法人税の改正ポイント

では、まず法人税の主な改正事項からご紹介していきます。

■法人税率12年ぶりの引下げ
わが国の立地競争力を高め、中核的製造拠点や研究開発拠点の海外流出を抑制し、対内直接投資を促進するため、国際的に見て高すぎる法人実効税率を主要国並みに段階的に引下げます。その第一歩として、平成23年4月1日以後に開始する事業年度について法人実効税率を5%引下げます。これにより、わが国経済のデフレ脱却と雇用創出を図ります。

法人税率

平成23年度経済産業省関係税制改正より

中小企業(資本金1億円以下)の所得金額のうち、年800万円以下の金額について適用される軽減税率を18%(本則22%)から15%(本則19%)に引下げます。2011(平成23)年4月1日から2014(平成26)年3月31日までに開始する事業年度が対象です。

■減価償却制度の見直し
国際的水準に合わせていく観点から、平成23年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)の2.0倍(現行2.5倍)とします。なお、改定償却率及び保証率についても一定の整備を行います。

■繰越欠損金の使用制限
繰越欠損金制度は、青色申告法人が特定の期に税務上の赤字が生じた場合、その赤字を繰越し翌期以降の黒字と相殺して納付税額を計算するというもの。税負担を軽減することができ、現行では欠損金を7年繰り越すことができます。

今回の改正案で、繰越欠損金の控除限度額は、繰越控除をする事業年度の所得金額の80%に使用を制限。その代わり、2008(平成20)年4月1日以後に終了した事業年度で生じた欠損金額は、繰越期間を9年とします。

ただし、中小企業については、繰越欠損金の使用制限を設けず、繰越期間だけ7年から9年に延長します。

■雇用促進税制の創設
雇用促進税制

平成23年度経済産業省関係税制改正より

従業員のうち雇用保険一般被保険者の数を10%以上かつ5人以上(中小企業は2人以上)増加させるなどの要件を満たす事業主について、増加1人当り20万円の税額控除ができる制度を創設します。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)を上限とします。

消費税の改正ポイント

次に、消費税の改正事項をご紹介していきます。

■95%ルールの見直し
現行は課税売上割合が95%以上の場合、計算の簡便上、課税仕入れなどの税額の全額を仕入税額控除にできる有利な制度があります。この制度は会社の規模に関わらず、本来控除できない消費税を控除できてしまうという指摘がありました。

そこで、課税売上割合が95%以上である課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)超の事業者は、課税仕入れなどの税額の全額を仕入税額控除できる制度を適用できなくなりました。適用は、2012(平成24)年4月1日以後に開始する課税期間から。

■事業者免税点制度の見直し
現行は、基準期間(個人の場合は前々年、法人の場合は原則前々事業年度)での課税売上高が1,000万円以下の場合、個人事業者の事業開始後原則2年間、資本金1,000万円未満の新設法人の設立後原則2事業年度が免税事業者です。

今回の改正案で、免税事業者のうち次に掲げる課税売上高が1,000万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用できないことになります。

  1. 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高
  2. 法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く)開始の日から6月間の課税売上高
  3. 法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年以内に開始した前々事業年度があるときは、その前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(その前々事業年度が5月以下の場合には、その前々事業年度の課税売上高)

例えば、資本金500万円の新設法人の場合、現行は1期および2期ともに免税事業者です。改正案によると1期目開始から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円超の場合、2期目から課税事業者となってしまいます。

ただし、事業者は上記の課税売上高に代えて給与などの金額を用いることができることとします(届出書が必要)。なお、平成24年10月1日以後に開始する事業年度から適用します。

*今回の内容は、国会を通過するまで正式な決定事項ではありません。今後の国会審議動向により内容が変更することがあります。


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