが伝わっていないとされ、構成される寺社や遺跡がそれを十分に示しているかどうかも問題となり、登録が延期された(2011年に再推薦して登録)。

2009年と2011年には国立西洋美術館本館が6か国の作品をまとめた「ル・コルビュジエの建築作品」のひとつとして推薦されたが、これも登録に至らなかった(再推薦して2016年に登録)。2013年には「武家の古都・鎌倉」がイコモスから不登録勧告を受けて推薦を取り下げ、2016年にはイコモスからコンセプトを変更すべきとの指摘を受けて「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦も取り下げている(再推薦して2018年に登録)。

近年続くこれらの失敗から、世界遺産登録の難化が指摘されているが、本当に難化しているか否かについては議論がある。ピラミッドや万里の長城、イエローストーンやガラパゴス諸島のように、誰もが価値を認めるわかりやすい物件はすでに登録されてしまっており、難化というよりも推薦物件のレベルが下がっているだけなのではないかという指摘もある。

世界遺産活動は、世界遺産リストに物件を登録することが目的なのではなく、リストに登録された世界基準のすばらしい遺産を永遠に守ることを目的とする。2014年には千件を突破し、世界遺産委員会という小さな組織がそのすべてを管理することは困難で、本当に価値ある遺産、守られるべき遺産を確実に守りたいという意志が、登録を絞る方向に向かわせているという一面もあるようだ。

このため世界遺産総数に上限を設ける話もたびたび議論されており、今後の対応が注目される。

<世界遺産の数と国別ランキング>

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