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謝罪の言い訳はタイミングをはかるのが極意!

謝罪の基本として、言い訳はNG。しかし、潔く謝っただけでは自分と相手との関係にヒビが入る危険性もあるんです! 関係修復のためには、説明が必要です。ビジネスでもプライベートでも使える、言い訳にならない上手な説明の仕方を解説します。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

謝罪に言い訳はNGか必要か

謝罪の言い訳はタイミングをはかるのが極意!

言い訳はNGですが、関係修復の説明は必要

人間ですから、気をつけていてもミスをしてしまうことはあります。それだけに謝罪と関係回復は社会人として必要なスキルです。謝罪の基本として、言い訳はNGというのが常識ですが、いさぎよく謝っただけでは人間関係にヒビが入ってしまうこともあるのをご存知でしょうか。

ミスをして相手に迷惑をかけてしまった時、相手には「軽んじられた」という感情が生まれやすくなっています。実際に起きてしまった問題自体よりも、大切にされていないという感情が関係を悪化させる原因となります。いさぎよく謝罪をし、言い訳をしないというのは素晴らしい考え方ですが、相手のネガティブ感情を払拭するためには、なぜそうなってしまったのかという経緯や背景の説明も必要なのです。

待ち合わせに相手が大幅に遅刻してきたシーンを想像してみてください。「申し訳ありませんっ!」と丁重に謝罪されたとしても、遅れた理由を聞かない場合「大した用事ではないと思われていたのかな」という気持ちになる人もいるかもしれません。少なくとも大事にされているとは感じないはずです。しかし、遅れた理由ばかりを説明されると、遅刻を正当化しているように聞こえたり、言い逃れをしているという印象を受けます。

状況説明は関係回復に必要。でも、言い訳や言い逃れに聞こえてしまった場合、相手の怒りをさらに増幅させる結果になってしまいます。どうすれば、相手の感情を逆なでせずに、関係修復にむけた説明ができるのでしょうか。
 

謝罪する時に怒らせる言い訳と許される説明の違いとは

上手な説明をするためには、怒らせてしまう「言い訳」と許される「説明」の違いを知っておくことが必要です。この2つの違いは何だと思いますか?

実は、まったく同じ言い訳をしても、怒らせてしまう場合と許される場合があります。それは、内容ではなくタイミングに関係があります。

謝罪もおぼつかないうちに説明を始めてしまうと、それがいかに正しい理由でも言い逃れに聞こえます。落ち着いた時に聞けば至極まっとうな話でも、怒っている時や素直な謝罪の言葉を聞きたい時に言われたのではムカッときてしまうもの。こういった感情の動きを無視して正当性を伝えると、難しいだけでなく意味のないことになってしまいます。

伝えるタイミングを工夫すれば、多少稚拙な言い訳であったとしても印象が変わります。あれこれと言い訳を考えるよりも、感情の変化にあわせたタイミングを見計らうのが言い訳の極意。タイミングをうまく掴むポイントは以下のとおりです。
 

謝罪するとき……まずは潔く謝れ

説明の前に、まずは謝罪のステップを

説明の前に、まずは謝罪のステップを

率直に謝罪の言葉を述べることは、相手の感情を鎮める効果があります。この儀式を飛ばしてしまうと、どんな説明も言い逃れになってしまうのは、前にも述べた通りです。関係修復を望むのであれば、状況説明のための準備だと思ってまずは謝罪に徹しましょう。事故と同じで100:0はないだろうと思ってもグッとこらえてください。

事実ではないことで相手が怒っている場合、「違うんだ」と説明する前に不安に思わせたことに対して謝罪してしまうというテクニックを使います。この方法は、特に恋人など人間関係の距離が近い相手に効果を発揮します。大切な人に何かをやらかしてしまった時は、迷わずに「心配かけてごめん」「不安にさせて悪かった」といったフレーズを使うところから始めてください。

もう一歩踏み込んだテクニックとしては「大切なあなたに心配をかけてしまうなんて、本当にごめんなさい」といった大切アピールも効果があります。ビジネスシーンでは「ご心配をおかけしてしまって本当に申し訳ありません」とビジネス語に変換して使ってください。

謝ってしまえば、許す・許さないに相手の度量が問われます。「死んだ犬を蹴る人はいない」と教えてくれたのは、海外で手強い相手に交渉を繰り広げてきた商社マンであり『3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術』の著者でもあるマーク富岡氏。誠意を尽くして謝る人間に、「許す」という態度をとれない人はそういないものです。
 

謝罪をしたあと……関係回復は2ステップで

謝罪だけでは50%。時間をおいて関係回復のための説明をしよう

謝罪だけでは50%。時間をおいて関係回復のための説明をしよう

謝罪の言葉を述べた後スグに説明をしてしまうと、事実も言い訳に聞こえてしまうので注意が必要です。

そうはいっても、どのタイミングで説明を始めればいいのか迷うところですよね。空気を読みながら、このタイミングをはかるのが難しい場合もあるでしょう。そんな時にお勧めしたいのが、まずは謝罪をして時間をあけてから説明を行うという2ステップ法。仕事の場合ミスに至ったまでの経緯説明をその場でしなければならないこともあります。そうでない場合やプライベートの場合には、是非この方法を試してみてください。

時間を置いてから事情を説明をするという方法には3つのメリットがあります。1つめは、時間を置くことで相手の感情が鎮静化されること。2つめは、言い訳をせずに謝った人という印象が残ること。3つめは、事情を説明する言葉をじっくりと選べることです。

相手が受け容れづらい状況の時に話をするのは不利ですし、言い逃れをする人という偏見が生じてしまうと正しい理由も印象を悪くするばかり。慌てていると、自己都合にしか聞こえない言葉を選んでしまう危険性もあるので、時間を置くというのは有効なのです。

言い訳をしないという「いさぎよさ」は素晴らしいことだと思います。言い訳するのはみっともないと思う人もいるでしょう。しかし誠意が伝わらないということは、自分が損をするだけでなく、相手を傷つけることでもあります。謝罪だけでは50%。フルパワーで関係修復をはかることは思いやりでもあるのです。長期的な関係を作っていくためには、失敗したあとのリカバリーは重要なポイントになります。恥ずかしがらずにトライしてみてください。きっといい結果に繋がりますよ。

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